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宝石の名前
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比較的インドア派な俺にとって、海水浴なんて随分久しぶりだった。とても楽しかった。海ってこんなに楽しかったっけ。いや、きっとルナと一緒だからだろうな。
イルカの浮き輪に二人で乗ってみたり、手で作った水鉄砲でお互いに海水を掛け合ったり。うっかり海水を飲んで、しょっぱいねって笑いあったり。
一通り海を堪能した俺たちは、渚で一休みをする。俺たちは、ぼーっと空を見上げた。
「世界って丸いんだよね。」
「え?」
イルカに乗ったルナが、空を見上げながら言った。
「海の向こう側、空と繋がっているみたいでしょ?」
青空は大きく、まるでドーム状に世界を包み込むように広がっていた。ルナの言う通り、遠くで空と海が繋がっているように見える。
「うん、もしかしたら、ルナの住むこの世界と俺の世界も繋がっているのかもね。」
「きっとそうだよ、繋がっているからこうやって会えたんだもん。」
ルナの言葉をどこか感慨深く感じた。
「奇跡の邂逅ってやつかな。」
「かいこうって何?そっちの世界の言葉って難しいのが多いよね。」
なんとなく、単にルナが単語を知らないだけという気もしてきた。
「そういえば、こっちの世界って漢字とかないんだね。」
街のお店や標識などを見ても横文字ばっかりで、漢字は一切見当たらなかった。
「かんじって何?」
「俺の世界の文字は、平仮名とカタカナと漢字で成り立っているんだよ。例えば、俺の名前はこう書くんだよ。」
木の棒を使って、砂浜に自分の名前を漢字で『璃玖』と書いた。
「これでリクって読むの?なんかすごく難しいね。」
「初めて見るとそう感じるよな。外国人が漢字を初めて見た時の感覚と同じなのかな。」
「ねぇ、僕の名前はどう書くの?」
「ルナの漢字かぁ…」
俺は少し考えて、俺の名前の下にこう書いてみた。
『瑠奈』
完全に当て字だった。漢字が得意なので、"瑠"という難しい字は割とすんなり出てきた。
これを見てルナは「へー」と目を輝かせていた。
璃玖と瑠奈。並んだ字を見てふと思った。
「偶然だけど、俺達の文字を合わせると『瑠璃』になるね。」
「るり?」
「そう。宝石の名前だよ。ちょうど、この海と空を合わせたような、透き通った綺麗な色の宝石。」
「ルリかぁ…綺麗な名前だね。」
ルナは妙に嬉しそうな顔をして、二つ並んだ俺達の名前を穴が空くほど見つめていた。
イルカの浮き輪に二人で乗ってみたり、手で作った水鉄砲でお互いに海水を掛け合ったり。うっかり海水を飲んで、しょっぱいねって笑いあったり。
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「世界って丸いんだよね。」
「え?」
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木の棒を使って、砂浜に自分の名前を漢字で『璃玖』と書いた。
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