異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓

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パパ、感激

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 夕方になり、「ニャロンさんの生還を祝う会」が公民館で開催された。
 
 島長から、ニャロンさんの功績を讃えるお話があり、ニャロンさんは魔物から島を守った名誉島民に選ばれた。
 島民から大きな祝福の歓声があがる。

 とても幸せな、温かな雰囲気の中、表彰式が始まった。
 そして、カイルと私も、ニャロンさんを救助したことと、火事を鎮圧したことで、感謝状を受賞することになった。
 島長から、「いつでもニャロン島へ来てください」と感謝のしるしに大きな洋館をいただいた。

 ニャロンさんの奥さんや子供たちから、何度も丁寧なお礼の言葉があった。
 ニャロンさん一家の幸せそうな様子を見ると、やっぱりカイルがしたことは正しかったんだと思った。
 でも、もし今度こんなことがあれば、カイルと一緒に私も崖から落ちる。傍でカイルを守る。そうしないと絶対後悔すると思った。

 賑やかで楽しい宴が始まる。
 陽気な浮かれた音楽が流れ、あちこちで不規則で適当な踊りが始まり、御馳走が山のように並んだ。

 バイキング形式って、好きなものを好きなだけ食べれて楽しいな♪
 さすが異世界料理だけあって、不思議な味のおかずがある。調味料やスパイスの味が違うからだろうな。でも美味しい。
 果物もトゲトゲしていたり、個性的な形をしてるものもあるけど、甘くて美味しいな。
 
 ニャロンさんは皆に囲まれて大人気。一緒に写真を撮ってもらいたい島民たちが行列になってる。英雄なんだね。
 
「カイル、遅くなる前にそろそろ帰ろう? レオンさんとアーシャさんが心配してくれてるかも」
「そうだね」

 島長とリスさんに挨拶をして、私とカイルは瞬間移動で帰宅した。

「おかえり~。おっ、なんか日焼けしてねーか? どこ行ってたんだ、うちの子供たちは?」
 レオンさんが出迎えてくれた。

「ジャ~ン! カイルと私、ニャロン島で火事を鎮圧して感謝状をいただきました!」
 感謝状を広げてレオンさんに見せてみた。

「おぉ~~っ! えらいぞ! よくやった!」
 レオンさんは大喜びだ。

「島長が、ニャロン島の洋館をくれたんですよ!」
 レオンさんが嬉しそうなので、追加報告してしまう。

 カイルが崖でニャロンを助けたことは、レオンさんがカイルを心配して泣きそうだったので言えなかった。
 カイルも心得ているらしい。

「すごいじゃないか!良い事をしたな!」
 涙もろいレオンさんは、カイルを抱き締め泣き出してしまった。

「パパ、泣かないでよ」
「だって…そんな良い事をする子に育ったなんて、パパ嬉しくて…」
 よしよしとパパの頭を撫でて慰めるカイル。

 そこにアーシャさんがやってきた。
「まぁ、どうしたの? レオン」
「嬉し泣きというやつだよ…」
「そう。よかったわね♪」

 アーシャさんに事情を説明すると、すごく喜んでくれた。

「いつか皆でニャロン島の洋館へ泊りに行きませんか?」
 私の提案に、

「「「行く!」」」
 みんなは大賛成してくれた。

「じゃあ、大活躍したカイルとルカちゃんのために御馳走を作らなきゃね♪」
 アーシャさんとレオンさんは仲良くキッチンに入っていった。

 今日、3回目のパーティー? こんなこと生まれて初めてだ!
 うれしいけど、食べ過ぎで太りそう。明日から超ハードなトレーニングをしなければ…。

「ルカ、太るって気にしてるの?」
 何でもお見通しのカイルの視線を感じる。

「私って、そんなに分かりやすい? 顔に出てるの?」
 恥ずかしいなぁ、もぅ。

「うん。でもそういうところが好きなんだ♪」

 カイルの優しい笑顔を見てると、太ってもいいか♪なんて思ってしまった。
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