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別れの朝
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俺達は寝る間も惜しんで、沢山の言葉を交わした。何度も何度もキスをした。最後にしたえっちは甘くて少し切なかった。
砂時計は憎たらしい程に一定の速度で流れて行った。朝日が昇る頃には、残る砂はごく僅かだった。
俺とルナは砂時計を持って、外に出た。おじいちゃんも来てくれて、ルナの手元にある砂時計に目をやって言った。
「時間か…。」
おじいちゃんは、寂しそうな顔をしてくれた。
「お世話になりました。」
俺は深々と頭を下げた。
「ありがとう、リク君。ルナの心の傷を癒してくれて。」
おじいちゃんは、そう言って俺の肩を叩いてくれた。
「いえ…そんな…。お礼を言うのは俺の方ですよ。本当にありがとうございました。」
「君は最後の最後まで律儀だな。リク君、人の生きて行く方法や道は様々だ。どれが最高ということは無い。ただ、自分のめいいっぱいの『真実』で生きていけばいい。」
おじいちゃんの言葉に、俺はまた深々と頭を下げた。そして、ルナと向き合った。
「リク…」
「ルナ…」
ルナの後ろにはエメラルドグリーンの海。いつも眺めていた海なのに、今日は何故かこんなにも切ない。
「ルナ、最後は笑顔でね。」
俺は、そう言った。
「うん、昨日めちゃくちゃ泣いたもんね。」
ルナは、そう答えた。
お互い泣き腫らした顔で笑った。
「ありがとう、リク。」
「ありがとう、ルナ。」
俺達は最後のキスをした。
「ねぇリク。いつかまた会いに来てね。生まれ変わっても、また僕の心を奪いに来てね。」
ルナは、そう言うと僕の方を見てニコリと笑った。その後ろでエメラルドグリーンの海がキラキラと光を放つ。
あぁ、やっぱり好きだ。
俺の全てを捧げても足りないくらい好きだ。
誰よりも…誰よりも愛してる。
「ルナ…ッ」
名前を呼びかけた瞬間、視界が突然ブラックアウトした。
砂時計は憎たらしい程に一定の速度で流れて行った。朝日が昇る頃には、残る砂はごく僅かだった。
俺とルナは砂時計を持って、外に出た。おじいちゃんも来てくれて、ルナの手元にある砂時計に目をやって言った。
「時間か…。」
おじいちゃんは、寂しそうな顔をしてくれた。
「お世話になりました。」
俺は深々と頭を下げた。
「ありがとう、リク君。ルナの心の傷を癒してくれて。」
おじいちゃんは、そう言って俺の肩を叩いてくれた。
「いえ…そんな…。お礼を言うのは俺の方ですよ。本当にありがとうございました。」
「君は最後の最後まで律儀だな。リク君、人の生きて行く方法や道は様々だ。どれが最高ということは無い。ただ、自分のめいいっぱいの『真実』で生きていけばいい。」
おじいちゃんの言葉に、俺はまた深々と頭を下げた。そして、ルナと向き合った。
「リク…」
「ルナ…」
ルナの後ろにはエメラルドグリーンの海。いつも眺めていた海なのに、今日は何故かこんなにも切ない。
「ルナ、最後は笑顔でね。」
俺は、そう言った。
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ルナは、そう答えた。
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「ありがとう、リク。」
「ありがとう、ルナ。」
俺達は最後のキスをした。
「ねぇリク。いつかまた会いに来てね。生まれ変わっても、また僕の心を奪いに来てね。」
ルナは、そう言うと僕の方を見てニコリと笑った。その後ろでエメラルドグリーンの海がキラキラと光を放つ。
あぁ、やっぱり好きだ。
俺の全てを捧げても足りないくらい好きだ。
誰よりも…誰よりも愛してる。
「ルナ…ッ」
名前を呼びかけた瞬間、視界が突然ブラックアウトした。
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