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森の泉村民祭り
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どんどんどん♪ ぴ~ひゃらら~♪ どどんのどん♪
夏の暑さが手ぬるくなってきたこの頃、森の泉の動物たちは祭りの準備をし始めた。
タヌキさんは腹太鼓の練習に余念がない。
ぽんぽこぽんぽこぽんぽんぽん♪ まぬけな軽い音が心地よく森中に響き、ついつい踊ってしまう動物多数。
ねずみさんは長いしっぽで優雅にバイオリンを弾き、リスさんは鍵盤の上を走ったり跳んだりして楽しそうにピアノを弾き、鹿さんはギターの弦にヘッドバンギングして角でロックを演奏してる。
音楽に統一性がなく、いったい何の祭りなんだか分からなくなってきたので、それぞれの出し物を順番に舞台で披露することに。
とりあえず、順番を決めるくじを引く。
大きな箱の中に手を入れ、好きな紙を引くと順番の番号が書いてある。
「おっ!ぼくは92番か~!」
いったい何組出場するんだ!と会場から突っ込みが飛ぶ。
「35番って、何これ~? 行列だったから、とりあえず並んでみただけなのに~」
行列の先には美味しいものがあると思って、つい並んでしまった食いしん坊女子だったり。
ドラフト会議のくじと勘違いして参加してしまった野球チームの監督だったり。
そんなこんなで、あっという間に「森の泉村民祭り」の開催日が来たのだった。
司会進行役に定着しつつあるタヌキツネが舞台に上がる。
「ついにやってきました、村民のみなさんお待ちかねの森の泉村民祭りを開催します!
では早速、エントリーナンバー1番の方、は~りきってどうぞ~!」
その時、見覚えのある男性が舞台に現れた。
「カイル、もしかしてあの人は…!」
「ルカッ、逃げよう!」
カイルは私の手を引いて舞台から離れようとしたが、焦ってコケた。
森の泉オーケストラの素晴らしい演奏が始まり、男性はごきげんで小指を立てながらマイクを握った。
「ふんふふんふふん♪ ボヘ~~~♪」
祭りの1曲目から災害級の音痴に見舞われ、のたうちまわる観客たち。
「うぉぉぉぉっ…なんだこの音痴はっ…」次々と倒れていく。
カイルと私も、マイクの大音量音痴放送が頭に響いて倒れてしまった。
「ボヘ~~♪」
森の泉オーケストラのメンバーがあまりの音痴に次々と気絶して伴奏が無いのに、アカペラで2曲目を歌いだす男性。
この窮地を救うには、あの鐘を鳴らさなければ!
あの鐘を鳴らすのはあんた!
観客の期待の視線を一身に受け、倒れていた審査員が音痴に耐えながらヨロヨロと匍匐前進で鐘の所までいく。
「こ…これさえ鳴らせば、彼を止められる…!」
審査員は渾身の力で鐘を鳴らした。
「カ~~~ン!」
そして、やっと、音痴が止まったのだった。
彼は不服そうに、
「えぇ~~?鐘ひとつ?せめてふたつは欲しかったなぁ~」と、音痴の自覚ゼロ宣言をして堂々と舞台を降りていった。
ダンジョン制覇大会で、あまりの音痴にゾンビも悶えたレジェンドの彼が祭りの1曲目で、すでに場内クタクタ状態だ。森の泉村民祭りは思いのほかヘビーだった。
しばらくの放心後、もちなおした村民たち。
エントリーナンバー2番からはタヌキさんの腹太鼓、りすさんのピアノが続き、徐々に活気を取り戻してきた。
そして、エントリーナンバー15番で巨大蝶々が舞台に上がった。
「卵産んで、孵化させま~す♪」
と言って、いきなり舞台で卵を産み始めた。巨大蝶々だけに、卵も1mくらいある。
7個の卵は、あっという間に蛹になり、幼虫になり、真っ赤な蝶になってしまった!成長早すぎて怖い!
そして、蝶になったばかりの子供たちは、客席に向かってバッサバッサと羽をはためかせたのだった。
3メートルの異世界の巨大蝶々の大きな羽から繰り出される大型台風並みの強風にあおられ、観客は次々と飛ばされていく。
「「「「「あ~~~れ~~~!!!」」」」」
私は蝶々の羽風に飛ばされながら思った。
この小説のタイトルは「異世界でのんびり暮らしてみることにしました」なのに、あまりのんびりしたことがないわ~!
しかし、今更タイトルを変えるわけにもいかないし、このまま行っちゃうわ~~!
そして、観客たちとカイルと私は、見知らぬ洞窟に着地した。
「こっ、これは…!」
「すごいぞ! 今まで、どんなに探しても見つけられなかったのに…」
村民たちの目がらんらんと輝いてる。
何を見つけたの…?
