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一章 歪んだ生活
第十六話 命を刈り取る
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~森の入り口~
エトアルとリーベリアが屋敷を訪ねる数日前、森の入り口付近ではエトアルとハロスが模擬戦をしていた
エトアル「動きが遅い!」
ハロス「はい!」
エトアル「すぐに新しい矢を装填する!」
ハロス「っ…はい!」
エトアル「また駄目…これで終わり?ハロスくん」
ハロス「なっ…」
リーベリア「あちゃ~後ろに回り込まれちゃったね」
ハロス「リーベリアさん…」
エトアル「身体能力も高いし筋力も申し分ない…筋はいいんだけど弓矢は向いてないのかもね」
ハロス「すいません…」
リーベリア「何か他の武器を試したほうがいいかもね」
ハロス「でも…この町には武器なんてないし…」
エトアル「ん~…今度商人のおじさんが王都に行くって言ってたしついてってみれば?」
ハロス「王都…ですか…」
リーベリア「俺等はちょっと行けないけどねぇw」
エトアル「図書館を長い間留守にする訳にも行かないからねw」
ハロス「そう…ですね」
リーベリア「使ってみたいのってないの?それか使った事あるやつ」
ハロス「…鎌…なら」
エトアル「えっ…それはまた珍しい物ね」
ハロス「父が使っていたんです。母はエトアルさんのとは違う一般的な狩猟用の弓矢を」
リーベリア「そういえば二人の家族の話は聞いたことないね…」
エトアル「今ハロスくんとラルカちゃんって何歳なんだっけ?」
ハロス「俺は十六歳です。ラルカは十四歳」
エトアル「若いな…」
リーベリア「この町に来たときから二人だったよね」
ハロス「…両親は死んでしまって…」
エトアル「あ…そう…だったんだ」
ハロス「俺がラルカを守るって約束したから…絶対に助け出してみせます」
リーベリア「うん…そうだね。ごめんね辛いこと聞いちゃって」
ハロス「いえ…」
父親が使っていたという鎌、自分の武器を望み王都へ向かうことにしたハロスは商人の居る広場へと向かった
~辺境の町 広場~
ハロス「すいません」
商人「お、坊っちゃんじゃねぇか!」
ハロス「その呼び名辞めてくださいよ…w」
商人「いや~兄妹揃って貴族様みたいだからよw今日は嬢ちゃんは一緒じゃねぇんだな、何か用か?」
ハロス「また…王都に行くんですよね?」
商人「おう!何か欲しいもんでもあるのか?」
ハロス「いえ…俺を王都に連れて行ってほしいんです!」
商人「王都に?そりゃあまたなんで」
ハロス「武器屋に行きたいんです…この町にはそこまで本格的な武器屋はないでしょう?」
商人「武器ったぁ珍しいもんを望むんだなw何かあったのか?」
ハロス「っ…」
商人「…よし…わかった!連れてってやるよ。それに俺の伝手が役に立つかもしれねぇ…」
ハロス「伝手…ですか?」
商人「前に客に聞いたことなんだけどよ…お前さん異種族ってのは見たことあるかい?」
ハロス「…いえ」
商人「ここは辺境だから案外見れるかもしれねぇぞ?この世界には…いや帝国の領土の外側には異種族が居るんだ。各々が国を持っている」
ハロス「そうなんですか…」
商人「だがまぁ帝国内部にも異種族が居るって噂があるんだ…俺が聞いたのはドワーフがやっているっていう武器工房さ」
ハロス「ドワーフ…!」
商人「プライドは高いが腕は確か…どうだい?」
気分屋の職人ドワーフ…彼等は完璧な仕事をこなす代わりに自らが認めた者にしかドワーフ品は作ってくれないと言う
ハロス「…是非」
商人「いい心意気だ!乗りな!王都までは結構かかるからな…そうと決まればすぐに向かわねぇと」
ハロス「ありがとうございます」
商人の馬車に揺られ王都へと続く岩道を走り出した。二日ほど経ち王都に辿り着いたハロスは地図が書かれた紙を渡されて商人とは別行動を始めた
~王都 職人通り~
ハロス「王都はこんなにごちゃごちゃしてるのか…どの道が正しいのかもわかんないな…それに…あの建物だよな…皇帝の住む…王城」
?「そこの兄ちゃん。王城を睨んで何してんだ」
ハロス「っ!」
?「反逆罪で殺されてぇのか?現皇帝は悪魔だぜ」
ハロス「あなたは…?」
ヴェルカー「ドワーフのヴェルカー。お前人間にしては珍しいほどの魔力を纏っているな。何者だ?」
ハロスに興味を引いたのか突如後ろから声をかけてきたのはハロスが探していた相手だった
ハロス「…ハロス…辺境の町から来ました。俺は…貴方に武器を作ってもらいに来ました!」
ヴェルカー「…頼まれただけでそう簡単に作ると?」
ハロス「妹を助ける為に必要なんです…俺に渡せるものなら何でも渡します!だから…!」
ヴェルカー「…落ち着け、試すようなことをして悪かった。お前良い目をしてるな…何でも渡すってんなら交換条件は一つだ」
ハロス「…何を…渡せば作ってくれますか」
ヴェルカー「よく知ってんだろ?混血の生き残りよ」
ハロス「なん…で…」
ヴェルカー「魔力の流れでわかる。付いてこい工房に案内する」
ハロス「…はい」
ヴェルカーの後を進み職人通りの一角に佇む店へと二人は入っていった。ヴェルカーの言葉の意味とは何なのだろうか…数日後…王都を出て辺境の町へ戻ったハロスの手には大鎌《レヴナント》の姿があった。日が落ちた頃エトアル達の待つ星の図書館へと一人歩いていた
