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You&I(END)
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あれから数日後。
高校時代の仲良しグループの飲み会に足を運んだ。
「よ!リク、久しぶり!」
「久しぶり!みんな元気そうだね。」
会うのは、一年ぶりだった。高校時代の話に花が咲き、酒が進んだ。
「そういえば、俺もうすぐ結婚するから。」
友人のうちの一人が言った。
「うわ、マジかよ!おめでとう!」
「くそー、先を越されたー!」
他の友人達は口々に言った。当人は肩を小突かれ、「やめろよー」なんて言いながら、幸せそうな笑みを浮かべていた。
同級生の結婚か。俺達もすっかり大人になったんだな、と感慨深く思っていると、友人の一人が聞いてきた。
「リクは、恋人とかいないの?」
すると他の友人も、
「そういえば、リクのそういう話あんまり聞かないから、聞いてみたいな!」
と、流れに便乗した。
俺は少し考えてから、ゆっくりと答えた。
「恋人、いたよ。」
俺のその一言に、友人達は一斉に盛り上がった。
「マジかよ!全然知らなかった!」
「リクも隅に置けないな!」
「え、でも、『いた』って過去形…?」
「詳しく教えてよ!どんな人なの?」
俺は、深呼吸をした。
そして、話をした。
「俺が好きだったの、男の子なんだ。明るくて笑顔が可愛くて、気遣い屋さんで、それでいて辛い過去をお首にも出さない強い人。」
あんなに自分の事を隠していたのに、スラスラと言葉が出た。
打ち明けるのは緊張したけど、それ以上に心はどこか穏やかで、何よりルナの話を聞いて欲しいと思ったんだ。
友人達の驚く顔をよそに、俺は続けた。
「もう会うことはできないんだけど、すごく好きだった。本当に…好きだったんだ。」
つらい時。
逃げ出したい時。
ルナと過ごした日々を思い出すよ。
宝石のように、海のように、眩しく輝いた日々を。
レモネードのように甘くて、少し切なくて、優しかった、あの時間を。
ルナのように強く前を向いて生きていけるようになりたい。
夏になったら海に行くよ。ルナと眺めた海、景色、空気、匂い、全てを思い出しながら。
俺達は、離れていてもひとりじゃない。
心はひとつだよ。
ありがとう、ルナ。
END
高校時代の仲良しグループの飲み会に足を運んだ。
「よ!リク、久しぶり!」
「久しぶり!みんな元気そうだね。」
会うのは、一年ぶりだった。高校時代の話に花が咲き、酒が進んだ。
「そういえば、俺もうすぐ結婚するから。」
友人のうちの一人が言った。
「うわ、マジかよ!おめでとう!」
「くそー、先を越されたー!」
他の友人達は口々に言った。当人は肩を小突かれ、「やめろよー」なんて言いながら、幸せそうな笑みを浮かべていた。
同級生の結婚か。俺達もすっかり大人になったんだな、と感慨深く思っていると、友人の一人が聞いてきた。
「リクは、恋人とかいないの?」
すると他の友人も、
「そういえば、リクのそういう話あんまり聞かないから、聞いてみたいな!」
と、流れに便乗した。
俺は少し考えてから、ゆっくりと答えた。
「恋人、いたよ。」
俺のその一言に、友人達は一斉に盛り上がった。
「マジかよ!全然知らなかった!」
「リクも隅に置けないな!」
「え、でも、『いた』って過去形…?」
「詳しく教えてよ!どんな人なの?」
俺は、深呼吸をした。
そして、話をした。
「俺が好きだったの、男の子なんだ。明るくて笑顔が可愛くて、気遣い屋さんで、それでいて辛い過去をお首にも出さない強い人。」
あんなに自分の事を隠していたのに、スラスラと言葉が出た。
打ち明けるのは緊張したけど、それ以上に心はどこか穏やかで、何よりルナの話を聞いて欲しいと思ったんだ。
友人達の驚く顔をよそに、俺は続けた。
「もう会うことはできないんだけど、すごく好きだった。本当に…好きだったんだ。」
つらい時。
逃げ出したい時。
ルナと過ごした日々を思い出すよ。
宝石のように、海のように、眩しく輝いた日々を。
レモネードのように甘くて、少し切なくて、優しかった、あの時間を。
ルナのように強く前を向いて生きていけるようになりたい。
夏になったら海に行くよ。ルナと眺めた海、景色、空気、匂い、全てを思い出しながら。
俺達は、離れていてもひとりじゃない。
心はひとつだよ。
ありがとう、ルナ。
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