クロックワーカーの遺したモノ

✟·̩͙✾叶彩

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一章 歪んだ生活

第十話 生き残りの魔導師

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 ~屋敷 玄関ホール~

 玄関ホールを走り回りひたすらに銃弾を避けてる二人だったがフシールが一向に反撃してこない二人に対して苛立ち、引き金を引く手を止めた

フシール「さっきからなんなの?逃げ回ってばっかりじゃん。貴方達も武器持ってきてんでしょ?本気で戦おうよ!」

エトアル「お断りよ。こんな所で戦闘始めてフィロさんを敵に回すのは勘弁したいからね…それにしても、ホントに自分の屋敷なのか疑いたくなる程自分の手で壊してるわね」

リーベリア「フシールちゃん、これフィロさんがこの惨状見たら雷落とすんじゃないの?」

フシール「知らないよ。ど~でもいい~私は二人と戦いたいの!」

リーベリア「ん~…どうするの?エトちゃん」

エトアル「そんなの知った事じゃないわよ」

リーベリア「まぁ俺達何もしてないもんね~」

エトアル「ともかくあの化け物が来る前にフシールちゃんをどうにかしないと…」

フシール「あっ!少しは殺る気になったの?でも内緒話とかやだなぁ…私もお話混ぜてよ!」

リーベリア「…っ!エトアル避けろ!」

エトアル「え…?」

 いつの間にかエトアルの後ろに回り込んでいたフシールが引き金を引いた。その瞬間銃弾がエトアルの肩を撃ち抜いた

エトアル「油断してた…こんなのも避け切れないなんてね…」

リーベリア「流石にそれは笑えないよ…?フシールちゃん」

フシール「あはっ!リーベリアさんが怒るの久々に見たなぁこれなら楽しめそうw」

エトアル「リーベリア、落ち着いて!私は大丈夫だから」

リーベリア「エトアルは下がってな?さて…どうしようか?火、水、雷…血で汚してフィロさんに怒られるのも嫌だから高火力で傷口ごと燃やそうか?」

 リーベリアが小脇に抱えていた本を開き手をかざした瞬間背後に魔法陣が展開され蒼い炎を纏った魔力弾が出現した

リーベリア「魂の呪い《ロギアパラティクシィ》…具現」

フシール「わぁ…っ…!やっぱり綺麗…リーベリアさんの魔法久々に見た気がするなぁ…さて、二丁でどこまで凌げるか試してみよっかな」

ラルカ「ホントにこれ落として大丈夫ですか?」

フィロ「元々捨てる予定の食器だったから大丈夫だよ」

ラルカ「いや…そっちじゃなくて…」

エトアル「え?今上から声が…」

 ガシャーン

リーベリア「痛!何が降ってきて…って、あ!しまった軌道が逸れて…!」

フシール「なっ…流石にそれは反応出来ないって…」

 ドカーン!ガラガラガラ…

ラルカ「これ余計なことしないほうが良かったんじゃ…結構酷いことになってますよね?」

フィロ「これで良いんだよwフシールは俺が止めるからな」

フシール「あ~あ…急に何事かと思ったけど…原因はフィロ兄だったんだね」

エトアル「ねぇリーくん…あの子って」

リーベリア「多分…でも照明で顔が見えないな…」

 エトアルとリーベリアがラルカの存在に気づいた時には既にフィロは階段を降りてきていた

フィロ「フシール【屋敷の中で撃つな】って何回言えば分かるんだ?殺し合うのは構わないが暴れ過ぎだ。さっきのリーベリアの攻撃だって当たってんだ、今は下がってラルカに治療してもらえ」