エトアルとリーベリアが屋敷を訪ねる数日前、森の入り口付近ではエトアルとハロスが模擬戦をしていた
エトアル「動きが遅い!」
ハロス「はい!」
エトアル「すぐに新しい矢を装填する!」
ハロス「っ…はい!」
エトアル「また駄目…これで終わり?ハロスくん」
ハロス「なっ…」
リーベリア「あちゃ~後ろに回り込まれちゃったね」
ハロス「リーベリアさん…」
エトアル「身体能力も高いし筋力も申し分ない…筋はいいんだけど弓矢は向いてないのかもね」
ハロス「すいません…」
リーベリア「何か他の武器を試したほうがいいかもね」
ハロス「でも…この町には武器なんてないし…」
エトアル「ん~…今度商人のおじさんが王都に行くって言ってたしついてってみれば?」
ハロス「王都…ですか…」
リーベリア「俺等はちょっと行けないけどねぇw」
エトアル「図書館を長い間留守にする訳にも行かないからねw」
ハロス「そう…ですね」
リーベリア「使ってみたいのってないの?それか使った事あるやつ」
ハロス「…鎌…なら」
エトアル「えっ…それはまた珍しい物ね」
ハロス「父が使っていたんです。母はエトアルさんのとは違う一般的な狩猟用の弓矢を」
リーベリア「そういえば二人の家族の話は聞いたことないね…」
エトアル「今ハロスくんとラルカちゃんって何歳なんだっけ?」
ハロス「俺は十六歳です。ラルカは十四歳」
エトアル「若いな…」
リーベリア「この町に来たときから二人だったよね」
ハロス「…両親は死んでしまって…」
エトアル「あ…そう…だったんだ」
ハロス「俺がラルカを守るって約束したから…絶対に助け出してみせます」
リーベリア「うん…そうだね。ごめんね辛いこと聞いちゃって」
ハロス「いえ…」
父親が使っていたという鎌、自分の武器を望み王都へ向かうことにしたハロスは商人の居る広場へと向かった
~辺境の町 広場~
ハロス「すいません」
商人「お、坊っちゃんじゃねぇか!」
ハロス「その呼び名辞めてくださいよ…w」
商人「いや~兄妹揃って貴族様みたいだからよw今日は嬢ちゃんは一緒じゃねぇんだな、何か用か?」
ハロス「また…王都に行くんですよね?」
商人「おう!何か欲しいもんでもあるのか?」
ハロス「いえ…俺を王都に連れて行ってほしいんです!」
商人「王都に?そりゃあまたなんで」
ハロス「武器屋に行きたいんです…この町にはそこまで本格的な武器屋はないでしょう?」
商人「武器ったぁ珍しいもんを望むんだなw何かあったのか?」
ハロス「っ…」
商人「…よし…わかった!連れてってやるよ。それに俺の伝手が役に立つかもしれねぇ…」
ハロス「伝手…ですか?」
商人「前に客に聞いたことなんだけどよ…お前さん異種族ってのは見たことあるかい?」
ハロス「…いえ」
商人「ここは辺境だから案外見れるかもしれねぇぞ?この世界には…いや帝国の領土の外側には異種族が居るんだ。各々が国を持っている」
ハロス「そうなんですか…」
商人「だがまぁ帝国内部にも異種族が居るって噂があるんだ…俺が聞いたのはドワーフがやっているっていう武器工房さ」
ハロス「ドワーフ…!」
商人「プライドは高いが腕は確か…どうだい?」
気分屋の職人ドワーフ…彼等は完璧な仕事をこなす代わりに自らが認めた者にしかドワーフ品は作ってくれないと言う
ハロス「…是非」
商人「いい心意気だ!乗りな!王都までは結構かかるからな…そうと決まればすぐに向かわねぇと」
ハロス「ありがとうございます」
商人の馬車に揺られ王都へと続く岩道を走り出した。二日ほど経ち王都に辿り着いたハロスは地図が書かれた紙を渡されて商人とは別行動を始めた
~王都 職人通り~
ハロス「王都はこんなにごちゃごちゃしてるのか…どの道が正しいのかもわかんないな…それに…あの建物だよな…皇帝の住む…王城」
?「そこの兄ちゃん。王城を睨んで何してんだ」
ハロス「っ!」
?「反逆罪で殺されてぇのか?現皇帝は悪魔だぜ」
ハロス「あなたは…?」
ヴェルカー「ドワーフのヴェルカー。お前人間にしては珍しいほどの魔力を纏っているな。何者だ?」
ハロスに興味を引いたのか突如後ろから声をかけてきたのはハロスが探していた相手だった
ハロス「…ハロス…辺境の町から来ました。俺は…貴方に武器を作ってもらいに来ました!」
ヴェルカー「…頼まれただけでそう簡単に作ると?」
ハロス「妹を助ける為に必要なんです…俺に渡せるものなら何でも渡します!だから…!」
ヴェルカー「…落ち着け、試すようなことをして悪かった。お前良い目をしてるな…何でも渡すってんなら交換条件は一つだ」
ハロス「…何を…渡せば作ってくれますか」
ヴェルカー「よく知ってんだろ?混血の生き残りよ」
ハロス「なん…で…」
ヴェルカー「魔力の流れでわかる。付いてこい工房に案内する」
ハロス「…はい」
ヴェルカーの後を進み職人通りの一角に佇む店へと二人は入っていった。ヴェルカーの言葉の意味とは何なのだろうか…数日後…王都を出て辺境の町へ戻ったハロスの手には大鎌《レヴナント》の姿があった。日が落ちた頃エトアル達の待つ星の図書館へと一人歩いていた
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