異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓

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花畑の妖精さん

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 今日は、初夏の森の中をカイルとお散歩。カイルは6歳くらいの男の子の姿をしている。

 木々が放つ美味しい空気と、時々すり抜けてゆく涼やかな風を感じながら楽しく歩いてゆくと、森の奥に花畑が見えた。

 まるで、そこだけ煌めくように美しい。
 
 私とカイルは、花に魅き寄せられるように花畑の中へと入っていった。

 よく見ると、可憐に咲き誇る花たちの上を、小さな何かがたくさん楽しそうに飛んでいる。

 透明なトンボや蝶の形の羽を持つ、妖精たちみたいだ。

 子供から大人まで幅広い年代で、体の大きさは5㎝~10㎝くらいと様々。


「カイル、これ妖精だよね? 花の上で飛び回って楽しそう。何してるんだろうね?」

「この子供の妖精は花の蜜を吸ってるみたい。大人の妖精は、花粉を集めてるみたいだね」

「カイルと会話できるのって、不思議な感じがする。普段、小虎の姿でいることが多いから」

 カイルの綺麗な横顔を見ながらそう言うと、
「だって、人の姿になるともふもふしてくれなくなるんだもん」と、カイルがむくれた。

 人の姿のカイルはつるすべ肌で、もふ部分はもふ耳だけなんだもん。もふもふ出来ないよ ^^;

 もしかしなくても、カイルは甘えん坊なのかな?

「でも、もしルカが危ない目に遭ったときに助けてあげれる自分でいたいから、これからは時々、人の姿になって鍛えようと思ってるんだ」

「カイル、私を守ってくれるの?」

「うん!」

「私もカイルを守れるように鍛えるね」

「ルカは僕に守られていればいいんだよ」

 なんてカッコイイ台詞を言うの。
 甘えん坊なのに頼りがいがありそうなカイルは魅力的だな。


「花の蜜って、美味しいのかな?」
「飲んでみる?」

 カイルとどの花にしようか見ていると、

『この花の蜜が美味しいわよ♪』

 花の蜜を吸う専用ストローを持ったお姉さん妖精が現れた。

『この花は、ちょっとスパイシーで、この花はちょっと味が薄いわね、これは笑いが止まらなくなる笑い蜜だし、これはしゃっくりが出る蜜で…』

 もしかして、あまり美味しくないのでは。

『なので、これを混ぜて飲むといいわよ♪』

 妖精はハチミツを持ち歩いているようだ。マイ蜂蜜というやつですな!

 花の蜜が美味しくないから、蜂蜜を混ぜないと飲みにくいということは…!

「カイル、家に帰ってからハチミツ水を飲む?」
「そうだね」

 しばらく花畑を楽しんでから、カイルと手を繋いで家路に向かった。

「花畑、綺麗だったね♪」
「うん。今度はパパとママとも一緒に来たいね♪」

 今度、この花畑に来るときは、妖精さんたちに蜂蜜を差し入れしよう♪
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