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一章 歪んだ生活
第七話 目覚めた場所
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~屋敷 ラルカの部屋~
嵐のような一夜が明けた後少女は無機質な部屋で目を覚ました。机にクローゼット、ベッドが置いてあるだけの部屋は元の広さも相まってどこか寂しくなるくらい物がなかった
ラルカ「私…何してたんだっけ…それにここって…」
フィロ「ラルカ、起きてる?開けてもいい?」
ラルカ「あ…お…兄様?」
フィロ「起きてたんだね。気分はどう?傷は痛む?」
ラルカ「大丈夫です…お兄様が手当をしてくれたんですか?」
フィロ「うん。まぁ怪我させたのフシールだけどなw」
ラルカ「お兄様…私記憶が…目が覚める前のことが上手く思い出せなくて…」
フィロ「…それでいいんだよ。フシールの昔のだけどクローゼットに服入れてあるからそれに着替えたら談話室に来な?」
ラルカ「わかりました…」
まだ痛む体を起き上がらせてクローゼットに向かうと黒いワンピースの様なものが一つだけかけてあった。貴族の子供が着ててもおかしくないようなドレスに袖を通してラルカは壁を支えに廊下を進んでいく。記憶を失っているのにまるで昔から知っていたかのように談話室の前まで辿り着いた
ラルカ「失礼します…」
フシール「あ!ラルカちゃんおはよ~服のサイズ合ってるみたいだね。良かったぁ」
フィロ「似合ってるじゃん。ごめんな、機能性重視した服ばっかなもので可愛いのそれしかなかったんだwちゃんと着れてるみたいで安心した」
ラルカ「お…おはようございます。それで…その」
フィロ「うん、記憶の事だろ?こっちおいで。説明してあげるから」
ラルカ「はい…」
何を企んでいるのかは定かでは無いがフィロとフシールは昨晩の事を何も隠さずにありのまま伝えた
ラルカ「…じゃあ私はお兄様達の妹ではないんですか…?」
フシール「まぁ…そうなるかなぁw私達のこと嫌う?」
ラルカ「…いいえ。何も覚えてないから実感もないですしね。私にとってお二人が大好きなお兄様とお姉様なのに変わりはありません」
フィロ「もっと戸惑うかと思ってたのにw」
ラルカ「戸惑っても何も変わらないでしょう?」
フシール「ラルカちゃんは本当のお兄さんに会いたい?」
ラルカ「本当の…会ってみたい気持ちもあります。でも何ていうか…怖いんです」
フィロ「怖い?」
ラルカ「今私が抱いてる感情が嘘なのかもしれないって…私が私じゃなくなりそうで…」
フィロ「そっか」
震えながらラルカは言葉を絞り出した。彼女にとって失った記憶を取り戻せば今の自分を否定する事になるかもしれない。それがただ恐ろしかったのだ
ラルカ「なんで…私を生かしたんですか?」
フィロ「なんでって…?」
ラルカ「お話を聞いてたらわかります。お二人は私を殺す事も出来たでしょう?なのになんで…」
フシール「え?可愛かったから」
フィロ「面白そうだから?」
ラルカ「そんな…理由で?」
フィロ「俺らの行動理由みたいなものだしな…欲望以外に確かで信じられる理由ないだろ?」
フシール「だからまぁラルカちゃんが泣いて嫌がろうともう私達のモノだしね~」
フィロ「逃がすつもり無いからな?」
ラルカ「…フフッ…逃げるつもりもありませんよ」
静かに微笑んだ少女は本人も気付かないうちに涙が一粒頬を伝った。何故なのかは誰にも理由は分からない
フィロ「まぁ取り敢えず今朝ラルカが居た部屋はラルカの部屋だから。向かいが俺の部屋な」
フシール「私は隣だよ~階段側の方ね」
フィロ「何かあったら来な?空き部屋だったから物とかも特にないし欲しいものあったら教えて」
ラルカ「はい」
フシール「取り敢えず朝ごはんにしよっか!まだ食堂は行ったことなかったよね、一緒に行こ!」
フィロ「あんま固くならなくていいからな?この屋敷一応使用人居るけどフシールのこと怖がってあんま表に出ないからw」
フシール「呼べば来るけどね。まぁ基本私達しか住んでないようなものだから気にしないで~」
ラルカ「わかりました」
