24 / 30
二章 共に逝きる
第二十四話 闇に溶け込む
しおりを挟む
~星の図書館~
図書館内の全ての本棚に白い布が掛けられる。町中に夜を告げる鐘が鳴り響き青年は立ち上がった
エトアル「ハロスくんもう向かう気?」
ハロス「準備は終わらせましたからね。日も沈みましたし」
リーベリア「焦り過ぎ。俺達も行くから屋敷についてからの動きだけでも最後にもう一回確認するよ」
ハロス「…わかりました」
エトアル「ハロスくんは黒髪の男が目的なんだよね?場所の目星はついてる?」
リーベリア「鴉を使って調べた限りだと結構屋敷広いけど…」
ハロス「妹の方が銃を使っていたしお互い自分の戦闘に干渉されるのを嫌っている感じがしたので離れた位置ですかね…」
エトアル「屋敷に行って誰が最初に出てくるかによるかな」
リーベリア「最初に件の彼が出てきたら俺とエトちゃんが屋敷の奥に向かう感じかな…」
エトアル「逆ならハロスくんだけでも先に進ませる形か…上手く行くといいけど」
ハロス「…とにかく行きましょう。時間は有限ですから」
リーベリア「ちょ…ハロスくん!」
ハロスが一足先に図書館を飛び出す。残された二人は静かにうなだれた
エトアル「完全に憎悪に飲まれてる…」
リーベリア「エトちゃんはどう動くつもり?」
エトアル「遠距離同士だと私とフシールちゃんじゃ確実に負けるだろうね…リーくんの魔法に執着してるのもあるし私はラルカちゃんの方かな…」
リーベリア「ラルカちゃんの戦い方なら屋敷の中に居るだろうね…」
エトアル「見つけるまでのリミットが心配かな」
リーベリア「なるべく早くフシールちゃんとの戦闘を終わらせて殺気を解除させないとか…」
エトアル「とにかく追いましょう。性格的にフシールちゃんは玄関ホールに居るだろうから今のハロスくんが一人でぶつかれば確実に負けるわ」
リーベリア「そうだね。明日までに帰ってこれるといいけど」
エトアル「生きて帰れれば…だけどね」
リーベリアは立ち上がるとエトアルの手元に目を落とした
リーベリア「エトちゃん…それ何だったの?話してる間にやってたみたいだけど」
エトアル「正位置で…塔。ハロスくん…」
リーベリア「最近は悪いカードばっかりだね」
エトアル「希望が少しでもあるならそれを掴むだけよ」
二人は図書館を施錠するとハロスを追い闇の中へ消えていった
~森の屋敷 談話室~
本を読むラルカの前でフィロとフシールは日中の手合わせで使った武器の手入れをしていた
フィロ「雨に打たれたからちゃんとやらないと錆びるな…」
フシール「あちゃぁ…装填用に持ってた弾全部湿気ってるよ…これじゃ使い物にならないな」
ラルカ「なんでわざわざ悪天候の日にやるんですか…」
フィロ「血が流れるから掃除の心配しなくていいんだよな…あ、フシールそっちに置いてある拭い紙取って」
フシール「え?あぁ…これか、はい。ん~…あと雨の日だと匂いが分かりにくくなるからってのもあるかな…」
ラルカ「でもあんなに大雨だったのに夜になる頃には止みましたね。雲が晴れても月は結局見えませんけど…」
フシール「それにしてもフィロ兄その刀いつから使ってるっけ?国出る前からだよね」
フィロ「クソみてぇな家のとはいえ受け継がれてきたものだしな。それにこいつが一番使い慣れてる」
ラルカ「お二人の故郷ってどんな所なんですか?」
紅茶と茶菓子を準備しながらラルカが尋ねた
フシール「あれ?結局話してこなかったんだっけ…」
フィロ「どんな所か…この国ほど広くはないな。同じように上に立つ人間はいたけどな」
フシール「実力主義だけどみ~んな臆病wでも私は好きだよ?一言で言うなら簡単に人が死ぬ国」
ラルカ「いつか行ってみたいですね」
フィロ「そうかぁ?俺はあんなところに連れて行きたくねぇな。ていうかまず帰りたくない」
ラルカ「そうですか…まぁ私はお兄様の意向に従うだけですから」
少し残念そうにしながらも静かに微笑みティーカップに口をつける。暫くするとフィロが手を止めた
