異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓

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模擬戦

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「いくぜ!」

「よし、来い!」

 ドドドドドドドッ! ドガッ! ビシッ! スッテ~ン!

 泉のほとりで、突然、動物たちの模擬戦が始まったかと思うと、たいした攻撃もせずに、滑って転んだ。

「レインボーさん、彼らは何やってるんですか?」
 もう少し見ごたえのある試合を期待していた私は、つい聞いてしまう。

「この森には変わった動物を捕えに盗賊が出没することがあるから、普段から模擬戦で鍛えてるんだよ。トゲネズミを捕えにくる盗賊はいないと思うんだけど、彼らは熱心に鍛えてるね」
「そうなんですか~。いろいろ大変なんですね~」

「ルカちゃんも護身術くらいできたほうがいいんじゃないかい? かわいいから」
「えっ♪ かわいいなんて、そんな~♪ あっ、これ、アーシャさんがくれた飴、食べます?」
「ありがと♪」

 転んだトゲネズミが立ち上がり、クレームをつける。

「おいっ! バナナの皮で滑っちゃったじゃないか! 姑息な手を使うな!」
「君だってキウイの皮を置いておいただろう! 人のことが言えるのか!」

 ここで、「物言い」が入った! ←相撲か!

「バナナとキウイでは、滑り具合が違いますね!」
「いやいや、果物の皮を戦闘に使用しようという考えがどうかと思いますが!」

 そんな会議をしてる間に模擬戦の続きをやったほうが鍛えられるんじゃないかと思ってしまうルカだった。

「トゲネズミさん、お手合わせお願いします!」
 突然のルカの乱入に、模擬戦を見に集まっていた動物たちが歓声を上げる。

「トゲネズミAとBがいるが、どちらと?」
「面倒なんで、ふたりと対戦します!」

 おお~~~っ!
 観客がどよめく。

「なんと! トゲネズミ2匹を1人で相手するとルカちゃんが参戦しました~! リトル爺さんの愛弟子ルカちゃんはどれほどの腕前なのか! 期待の試合が始まります、ファイト!」
 いつのまにか、タヌキツネの実況まで始まっていた。

 リトル爺ちゃんに教えてもらった攻撃魔法、一度、実戦で使ってみたいと思ってたんだよね。トゲネズミさんなら、あまり強くなさそうに見えたし。なんて、甘い考えかな?
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