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一章 歪んだ生活
第四話 二人の尋ね人
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~町外れの一軒家~
あれからハロスは一人森を歩き、明け方にようやく家へと辿り着いた
ハロス「ただいま…って言ったって返事なんかねぇよな。あの二人組…どんだけ考えてもわかんねぇ…一体何者なんだよ…神父様なら何か知ってるか…?」
?「ハロスくん!一晩中帰ってこないから何事かと思ったけど…何かあったの?」
ハロス「エトアル…さん?なんでここに…」
エトアル「私…というよりリーくんがラルカちゃんに用があるんだって」
ハロス「リーベリアさんも今来てるんですか…?」
エトアル「今は裏の花壇の方にいると思うよ。二人とも家にいないしスミレだって…世話もしないで放置してたから」
ハロス「すいません、少し出かけてたから…俺はリーベリアさんのところに行ってきます。エトアルさんは…取り敢えず家の中にでも入ってゆっくりしてください」
エトアル「わかった…ハロスくんも休みなよ?その…酷い顔してるから」
ハロス「…はい。わかってます」
~裏庭~
ハロス「リーベリアさん」
リーベリア「あっハロスくん!」
家の裏手には二人で育てている畑とラルカが育てているスミレの花壇がある。リーベリアはそのスミレの前に座っていた
リーベリア「おかえり、どこに出かけてたの?」
ハロス「少し…森の方に」
リーベリア「朝まで森に居たってこと!?あの森は狼が出るでしょ…大丈夫…だったの?」
ハロス「それは問題なかったです。それで…リーベリアさんはどうしたんですか?ラルカに…用があるって聞いたんですけど」
リーベリア「エトちゃんと先に会ってたのかw昨日の夕方頃にラルカちゃんが図書館に来るって言ってたのに来なかったからさ…言ったことはする子だから気になったんだよ」
ハロス「そうだったんですね…」
リーベリア「ラルカちゃんは?二人で森に行ってたの…?家には居なかったよね」
リーベリアがハロスの少し後ろの方、家の中を覗く様に体を傾けてみせた
ハロス「…っ!ラルカは…スイマセン…取り敢えず俺の話を聞いてもらえますか…?ちょっと…俺もまだ整理できてないんですけど…」
リーベリア「…何か起こってたんだね。取り敢えずエトアルの所に行こうか」
家の中に入りハロスは二人に事情を説明し始めた。森に行き帰ってこなかったラルカ、探しに行ったときに出会った森の屋敷に住む黒髪の兄妹…そして、そのまま連れて行かれた事も
ハロス「俺は…結局また守れませんでした…エトアルさんお願いします!俺に…弓矢の使い方を教えてくれませんか?」
エトアル「私の弓矢なんかより警備隊の人達に剣の使い方を教わるほうが良いんじゃない…?」
ハロス「黒髪の兄妹…見た目もこの国じゃ珍しいけど男の…兄の方が見た事もない剣を持ってたんです。それにラルカが連れて行かれそうになったとき…俺は追いかけられなかった…あいつの眼光に気圧されて…殺気に足が…体が動かなくなったんです…」
今思い出しても足が竦む程の恐怖…それはハロスが久しく抱いていなかった感情でもあった
リーベリア「見たこと無い剣…か。俺の所に行けば何かしらの文献があるかもね…調べてみようか」
ハロス「はい…でも…だからこそ今から剣の使い方を練習しても俺はアイツとまた相対したときに勝てる気がしないんです…」
エトアル「それで弓矢って事ね…そうね…ハロスくん、急で悪いけど今から私達の家に来てちょうだい」
リーベリア「占ってやるの?」
エトアル「えぇ…それもあるけど弓矢をやるならちゃんと選んであげないとでしょう?」
リーベリア「エトちゃんと同じやつじゃないの?コンパウンドボウ…だったよね?」