何も知らないまま生きていくのか消された記憶を取り戻すのか…どちらが今のラルカにとって幸せなのかは分からないけれど、奇妙な生活が静かに幕を開けた
嵐のような一夜が明けた後少女は無機質な部屋で目を覚ました。机にクローゼット、ベッドが置いてあるだけの部屋は元の広さも相まってどこか寂しくなるくらい物がなかった
ラルカ「私…何してたんだっけ…それにここって…」
フィロ「ラルカ、起きてる?開けてもいい?」
ラルカ「あ…お…兄様?」
フィロ「起きてたんだね。気分はどう?傷は痛む?」
ラルカ「大丈夫です…お兄様が手当をしてくれたんですか?」
フィロ「うん。まぁ怪我させたのフシールだけどなw」
ラルカ「お兄様…私記憶が…目が覚める前のことが上手く思い出せなくて…」
フィロ「…それでいいんだよ。フシールの昔のだけどクローゼットに服入れてあるからそれに着替えたら談話室に来な?」
ラルカ「わかりました…」
まだ痛む体を起き上がらせてクローゼットに向かうと黒いワンピースの様なものが一つだけかけてあった。貴族の子供が着ててもおかしくないようなドレスに袖を通してラルカは壁を支えに廊下を進んでいく。記憶を失っているのにまるで昔から知っていたかのように談話室の前まで辿り着いた
ラルカ「失礼します…」
フシール「あ!ラルカちゃんおはよ~服のサイズ合ってるみたいだね。良かったぁ」
フィロ「似合ってるじゃん。ごめんな、機能性重視した服ばっかなもので可愛いのそれしかなかったんだwちゃんと着れてるみたいで安心した」
ラルカ「お…おはようございます。それで…その」
フィロ「うん、記憶の事だろ?こっちおいで。説明してあげるから」
ラルカ「はい…」
何を企んでいるのかは定かでは無いがフィロとフシールは昨晩の事を何も隠さずにありのまま伝えた
ラルカ「…じゃあ私はお兄様達の妹ではないんですか…?」
フシール「まぁ…そうなるかなぁw私達のこと嫌う?」
ラルカ「…いいえ。何も覚えてないから実感もないですしね。私にとってお二人が大好きなお兄様とお姉様なのに変わりはありません」
フィロ「もっと戸惑うかと思ってたのにw」
ラルカ「戸惑っても何も変わらないでしょう?」
フシール「ラルカちゃんは本当のお兄さんに会いたい?」
ラルカ「本当の…会ってみたい気持ちもあります。でも何ていうか…怖いんです」
フィロ「怖い?」
ラルカ「今私が抱いてる感情が嘘なのかもしれないって…私が私じゃなくなりそうで…」
フィロ「そっか」
震えながらラルカは言葉を絞り出した。彼女にとって失った記憶を取り戻せば今の自分を否定する事になるかもしれない。それがただ恐ろしかったのだ
ラルカ「なんで…私を生かしたんですか?」
フィロ「なんでって…?」
ラルカ「お話を聞いてたらわかります。お二人は私を殺す事も出来たでしょう?なのになんで…」
フシール「え?可愛かったから」
フィロ「面白そうだから?」
ラルカ「そんな…理由で?」
フィロ「俺らの行動理由みたいなものだしな…欲望以外に確かで信じられる理由ないだろ?」
フシール「だからまぁラルカちゃんが泣いて嫌がろうともう私達のモノだしね~」
フィロ「逃がすつもり無いからな?」
ラルカ「…フフッ…逃げるつもりもありませんよ」
静かに微笑んだ少女は本人も気付かないうちに涙が一粒頬を伝った。何故なのかは誰にも理由は分からない
フィロ「まぁ取り敢えず今朝ラルカが居た部屋はラルカの部屋だから。向かいが俺の部屋な」
フシール「私は隣だよ~階段側の方ね」
フィロ「何かあったら来な?空き部屋だったから物とかも特にないし欲しいものあったら教えて」
ラルカ「はい」
フシール「取り敢えず朝ごはんにしよっか!まだ食堂は行ったことなかったよね、一緒に行こ!」
フィロ「あんま固くならなくていいからな?この屋敷一応使用人居るけどフシールのこと怖がってあんま表に出ないからw」
フシール「呼べば来るけどね。まぁ基本私達しか住んでないようなものだから気にしないで~」
ラルカ「わかりました」
何も知らないまま生きていくのか消された記憶を取り戻すのか…どちらが今のラルカにとって幸せなのかは分からないけれど、奇妙な生活が静かに幕を開けた
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