フィロ「…フシール、ラルカ」
フシール「どうしたの?」
ラルカ「何かありましたか?」
フィロ「客人だ。森の中を真っ直ぐに屋敷へ向かってる」
フシール「いつもの二人じゃないの?」
フィロ「いや…随分と懐かしい気配も一緒に来てるなぁ」
ラルカ「戦闘になりますか?」
フィロ「あぁ…二人とも今日は本気で演じろ」
フシール「久々の舞台か~楽しみぃ」
ラルカ「でしたら私は準備に行かなくては行けませんね」
フィロ「さて…二人の相手は誰になることやら」
フシール「誰が相手でも関係ないよ。観客に待つのはバッドエンドだけだからね」
ラルカ「お二人のお相手が気の毒ですね…」
フシール「それじゃ私は玄関ホールで開幕の合図でもしようかな」
フィロ「俺は道場に行くか…馬鹿の銃声も届かないだろうしあそこが一番落ち着くだろ」
フシール「失礼な…」
ラルカ「でしたら私は地下に行きましょうか」
フィロ「了解。屋敷内には不用意に入らないほうが良さそうだな…それじゃあ二人とも好きに殺れ」
フシール「りょうか~いw」
ラルカ「了解です」
フィロの合図で三人は敷地内に散った。数分後暗闇に包まれた屋敷に舞台の始まりを告げるカーテンコールが鳴り響いた
図書館内の全ての本棚に白い布が掛けられる。町中に夜を告げる鐘が鳴り響き青年は立ち上がった
エトアル「ハロスくんもう向かう気?」
ハロス「準備は終わらせましたからね。日も沈みましたし」
リーベリア「焦り過ぎ。俺達も行くから屋敷についてからの動きだけでも最後にもう一回確認するよ」
ハロス「…わかりました」
エトアル「ハロスくんは黒髪の男が目的なんだよね?場所の目星はついてる?」
リーベリア「鴉を使って調べた限りだと結構屋敷広いけど…」
ハロス「妹の方が銃を使っていたしお互い自分の戦闘に干渉されるのを嫌っている感じがしたので離れた位置ですかね…」
エトアル「屋敷に行って誰が最初に出てくるかによるかな」
リーベリア「最初に件の彼が出てきたら俺とエトちゃんが屋敷の奥に向かう感じかな…」
エトアル「逆ならハロスくんだけでも先に進ませる形か…上手く行くといいけど」
ハロス「…とにかく行きましょう。時間は有限ですから」
リーベリア「ちょ…ハロスくん!」
ハロスが一足先に図書館を飛び出す。残された二人は静かにうなだれた
エトアル「完全に憎悪に飲まれてる…」
リーベリア「エトちゃんはどう動くつもり?」
エトアル「遠距離同士だと私とフシールちゃんじゃ確実に負けるだろうね…リーくんの魔法に執着してるのもあるし私はラルカちゃんの方かな…」
リーベリア「ラルカちゃんの戦い方なら屋敷の中に居るだろうね…」
エトアル「見つけるまでのリミットが心配かな」
リーベリア「なるべく早くフシールちゃんとの戦闘を終わらせて殺気を解除させないとか…」
エトアル「とにかく追いましょう。性格的にフシールちゃんは玄関ホールに居るだろうから今のハロスくんが一人でぶつかれば確実に負けるわ」
リーベリア「そうだね。明日までに帰ってこれるといいけど」
エトアル「生きて帰れれば…だけどね」
リーベリアは立ち上がるとエトアルの手元に目を落とした
リーベリア「エトちゃん…それ何だったの?話してる間にやってたみたいだけど」
エトアル「正位置で…塔。ハロスくん…」
リーベリア「最近は悪いカードばっかりだね」
エトアル「希望が少しでもあるならそれを掴むだけよ」
二人は図書館を施錠するとハロスを追い闇の中へ消えていった
~森の屋敷 談話室~
本を読むラルカの前でフィロとフシールは日中の手合わせで使った武器の手入れをしていた
フィロ「雨に打たれたからちゃんとやらないと錆びるな…」
フシール「あちゃぁ…装填用に持ってた弾全部湿気ってるよ…これじゃ使い物にならないな」
ラルカ「なんでわざわざ悪天候の日にやるんですか…」
フィロ「血が流れるから掃除の心配しなくていいんだよな…あ、フシールそっちに置いてある拭い紙取って」