フシール「この程度の怪我は日常茶飯事だから問題ないよ!邪魔しないでよね、折角魔法使わせられたのに意味ないじゃん。フィロ兄も今殺されたいの?」

フィロ「俺がフシールの弾に当たるとでも?」

エトアル「っ…体が…相変わらず凄い殺気ね…」

 フィロが殺気を出しホールにいる三人が指すらも動かせなくなっている中フィロの後を追うようにラルカが階段を降りてきた

ラルカ「お姉様、お怪我は大丈夫ですか?私が食器落としちゃったから…」

フシール「え!?なんでラルカちゃん普通に動けてんの?w」

フィロ「今のラルカじゃ俺の殺気に耐えられないだろ?だから対象外」

フシール「ホンっと無駄に器用だね…あ~あ!シラケた~」

フィロ「それで?リーベリアとエトアルは何か用か?」

リーベリア「取り敢えず落ち着いてくれないかなフィロさん?こんな拘束状態で話し続ける気?」

エトアル「私達は喧嘩しに来たわけじゃないよ。それにフシールちゃんに戦闘許可出したのフィロさんでしょ?」

フィロ 「…分かってますよwいらっしゃいエトアルさんリーベリアさん。本の回収でもしに来たの?」

リーベリア「それもあるんだけど今日は別の用事でさ取り敢えず部屋を移動しないかな?硝煙立ち込めるボロボロの玄関ホールで会話なんてまともに出来ないだろ」

フィロ「まぁそうですね、ラルカ俺の部屋から本持ってきてもらえる?机の上にまとめてるはずだから」

ラルカ「わかりました。談話室で良いんですよね?」

フィロ「うん、ごめんね。それじゃお二人共行きましょうか」

 ~屋敷 談話室~

談話室に四人が集まって各々がソファに腰掛けた。フシールが銃に弾を詰め直している中、エトアルが話し始めた

エトアル「ごめんなさいね急に来ちゃって。この後も用事があるからそこまで長居は出来ないのよ」

フィロ「わかりました、急に来たことも今は別に良いですよ。それで…何か用があるんですよね?」

リーベリア「うん。取り敢えず…その子の事聞いてもいいかな?」

 リーベリアが指差したのは丁度扉を開けて入ってきたラルカだった

ラルカ「本を持ってきました…けど私がどうかしましたか?」

フィロ「ありがと。これで俺が持って行った本は全部かな?」

エトアル「無くなってたのと全部一致したよ。持ってくのはいいけど声をかけて頂戴」

フィロ「見かけたらそうするわw」

リーベリア「まったく…それで俺達が本当に聞きたいのはその子のことなんだけど?これ以上はぐらかさないでよね?」

フィロ「ん?あぁ…ラルカこっちおいで」

ラルカ「はい。お兄様」

 フィロが近付いてきたラルカの腕を引いて横に座らせるとエトアル達の方を向き直した

フィロ「それで、この子がどうかしたの?」

リーベリア「その子には本当のお兄さんが居る筈だよね?さっきからフィロさんやフシールちゃんの事を兄様、姉様って呼んでるけど」

フィロ「説明しなくても二人なら意味分かるだろ?この兄妹は俺の新しい玩具だよwあれ…もしかして怒ってたりする?」

エトアル「私達が怒った所ででしょ?」

フィロ「あ~そっか…お前等あの町に住んでるもんな。もしかして知り合いだった?まぁ良いじゃん…」

 全て見透かしているかのようにフィロが笑いながらリーベリアに近づき耳元で囁いた

フィロ「仲が良かったのかは俺の知った事じゃないけど今のラルカにお前らの記憶はない。とはいえ…お前等が俺等の仲間である限りは会えるだろ?w」

リーベリア「記憶を…奪ったのか?」

フシール「面白い事見つけたときのフィロ兄に何言っても無駄だってお二人ならわかりますよね?」

エトアル「まぁそうね…わざわざこんなことで敵に回すのもめんどくさい。でもラルカちゃんには会えるんだし別にいいか」

リーベリア「そうだね。それじゃ改めて【初めまして】ラルカちゃん」

 最初の出会いを繰り返す様に自分達の事を知らない存在になったラルカへと手を差し出した

エトアル「私は星の図書館の占い師兼狩人のエトアルよ」

リーベリア「俺は同じく星の図書館で司書をしてる魔導師のリーベリアだよ」

ラルカ「よろしくお願いします…あの、リーベリアさんは魔法が使えるんですか?でも魔導師はもう存在してないんじゃ…」

リーベリア「うん。だからこれは秘密ね?俺はそれを隠す為にここに居るから」

ラルカ「…わかりました」

 リーベリアが苦笑いをしながら口に指を当ててシィーっと言うとリーベリアが持っている本を一瞥したあとにラルカは返事をした。魔法使いは滅んだ、その上に立つ魔導師も…何故まだ魔法を使える人間がいるのか疑問を残したまま二人は【夜が来てしまう】と言って星の図書館へ帰っていった
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