「この家紋はまさしく、ぽんぽこ大魔王のものだ!さすれば、このたくさんの宝箱や金塊は、ぽんぽこ大魔王の埋蔵金!」
「やったぁ~~!!」
森の泉村民祭りは、ぽんぽこ大魔王埋蔵金掘り大会に変更され、大いに盛り上がったのだった。
夏の暑さが手ぬるくなってきたこの頃、森の泉の動物たちは祭りの準備をし始めた。
タヌキさんは腹太鼓の練習に余念がない。
ぽんぽこぽんぽこぽんぽんぽん♪ まぬけな軽い音が心地よく森中に響き、ついつい踊ってしまう動物多数。
ねずみさんは長いしっぽで優雅にバイオリンを弾き、リスさんは鍵盤の上を走ったり跳んだりして楽しそうにピアノを弾き、鹿さんはギターの弦にヘッドバンギングして角でロックを演奏してる。
音楽に統一性がなく、いったい何の祭りなんだか分からなくなってきたので、それぞれの出し物を順番に舞台で披露することに。
とりあえず、順番を決めるくじを引く。
大きな箱の中に手を入れ、好きな紙を引くと順番の番号が書いてある。
「おっ!ぼくは92番か~!」
いったい何組出場するんだ!と会場から突っ込みが飛ぶ。
「35番って、何これ~? 行列だったから、とりあえず並んでみただけなのに~」
行列の先には美味しいものがあると思って、つい並んでしまった食いしん坊女子だったり。
ドラフト会議のくじと勘違いして参加してしまった野球チームの監督だったり。
そんなこんなで、あっという間に「森の泉村民祭り」の開催日が来たのだった。
司会進行役に定着しつつあるタヌキツネが舞台に上がる。
「ついにやってきました、村民のみなさんお待ちかねの森の泉村民祭りを開催します!
では早速、エントリーナンバー1番の方、は~りきってどうぞ~!」
その時、見覚えのある男性が舞台に現れた。
「カイル、もしかしてあの人は…!」
「ルカッ、逃げよう!」
カイルは私の手を引いて舞台から離れようとしたが、焦ってコケた。
森の泉オーケストラの素晴らしい演奏が始まり、男性はごきげんで小指を立てながらマイクを握った。
「ふんふふんふふん♪ ボヘ~~~♪」
祭りの1曲目から災害級の音痴に見舞われ、のたうちまわる観客たち。
「うぉぉぉぉっ…なんだこの音痴はっ…」次々と倒れていく。
カイルと私も、マイクの大音量音痴放送が頭に響いて倒れてしまった。
「ボヘ~~♪」
森の泉オーケストラのメンバーがあまりの音痴に次々と気絶して伴奏が無いのに、アカペラで2曲目を歌いだす男性。
この窮地を救うには、あの鐘を鳴らさなければ!
あの鐘を鳴らすのはあんた!
観客の期待の視線を一身に受け、倒れていた審査員が音痴に耐えながらヨロヨロと匍匐前進で鐘の所までいく。
「こ…これさえ鳴らせば、彼を止められる…!」
審査員は渾身の力で鐘を鳴らした。
「カ~~~ン!」
そして、やっと、音痴が止まったのだった。
彼は不服そうに、
「えぇ~~?鐘ひとつ?せめてふたつは欲しかったなぁ~」と、音痴の自覚ゼロ宣言をして堂々と舞台を降りていった。
ダンジョン制覇大会で、あまりの音痴にゾンビも悶えたレジェンドの彼が祭りの1曲目で、すでに場内クタクタ状態だ。森の泉村民祭りは思いのほかヘビーだった。
しばらくの放心後、もちなおした村民たち。
エントリーナンバー2番からはタヌキさんの腹太鼓、りすさんのピアノが続き、徐々に活気を取り戻してきた。
そして、エントリーナンバー15番で巨大蝶々が舞台に上がった。
「卵産んで、孵化させま~す♪」
と言って、いきなり舞台で卵を産み始めた。巨大蝶々だけに、卵も1mくらいある。
7個の卵は、あっという間に蛹になり、幼虫になり、真っ赤な蝶になってしまった!成長早すぎて怖い!
そして、蝶になったばかりの子供たちは、客席に向かってバッサバッサと羽をはためかせたのだった。
3メートルの異世界の巨大蝶々の大きな羽から繰り出される大型台風並みの強風にあおられ、観客は次々と飛ばされていく。
「「「「「あ~~~れ~~~!!!」」」」」
私は蝶々の羽風に飛ばされながら思った。
この小説のタイトルは「異世界でのんびり暮らしてみることにしました」なのに、あまりのんびりしたことがないわ~!
しかし、今更タイトルを変えるわけにもいかないし、このまま行っちゃうわ~~!
そして、観客たちとカイルと私は、見知らぬ洞窟に着地した。
「こっ、これは…!」
「すごいぞ! 今まで、どんなに探しても見つけられなかったのに…」
村民たちの目がらんらんと輝いてる。
何を見つけたの…?
「この家紋はまさしく、ぽんぽこ大魔王のものだ!さすれば、このたくさんの宝箱や金塊は、ぽんぽこ大魔王の埋蔵金!」
「やったぁ~~!!」
森の泉村民祭りは、ぽんぽこ大魔王埋蔵金掘り大会に変更され、大いに盛り上がったのだった。
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