クロックワーカーの遺したモノ

✟·̩͙✾叶彩

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二章 共に逝きる

第二十六話 旧友との別れ

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 ~森の屋敷 玄関ホール~

    瓦礫だらけの玄関ホールで対峙する二人、五感なんか当てにならない空間でリーベリアは傷だらけのフシールを見下ろしていた

リーベリア「魂の呪い《ロギアパラティクシィ》具現…炎舞ー壊刺ー」

フシール「…!っもう…ところ構わず燃やしてくれるじゃん」

リーベリア「フシールちゃんがさっさと諦めてくれれば屋敷壊さないで済むんだけど?」

フシール「なんで私が負けるの前提な…のっと!」

リーベリア「っ…本を狙ってきたか…」

フシール「それ壊したら魔法出せなくなるの?」

リーベリア「暴走を抑えるための媒体だからねぇ…別に無くても発動は出来るよ」

フシール「へ~暴走とかあるんだ」

リーベリア「でも面倒くさいな…海来ー水砲ー」

フシール「水?しまった…!っ…火薬が湿気るじゃん。厄介なことしてくれるね~」

リーベリア「それが目的だったからね」

 攻防は続き足場は徐々に消えていく

フシール「ちまちま撃ってても変わんないなぁ…こういうのはどう?」

リーベリア「ロケラン!?どこに隠し持ってんだよ!」

フシール「発射が遅いから避けられるかぁ…ならこれは?」

リーベリア「お前魔法袋《マジックバック》でも持ってんの!?」

 フシールが散弾銃を取り出しリーベリア目掛けて乱射しだした。しかし階段横へ隠れながら既に次の魔法陣を構築していた

リーベリア「夢音ー鱗粉の檻ー…囲え!」

フシール「わぁ…凄い綺麗」

リーベリア「ボーッと見とれてる暇あんのかなぁ?炎舞ー火球ー」

フシール「発火しやすい鱗粉…炎の檻ってことね…でもこんなんで閉じ込められると思ってる?」

リーベリア「突っ切ってくるかよ普通」

フシール「炎は慣れてんだw」

 躊躇せず炎の中を抜けリーベリアに一直線に向かっていく

フシール「捉えた…これで!」

リーベリア「…残念」

フシール「…は?」

 目の前に居たリーベリアの姿が消えフシールは投げ出されるように地面に転がり込む

リーベリア「夢音ー幻煙ーこんなに煙が充満してたら君でも見分けはつかないでしょ?」

フシール「偽物…っ…力が…」

リーベリア「この煙は吸えば麻痺するからね。耐性が高いのか効果が出るのが随分と遅かったけど…じゃあ…その状態でもこれ避けれる?」

フシール「嘘…最っ悪!w」

 無数のナイフがフシール目掛けて落ちてくる。体が麻痺した状態で全て避け切るのは不可能だった

フシール「つぅ…」

リーベリア「半身犠牲にして生き延びたんだ…左手は完全に使い物にならないけど銃使いがまだやる気?」

フシール「貴方程度なら片腕使えれば十分だよ」

リーベリア「なら試そうか?ー風刃ー」

フシール「斬撃…?対処はフィロ兄ので慣れてるけど…」

リーベリア「さっきより動けるようになってるみたいだね」

フシール「お喋りしたおかげで少しは回復したからね」

リーベリア「回復スピードが異様に早いな…」

フシール「さて…どうするか…」

 瓦礫の裏に身を潜めながら新しく弾を装填していた。フシールは自分が勝てる確率なんてゼロに等しいのを分かっていた

リーベリア「呑気に考えてる暇あるの?」

フシール「もう少しゆっくりさせてよね!」

リーベリア「断るw氷界ー牢壁ー」

フシール「無駄に場所が狭まるなぁ…」

リーベリア「エトアルの為にさっさと始末しないとなんだよね~大人しく逝ってくれない?」

フシール「あの女に恋情でも抱いてんの?wどうせ無駄なのに…貴方も彼女もここで死ぬんだから!」

リーベリア「黙れよ…炎舞ー爆来ー」

フシール「マジで動きにくいなぁ…飛べるのズル過ぎ」

リーベリア「ちょこまか動くネズミみたいなやつには言われたくないね」

フシール「クッソが…!」

 逃げながら撃ち続けるも掠ったのでさえ三、四発。気がつけば扉の前まで追い詰められていた

リーベリア「もう逃げ場は無いよ?」

フシール「あ~ぁ流石に分が悪いか…」

リーベリア「…夢音ー蠱毒ー」

フシール「でも最期に楽しめたな~…ねぇ…リーベリアさん【先に逝って待ってて】…ね?」

 …バン!

リーベリア「何言っ…て…かはっ…」

フシール「いくら魔導師でも心臓撃ち抜かれたら死ぬでしょ?構造は普通の人間と変わんないんだから」

 リーベリアは背後から飛んできた弾丸に胸元を撃ち抜かれ静かにその場に崩れ落ちた。やがて大量の血が流れ出し周りが赤く染まっていく

フシール「ラルカちゃんにカラクリ頼んどいて良かった…使う事になるなんて思わなかったけど」

リーベリア「糸で…引き金を…?」

フシール「そ~ゆ~こと。いいねぇ…リーベリアさんの苦しむ顔も貴方の魔法みたいに綺麗だなぁ…」

リーベリア「狂ってる…」

フシール「…そうだね。いつからだったかなぁ…最初はこんなんじゃなかった筈なんだけど…」

リーベリア「なんで…君等は…」

フシール「…楽しかったよ?十年間…ありがとね。ずっと楽しかった…楽し過ぎてさぁ…私もフィロ兄も貴方を殺せなかった…だけど…これ以上はもう無理だったんだよ…例えラルカちゃんのことが無くても…」

リーベリア「やっぱり…か…今まで見逃してくれてありがとう…君等が…自由になれることを祈ってるよ…フシールちゃん」

フシール「…大丈夫。貴方の毒ならきっと私も…」

 フシールはそれ以上言葉を発さなかった。リーベリアの頭に銃口を当て引き金を引く。一粒の雫が銃に落ちた
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