エトアル「あれは…連射とかすると壊れやすいのよね。話を聞く限り結構激しくなりそうだしちゃんとしてる物の方が良いでしょ」
ハロス「種類とかは何でもいいんです。とにかく…戦う為の力が欲しいんです…」
リーベリア「憎悪…なのかな。復讐に燃えるのは良いけど目的を見失ったら駄目だよ?ラルカちゃんを…取り戻すんでしょ」
ハロス「…わかって…ます。俺は荷物をまとめてきます」
そう言いながらハロスは2階に上がっていき、残された二人は話の整理をすることにした
エトアル「黒髪の二人組…森に住んでいておそらく兄妹」
リーベリア「ハロスくんが見たことのない剣に急に不自然な態度を取り出したラルカちゃん…」
エトアル「多分…あの人達だよね」
リーベリア「なら…ラルカちゃんは洗脳が掛かってるのかな」
エトアル「取り敢えず二人と話さないとね」
リーベリア「鳥でも飛ばすの?」
エトアル「直接会いに行ったほうが早いでしょ。ラルカちゃんが居るかも…この目で見れるしね」
リーベリア「それもそうだね…でも予想通りだとしたらエトアルはどっちの味方をするの?腐れ縁か…家族みたいに接してきた子達か…」
エトアル「さぁ…全部星に委ねてしまえば良いでしょう…どうせ私達だけじゃ決まらないんだから」
エトアルは静かに鞄の中からカードを取り出しシャッフルを始めた。机の上に広がるカードから1枚引き抜いて確認すると静かに微笑んだ
リーベリア「…何のカードになったの?」
エトアル「…逆位置の愚者…未来はまだ決まってないのかもね…幸せな結末に出来るのかもよ?」
リーベリア「例え幸せな結末が訪れても…それは誰にとっての幸せなの?」
エトアル「さぁ…でも私達はこの物語の観客になれるのかしらね…」
そのままカードを片付けて、準備を終わらせ降りてきたハロスと共に家を後にした。まだ日が明けたばかりの静かな町外れを三人は並んで歩いていた。人の繋がりなんて奇妙なモノ…この二人が味方か…あるいは敵なのか何て事は些細な事なのかもしれない
あれからハロスは一人森を歩き、明け方にようやく家へと辿り着いた
ハロス「ただいま…って言ったって返事なんかねぇよな。あの二人組…どんだけ考えてもわかんねぇ…一体何者なんだよ…神父様なら何か知ってるか…?」
?「ハロスくん!一晩中帰ってこないから何事かと思ったけど…何かあったの?」
ハロス「エトアル…さん?なんでここに…」
エトアル「私…というよりリーくんがラルカちゃんに用があるんだって」
ハロス「リーベリアさんも今来てるんですか…?」
エトアル「今は裏の花壇の方にいると思うよ。二人とも家にいないしスミレだって…世話もしないで放置してたから」
ハロス「すいません、少し出かけてたから…俺はリーベリアさんのところに行ってきます。エトアルさんは…取り敢えず家の中にでも入ってゆっくりしてください」
エトアル「わかった…ハロスくんも休みなよ?その…酷い顔してるから」
ハロス「…はい。わかってます」
~裏庭~
ハロス「リーベリアさん」
リーベリア「あっハロスくん!」
家の裏手には二人で育てている畑とラルカが育てているスミレの花壇がある。リーベリアはそのスミレの前に座っていた
リーベリア「おかえり、どこに出かけてたの?」
ハロス「少し…森の方に」
リーベリア「朝まで森に居たってこと!?あの森は狼が出るでしょ…大丈夫…だったの?」
ハロス「それは問題なかったです。それで…リーベリアさんはどうしたんですか?ラルカに…用があるって聞いたんですけど」
リーベリア「エトちゃんと先に会ってたのかw昨日の夕方頃にラルカちゃんが図書館に来るって言ってたのに来なかったからさ…言ったことはする子だから気になったんだよ」
ハロス「そうだったんですね…」
リーベリア「ラルカちゃんは?二人で森に行ってたの…?家には居なかったよね」
