異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓

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大漁♪

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 眩しく輝く太陽。青い空、白い雲。
 カモメたちが楽しそうに飛ぶ波打ち際を、カイルと一緒に走っています。

 波と追いかけっこ♪みたいなロマンチックなものではなくて。

 浜に打ちあがってたイカを小さく切ってカモメにあげたら、どんどんカモメが増えてきて、もっとイカくれ~!とカモメの大群に追いかけられるはめに。

「もう無いってば~! あきらめてよ~!」
「ルカッ! このままじゃ、イカの代わりに僕たちが食べられるんじゃ?」
「なんでよっ!」

 イカの汁が体に付いてイカ臭くなってるのかしら!?
 イカの臭いがするから、私とカイルまでイカだと思われてるのかしら~?

 イカパニック! ←なんだそれは!

「ルカッ! イカと間違えられてカモメたちに食べられるくらいなら!」
「なら?」
「大王イカを獲りに海へ飛び込もう!」
「えぇっ!!」

 大王イカじゃなくてもいいんじゃない?!
 いや、結構、食べ応えある量のイカだけど。
 大王イカは、なかなか獲れないのよ~~~っ!!

「いくぞっ!」
 なんだかやる気満々のカイルに手を引かれ、気付けば海の中。
 海に遊びに来たのに! 
 イカ漁をしに来たんじゃないのよぉ~~っ!

 魔法で、酸素のたくさん入った直径2mの透明の球を作り、球の中にカイルと入って海中の景色を楽しんだ。
 
 赤や黄色や青色の綺麗な小さな魚たちが群れで流れるように泳いでいる。
 岩や珊瑚に隠れる魚。長細い海藻が水流にゆらゆらと揺れている。
 
 そのとき、白っぽい5㎜くらいの粒々が海中に広がり、視界を埋め尽くした。
 魚の卵? 珊瑚の卵かな?
 白い小さな粒たちは、海上からの太陽の光を浴びて、穏やかな海流に流されながら、きらきら幻想的な雪のように舞い踊った。
 数えきれない小さな命たちが、美しく海を彩る。
 
「カイル、綺麗だね」
「夢の中に居るみたいだね」

 幻想的な世界の中に陶酔していた私たちは、突如、現実に引き戻されることになる。

 視界が突然、真っ白に?

「こっ、これは…!」
「大王イカ!!」

 私たちの入っている透明の球の前を、視界を覆いつくすように大王イカが球を舐めるように通り過ぎていった。
 ロマンチックな甘い雰囲気が、命がけのイカ漁に激変!?

 ドゴン!!

「「うわっ!!」」

 後ろ側からは、ホオジロザメが私たちの入っている球を突いてる!!

 前には大王イカ、後ろはホオジロザメ!!

 大王イカも私たちを狙ってるのか、大きな目でじっと見つめている。

 そんなに取り合いするほど、私たち美味しくありませんから!!

 大王イカとホオジロザメは、私たちをロックオンしつつも数メートル後退した。
 と思ったら、両者、勢いをつけてこちらに向かって泳いでくる! 助走してるのか!

 このままじゃ、大王イカとホオジロザメに挟まれて、透明の球は撃破されるだろう。
 イカとサメと、どっちが先に私たちを食べるのか?
 どっちも困るし!


 ドガッッ!!!



 大王イカとホオジロザメは正面衝突で気絶!

 私とカイルは、3m離れた海中に瞬間移動していた。

 魔法が使えてよかったぁ~~~っ!!


 そして、気絶中の大王イカとホオジロザメを浜に瞬間移動させると、浜は大騒ぎ!

 5mの大王イカはカモメさんたちにあげて、6mのホオジロザメはどうしようかな?


 そこへ都合よく現れた、森のゆかいな仲間たち数十人。

「ホオジロザメが獲れたんですけど、みんなで焼いて食べませんか?」と声をかけてみた。

「ホオジロザメ?! でっか~!!」
「食べたい食べたい!!」
「いいところに来た~!」

 皆、大喜びしてるので、風の刀で3枚におろして切り身をつくる。

「俺、ホオジロザメの3枚おろしって、初めて見た~」
「すげーな、ルカちゃん!」

 私もサメなんて切るの初めてだよ~。
 風の刀だと直に触らなくていいからいいな。
 あっ、でも、サメの目が怖い。迫力あるなぁ~。

 マジックバッグから大きなお皿を出して、火の魔法でこんがり美味しそうに焼いたサメの切り身を盛っていく。

「さぁ、召し上がれ♪」

 ホオジロザメは白身で美味しいと、普段食べれないこともあり、皆大喜びでサメにかじりついてる!

 砂浜で海風に揺れていたヤシの木の実をとって、ヤシの実ジュースで乾杯!
 森の仲間たちも、カイルも私も、カモメさんたちも、大満腹になったのでした♪
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