異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓

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ニャロン島

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 ダンジョン制覇大会の賞金の半分をレオンさん夫妻に渡そうとしても、大金のせいか、無欲なレオンさん夫妻は受け取ってくれなかった。

「では、もうすぐ生まれてくる赤ちゃんの出産祝いとして受け取ってください」と言うと、やっと受け取ってくれた。

 突然、異世界にやってきて行くあても無かった居候の私としては、賞金を受け取ってくれたことで少しでも恩返しできたような気持になれて、嬉しかった。


 今日も良い天気だし、カイルと川へ遊びに行こう♪

 涼しい森の中を歩いていると、静かな川のせせらぎの音が聞こえてくる。
 川底がはっきり見えるほど清らかな水が、水草を揺らしながら緩やかに流れていく。

 岩を飛び越えながら川の中州まで行くと、
「川遊びに来たのかい?」
 オウムのような顔をした大きな赤い鳥が、私たちに声をかけてくれた。

「そうよ。鳥さんは、川にお水を飲みに来たの?」

「そうだよ。この川の水は美味しいんだ。この水を飲むために、ニャロン島から来たんだよ」
 赤い鳥は大きな岩にとまり、休憩しながら答えた。

 グルメな鳥さんらしい。

「ニャロン島?」
 カイルが聞くと、

「この先に小島がいくつか浮かんでいる海があるだろう?その小島のひとつだよ」

「ニャロン島かぁ…」
 どんな島だろうと思いを馳せていると、

「よかったら、もう帰るから、背中に乗せて連れて行ってあげようか?」
「「本当?」」

 鳥さんの背中に乗れるなんて楽しみ♪
 でも、赤い鳥さんは体長2mくらいだから、私とカイルが乗ったら重すぎるよね?

「ルカ、魔法で僕たちが小さくなればいいんだよ」
 私の考えてることはお見通しのように、カイルが言う。

「そうだね」
 私とカイルは魔法で10㎝ほどの小人になった。

 赤い鳥さんは私たちが背中に乗りやすいように、しゃがんで待ってくれている。
 鳥さんの背中によじ登り、小人の視界を楽しむ。
 何もかもが、すごく大きい!
 鳥の羽は、重ねればお布団みたいに温かいし、木の葉や花が、昆虫たちが、すごく大きくて大迫力だ。
 なかでも、カマキリを下から見たら超怖かった!

「じゃあ、行くよ」
「「は~い♪」」
 鳥さんは私たちが落ちないように気遣いながらゆっくりと助走し、空へと羽ばたいた。

 向かい風を受けながら、振り落とされないように鳥の羽にぎゅっとしがみつく。
 空へと飛翔した鳥さんは、まるでグライダーのように、羽をあまり動かさず風に乗った。

 空から眼下の景色を楽しんでいると、あっという間にニャロン島に到着。陸地にほど近い小島だった。
 赤い鳥さんは私たちを背中から降ろしてくれて、「ニャロン島を楽しんでね」と言って飛んで行った。優しい鳥さんだったな。

 いろんな動物が浜で日光浴をしていた。大型の猫や犬のようなモフモフ動物たち、巨大トカゲ、原色の派手な羽の鳥たちも。

 動物って、いびきをかくんだ。知らなかった。

 ぐぅぐぅぐぅ…、
 ぐぉ~~~っ、が~~~~っ、
 ひゅ~~~るる~~、ひゅ~~…、
 むにゃむにゃ…いや、私じゃありませんって… ←これは寝言

 皆さん気持ちよさそうなので、起こさないように、そっと抜き足差し足忍び足で砂浜を移動する。
 途中、うっかり、蛇さんの尻尾を踏んで起こしてしまい、怒られた。
 後で気付いたが、魔法で転移すればよかった。 ←手遅れ

 砂浜から少し奥に行くと、森で小さなリスさんたちが遊んでいるのが見えた。
 私とカイルも今は10㎝ほどの小人だし、リスさんたちと遊べないかしら。なんて思っていると、
 カイルが魔法で、私にリスの耳と尻尾をつけてくれた。

「ルカ、可愛い」
 私のリス耳を撫でて、優しく笑うカイル。

「カイルはいつも私の考えてることが分かるのね?」と聞くと、

「分かるよ。ルカのこといつも見てるもん」

 …カイルって、絶対モテるタイプだ!

「カイルもリス耳と尻尾似合うと思うよ?」
 なんだか照れくさくて目をそらしながら言うと、一瞬でリス耳カイルに変身していた。

 リスになった気分でリスさんたちに近づくと、フレンドリーに接してくれた。
「ルカちゃんたち、うちに遊びに来ない?」
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