リーベリアがハロスの少し後ろの方、家の中を覗く様に体を傾けてみせた
ハロス「…っ!ラルカは…スイマセン…取り敢えず俺の話を聞いてもらえますか…?ちょっと…俺もまだ整理できてないんですけど…」
リーベリア「…何か起こってたんだね。取り敢えずエトアルの所に行こうか」
家の中に入りハロスは二人に事情を説明し始めた。森に行き帰ってこなかったラルカ、探しに行ったときに出会った森の屋敷に住む黒髪の兄妹…そして、そのまま連れて行かれた事も
ハロス「俺は…結局また守れませんでした…エトアルさんお願いします!俺に…弓矢の使い方を教えてくれませんか?」
エトアル「私の弓矢なんかより警備隊の人達に剣の使い方を教わるほうが良いんじゃない…?」
ハロス「黒髪の兄妹…見た目もこの国じゃ珍しいけど男の…兄の方が見た事もない剣を持ってたんです。それにラルカが連れて行かれそうになったとき…俺は追いかけられなかった…あいつの眼光に気圧されて…殺気に足が…体が動かなくなったんです…」
今思い出しても足が竦む程の恐怖…それはハロスが久しく抱いていなかった感情でもあった
リーベリア「見たこと無い剣…か。俺の所に行けば何かしらの文献があるかもね…調べてみようか」
ハロス「はい…でも…だからこそ今から剣の使い方を練習しても俺はアイツとまた相対したときに勝てる気がしないんです…」
エトアル「それで弓矢って事ね…そうね…ハロスくん、急で悪いけど今から私達の家に来てちょうだい」
リーベリア「占ってやるの?」
エトアル「えぇ…それもあるけど弓矢をやるならちゃんと選んであげないとでしょう?」
リーベリア「エトちゃんと同じやつじゃないの?コンパウンドボウ…だったよね?」
エトアル「あれは…連射とかすると壊れやすいのよね。話を聞く限り結構激しくなりそうだしちゃんとしてる物の方が良いでしょ」
ハロス「種類とかは何でもいいんです。とにかく…戦う為の力が欲しいんです…」
リーベリア「憎悪…なのかな。復讐に燃えるのは良いけど目的を見失ったら駄目だよ?ラルカちゃんを…取り戻すんでしょ」
ハロス「…わかって…ます。俺は荷物をまとめてきます」
そう言いながらハロスは2階に上がっていき、残された二人は話の整理をすることにした
エトアル「黒髪の二人組…森に住んでいておそらく兄妹」
リーベリア「ハロスくんが見たことのない剣に急に不自然な態度を取り出したラルカちゃん…」
エトアル「多分…あの人達だよね」
リーベリア「なら…ラルカちゃんは洗脳が掛かってるのかな」
エトアル「取り敢えず二人と話さないとね」
リーベリア「鳥でも飛ばすの?」
エトアル「直接会いに行ったほうが早いでしょ。ラルカちゃんが居るかも…この目で見れるしね」
リーベリア「それもそうだね…でも予想通りだとしたらエトアルはどっちの味方をするの?腐れ縁か…家族みたいに接してきた子達か…」
エトアル「さぁ…全部星に委ねてしまえば良いでしょう…どうせ私達だけじゃ決まらないんだから」
エトアルは静かに鞄の中からカードを取り出しシャッフルを始めた。机の上に広がるカードから1枚引き抜いて確認すると静かに微笑んだ
リーベリア「…何のカードになったの?」
エトアル「…逆位置の愚者…未来はまだ決まってないのかもね…幸せな結末に出来るのかもよ?」
リーベリア「例え幸せな結末が訪れても…それは誰にとっての幸せなの?」
エトアル「さぁ…でも私達はこの物語の観客になれるのかしらね…」
そのままカードを片付けて、準備を終わらせ降りてきたハロスと共に家を後にした。まだ日が明けたばかりの静かな町外れを三人は並んで歩いていた。人の繋がりなんて奇妙なモノ…この二人が味方か…あるいは敵なのか何て事は些細な事なのかもしれない
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