フシール「え?あぁ…これか、はい。ん~…あと雨の日だと匂いが分かりにくくなるからってのもあるかな…」
ラルカ「でもあんなに大雨だったのに夜になる頃には止みましたね。雲が晴れても月は結局見えませんけど…」
フシール「それにしてもフィロ兄その刀いつから使ってるっけ?国出る前からだよね」
フィロ「クソみてぇな家のとはいえ受け継がれてきたものだしな。それにこいつが一番使い慣れてる」
ラルカ「お二人の故郷ってどんな所なんですか?」
紅茶と茶菓子を準備しながらラルカが尋ねた
フシール「あれ?結局話してこなかったんだっけ…」
フィロ「どんな所か…この国ほど広くはないな。同じように上に立つ人間はいたけどな」
フシール「実力主義だけどみ~んな臆病wでも私は好きだよ?一言で言うなら簡単に人が死ぬ国」
ラルカ「いつか行ってみたいですね」
フィロ「そうかぁ?俺はあんなところに連れて行きたくねぇな。ていうかまず帰りたくない」
ラルカ「そうですか…まぁ私はお兄様の意向に従うだけですから」
少し残念そうにしながらも静かに微笑みティーカップに口をつける。暫くするとフィロが手を止めた
フィロ「…フシール、ラルカ」
フシール「どうしたの?」
ラルカ「何かありましたか?」
フィロ「客人だ。森の中を真っ直ぐに屋敷へ向かってる」
フシール「いつもの二人じゃないの?」
フィロ「いや…随分と懐かしい気配も一緒に来てるなぁ」
ラルカ「戦闘になりますか?」
フィロ「あぁ…二人とも今日は本気で演じろ」
フシール「久々の舞台か~楽しみぃ」
ラルカ「でしたら私は準備に行かなくては行けませんね」
フィロ「さて…二人の相手は誰になることやら」
フシール「誰が相手でも関係ないよ。観客に待つのはバッドエンドだけだからね」
ラルカ「お二人のお相手が気の毒ですね…」
フシール「それじゃ私は玄関ホールで開幕の合図でもしようかな」
フィロ「俺は道場に行くか…馬鹿の銃声も届かないだろうしあそこが一番落ち着くだろ」
フシール「失礼な…」
ラルカ「でしたら私は地下に行きましょうか」
フィロ「了解。屋敷内には不用意に入らないほうが良さそうだな…それじゃあ二人とも好きに殺れ」
フシール「りょうか~いw」
ラルカ「了解です」
フィロの合図で三人は敷地内に散った。数分後暗闇に包まれた屋敷に舞台の始まりを告げるカーテンコールが鳴り響いた
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。


元Sランクパーティーのサポーターは引退後に英雄学園の講師に就職した。〜教え子達は見た目は美少女だが、能力は残念な子達だった。〜
アノマロカリス
ファンタジー
主人公のテルパは、Sランク冒険者パーティーの有能なサポーターだった。
だが、そんな彼は…?
Sランクパーティーから役立たずとして追い出された…訳ではなく、災害級の魔獣にパーティーが挑み…
パーティーの半数に多大なる被害が出て、活動が出来なくなった。
その後パーティーリーダーが解散を言い渡し、メンバー達はそれぞれの道を進む事になった。
テルパは有能なサポーターで、中級までの攻撃魔法や回復魔法に補助魔法が使えていた。
いざという時の為に攻撃する手段も兼ね揃えていた。
そんな有能なテルパなら、他の冒険者から引っ張りだこになるかと思いきや?
ギルドマスターからの依頼で、魔王を討伐する為の養成学園の新人講師に選ばれたのだった。
そんなテルパの受け持つ生徒達だが…?
サポーターという仕事を馬鹿にして舐め切っていた。
態度やプライドばかり高くて、手に余る5人のアブノーマルな女の子達だった。
テルパは果たして、教え子達と打ち解けてから、立派に育つのだろうか?
【題名通りの女の子達は、第二章から登場します。】
今回もHOTランキングは、最高6位でした。
皆様、有り難う御座います。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる