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最終章
〝今〟を生きる
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街の雑踏、車の走る音、近代的な建物…
目を開けるとそこは元の時代の土手だった。
「何…?どういうこと?私たち戻ってこれたの?」
美咲の頭の中はパニックらしい。
「みたいだな」
二度目のじいさんとの不思議体験に、俺はもうすっかり慣れたようだ。
非現実的過ぎて、もはや笑いが出る。
「あ…」
俺はここでようやく大事なことに気付いた。
「お前、とりあえず会社に電話しとけよ」
「…っ!」
「そろそろクビになるぞ」
ギャーっと青ざめる美咲を横目に、俺は一度深呼吸する。
〝人生のやり直しは、これじゃダメだと気付いた瞬間から始まっている〟
いつかあのじいさんが言っていた言葉。
俺の人生のやり直しはここから始まった。
この人生、楽しまなきゃ損だろ。
「優ちゃん…」
「あぁ?」
「俺はお前が好きだ!って、もう一回言って?」
……っ!
「お前はバカか!」
「はぁっ?」
「絶対言わねえ!」
「なんでよ!」
「イーヤーだ!」
んな、何回も言えるか!
「優ちゃん、耳まで真っ赤」
「うっせ」
「優ちゃん、好きだよ」
美咲の言葉に思わず振り向く。
「大好き!」
「何回も言うな、恥ずかしい」
「優ちゃんも言って?」
「言うか、アホ!」
マジやべえ。
恥ずかしすぎるっ!
「なんか、随分イチャついてんなあ」
その声に俺と美咲の動きがピタリと止まる…
恐る恐る後ろを振り返ると…
居るーっ!
やっぱり居るーっ!
聞かれたくない奴らに聞かれた!
「お前が好きだ!ってついに言ったんだね優希」
「やるじゃーん」
奈々と隆也がそう言ってニタニタする…
あれ…?
なんか…こいつら、雰囲気が…
「ねぇ、もしかして二人、既に付き合ってたりして」
美咲が爆弾を飛ばす。
こいつは…よくもまぁ、こうスパンと言葉に出来るもんだ…
「まだ付き合ってねえし」
隆也が珍しく墓穴を掘る。
「まだ?」
美咲がその墓穴に水を差す。
真っ赤になって俯く奈々。
こりゃ、俺たちが〝あっち〟に行ってる間に何かあったな?
なんだか、隆康と奈都の想いが報われたような気がして妙に嬉しくなった。
「ていうか、お前らどこ行ってたんだよ」
隆也が恥ずかしさからか、たまらず話を反らす。
どこ行ってた…か。
「教えなーい」
そう言って笑う美咲。
俺、やっぱこいつら好きだな。
なぁ、じいさん、あんたがどこの誰だか知らねえけど、美咲が言ったことが確かなら、もしかして未来の俺なのか?
なんて、思ったりするのは、こんな不思議体験をした今だからなのだろうか。
あんたがずっと俺に言ってたのは、〝今を真っ直ぐ生きろ〟ってことに全部繋がってんだよな?
生まれた時から持って生まれてきたであろう運命や因縁。
でもそれは、その時その時で自分の魂が作り上げてきたもんだ。
だったら、運命を変えることも因縁を断ち切ることが出来るのも自分自身でしかない。
どう動くかで変わってくるものがあるんだ。
人生とは〝今〟をどう生きるかだ。
どこに行ってたか教えろとしつこい隆也と奈々に、俺は笑って答える。
「ちょっとな、藍色の空を越えてきた」
空を見上げると、藍色の空が深く深くその色を染め上げていた。
完
目を開けるとそこは元の時代の土手だった。
「何…?どういうこと?私たち戻ってこれたの?」
美咲の頭の中はパニックらしい。
「みたいだな」
二度目のじいさんとの不思議体験に、俺はもうすっかり慣れたようだ。
非現実的過ぎて、もはや笑いが出る。
「あ…」
俺はここでようやく大事なことに気付いた。
「お前、とりあえず会社に電話しとけよ」
「…っ!」
「そろそろクビになるぞ」
ギャーっと青ざめる美咲を横目に、俺は一度深呼吸する。
〝人生のやり直しは、これじゃダメだと気付いた瞬間から始まっている〟
いつかあのじいさんが言っていた言葉。
俺の人生のやり直しはここから始まった。
この人生、楽しまなきゃ損だろ。
「優ちゃん…」
「あぁ?」
「俺はお前が好きだ!って、もう一回言って?」
……っ!
「お前はバカか!」
「はぁっ?」
「絶対言わねえ!」
「なんでよ!」
「イーヤーだ!」
んな、何回も言えるか!
「優ちゃん、耳まで真っ赤」
「うっせ」
「優ちゃん、好きだよ」
美咲の言葉に思わず振り向く。
「大好き!」
「何回も言うな、恥ずかしい」
「優ちゃんも言って?」
「言うか、アホ!」
マジやべえ。
恥ずかしすぎるっ!
「なんか、随分イチャついてんなあ」
その声に俺と美咲の動きがピタリと止まる…
恐る恐る後ろを振り返ると…
居るーっ!
やっぱり居るーっ!
聞かれたくない奴らに聞かれた!
「お前が好きだ!ってついに言ったんだね優希」
「やるじゃーん」
奈々と隆也がそう言ってニタニタする…
あれ…?
なんか…こいつら、雰囲気が…
「ねぇ、もしかして二人、既に付き合ってたりして」
美咲が爆弾を飛ばす。
こいつは…よくもまぁ、こうスパンと言葉に出来るもんだ…
「まだ付き合ってねえし」
隆也が珍しく墓穴を掘る。
「まだ?」
美咲がその墓穴に水を差す。
真っ赤になって俯く奈々。
こりゃ、俺たちが〝あっち〟に行ってる間に何かあったな?
なんだか、隆康と奈都の想いが報われたような気がして妙に嬉しくなった。
「ていうか、お前らどこ行ってたんだよ」
隆也が恥ずかしさからか、たまらず話を反らす。
どこ行ってた…か。
「教えなーい」
そう言って笑う美咲。
俺、やっぱこいつら好きだな。
なぁ、じいさん、あんたがどこの誰だか知らねえけど、美咲が言ったことが確かなら、もしかして未来の俺なのか?
なんて、思ったりするのは、こんな不思議体験をした今だからなのだろうか。
あんたがずっと俺に言ってたのは、〝今を真っ直ぐ生きろ〟ってことに全部繋がってんだよな?
生まれた時から持って生まれてきたであろう運命や因縁。
でもそれは、その時その時で自分の魂が作り上げてきたもんだ。
だったら、運命を変えることも因縁を断ち切ることが出来るのも自分自身でしかない。
どう動くかで変わってくるものがあるんだ。
人生とは〝今〟をどう生きるかだ。
どこに行ってたか教えろとしつこい隆也と奈々に、俺は笑って答える。
「ちょっとな、藍色の空を越えてきた」
空を見上げると、藍色の空が深く深くその色を染め上げていた。
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