クロックワーカーの遺したモノ

✟·̩͙✾叶彩

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一章 歪んだ生活

第十五話 選択の時間

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 ~屋敷 フィロの自室~

 日が登り始めた頃ラルカは着替えを終えてフィロの部屋の前まで来ていた。早朝の肌寒さが屋敷を包みこんでいる

ラルカ「お兄様、もう起きてらっしゃいますか?」

フィロ「ん…ラルカか…鍵空いてるから入りなぁ…」

ラルカ「失礼します…ってお着替え中だったんですか!?通さないでくださいよぉ…」

フィロ「顔真っ赤にして振り返るまでが早いなw別に兄貴の裸見てもなんともねぇだろ」

 寝起きなのか髪もセットする前であくびをしながら着替えているフィロの姿があった

フィロ「ホント起きるの早いね~」

ラルカ「お兄様も早いですよね…」

フィロ「そう?フシールはどうせまだ寝てんだろ。すぐ終わらせるから座って待ってて」

ラルカ「はい」

 20分程で普段通りのフィロがやって来たがまだ少し眠そうな目をしていた

フィロ「はいコーヒー、ミルクと砂糖は入れてあるから。取り敢えず…ラルカが知ってる武器って何がある?」

ラルカ「銃と刀、あとは弓…ですかね。食堂にも飾ってありましたよね。あれは何だか馴染みがありました」

フィロ「知り合いに弓使う人でもいたのかな?エトアルさんはあのタイプの弓じゃないからね…」

ラルカ「エトアルさんも弓なんですね」

フィロ「うん。今度見せてもらえば?」

ラルカ「頼んでみます!」

フィロ「取り敢えずこれ飲んだら武器庫行ってみるか…」

フシール「二人共まだいる!?」

フィロ「お前…せめて着替えてから来いよ」

 飛び起きてからそのままフィロの部屋までやって来たのだろう…フシールが慌てながら入って来た

フシール「良かったぁ…二人とも起きるの早いんだもん」

ラルカ「何かありましたか?」

フシール「いや?ラルカちゃんの武器選ぶんなら私も居たいしね」

フィロ「取り敢えずフシールは準備してから武器庫に来い。後お前昔の服とかある?流石にラルカのドレスのまま試してくのはキツイだろ」

ラルカ「そう…ですね。動きやすいとは言えませんし」

フシール「あ~…多分残ってるかな?持ってくるわ」

ラルカ「ありがとうございます」

フィロ「慌ただしい奴だな…取り敢えず俺達も行こうか」

ラルカ「はい!」

 ~屋敷 武器庫~

 廊下の奥にある部屋の鍵をフィロが開けると中には数種類にも及ぶ様々な武器が並んでいた

ラルカ「見たことないのがたくさんある…」

フィロ「人を殺せるようなものは基本何でもあるからな」

ラルカ「ちっちゃいナイフ…?」

フィロ「それは短剣」

ラルカ「これ盾ですよね」

フィロ「そうそう」

ラルカ「凄い…」

フィロ「入ったことなかったもんなw何か気になるやつある?」

ラルカ「ん~…どれも大きくて…私でも使えるんですかね?」

フィロ「試してみない事には分からないけど…取り敢えず何か振ってみるか」

ラルカ「はい」

 近くの戸棚からフィロが取り出したのは小ぶりの斧だった

フィロ「これあくまで庭師の子供用だけど…まず持てる?」

ラルカ「持つくらいなら出来ますけど…結構な重さありますね」

フィロ「取り敢えずその場で振ってみな?」

 ブォン!

フィロ「…」

ラルカ「こ…これ頭クラクラしそうです…」

フィロ「ラルカの腕ごと遠心力で持ってかれそうになってたなw」

ラルカ「手が痺れます…」

フィロ「この関係は無理だなぁw」

フシール「なるべく軽いのがいいかもね」

ラルカ「お姉様!」

フシール「服持ってきたよ~ラルカちゃん取り敢えず着替えてきな」

ラルカ「はい」

 着替える為にラルカが自分の部屋に戻ると武器庫に残された二人は話し始めた

フィロ「ど~するかぁw」

フシール「撃つ関係にいったら多分足持たないでしょ…」

フィロ「可愛いんだけどそれじゃ駄目だからなぁ…」

フシール「少し特殊な方に行かないとかなぁ…」

フィロ「隠し持てる刃物は必須だな」

フシール「体格的に長槍系も駄目だよね」

 各々でいくつか選んでいたら着替えを終えたラルカが武器庫に戻ってきた

フシール「お、サイズ合った?」

ラルカ「はい。おかしく…ないですか?」

フィロ「似合ってるよ。取り敢えず両手剣でもやってみるか?」

ラルカ「わかりました…」

フシール「これは完全に近接だから相手の懐に潜り込むようにしな~」

フィロ「取り敢えず俺相手で試そうか、本気で躱すから本気で殺しにかかりな」

ラルカ「…はい!」

 しかし攻撃が当たるわけもなく最終的にはフィロが短剣を上空に弾いて終わった

フィロ「感覚は良いかもね」

フシール「両手でも問題なく使えてるし」

ラルカ「でも剣って結構手が痺れますね…」

フシール「これから鍛えていかないとねぇw」

フィロ「でもラルカの力の割には一発が結構重い感じしたな…当たってたら多分俺手首落ちてたかもよ?」

ラルカ「え!?」

フシール「あ~…そういえばなんか空気がピリピリしたね…リーベリアさんと戦った時とおんなじ感じ!」

フィロ「ラルカは魔力を持ってるのかもな…」

ラルカ「魔力…ですか?」

フィロ「うん。俺等は鍛錬して覇気を込めるけど魔力は使い方さえ分かればどの武器でも適応できるよ?」

ラルカ「でも…よく分からなくって…」

フィロ「まぁ無意識でやってるだけでも凄いだろ」

 暫く各々が考え事をし始め黙り込んだ為、静かな沈黙が流れていた

フシール「…あっ!」

フィロ「どうした?」

フシール「ラルカちゃん手先器用なんだしさ【糸】とかどう?」

ラルカ「糸…ですか?」

フィロ「あ~…隠密の奴等にたまにいたな」

フシール「糸を使って物を操ったりそれこそ糸で攻撃したり」

フィロ「人形劇って見たことあるか?」

ラルカ「覚えてる限りだとないです…」

フィロ「まぁそれも糸で人形を操るんだよ」

フシール「私達も未知の分野だから色々試して覚えていかないとだけど…」

フィロ「星の図書館なら何かあるかもな」

フシール「んじゃ今度鳥でも飛ばして持ってきてもらおうよ!」

フィロ「そうだな…」

ラルカ「私でも…出来ますかね?」

フィロ「さぁ?」

ラルカ「え…」

フィロ「最初は誰も出来ないさ。だから練習って言葉があるんだろ?きっと出来るようになる。それに魔力の扱い方が分かるようになれば自由自在に動かしたりも出来るかもよ?そんなん試してみるしかないじゃん」

ラルカ「…はい!」

 後日エトアルが届けに来た本を読みながらラルカは糸を自在に動かす方法、そして魔力の扱い方を勉強し始めた。異質な彼女の人形劇《戦い方》はどの様な未来をもたらすのだろうか
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