レモネードのように。

はる

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お手伝い

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ルナは寝癖を直しながら、歯を磨いている。なんだこの同棲生活感。

ルナを見ているだけで、胸が高鳴るのを感じる。やっぱり俺、ルナの事好きなんだろうな。見た目がタイプというのもあるが、たった1日で好きになるなんて、俺って惚れっぽいのかな…。

俺は相変わらず動かない砂時計を見つめながら不思議な気分に浸っていた。

「ちょっと、リクもちゃんと支度してよ?今日から手伝ってもらうんだからね。」

ルナに声をかけられ、ハッとする。

「手伝うって?」

「お店の接客。ただで泊めるわけにいかないもん。」

それは、寧ろ俺から手伝わせて欲しいと頼みこもうと考えていた事だ。働きもせず、ただ宿泊させてもらうなんて申し訳なさすぎると思っていたので、願ったり叶ったりだ。

「是非、働かせてください。」

俺は布団の上で正座をして、ルナにそう言った。

「わ、おじいちゃんの言う通りだ。」

ルナは歯を磨く手を止めて、少し驚いたように言った。

「どういうこと?」

「おじいちゃんがね、きっとリク君は二つ返事でオッケーするって言ってたからさ。」

「敵わないなぁ。」

きっとおじいちゃんは、俺の単純で変に生真面目な思考を見通していたんだろう。

 
ルナとおじいちゃんのお店『スノースマイル』は、お昼時、非常に繁盛した。

と言っても海水浴に来た客は2割くらいで、大半はお得意さんとの事だった。おじいちゃんの友達らしき年代か、それより少し若い人達が多かった。

「おじいちゃん、昔サーファーだったんだよ。お客さんはサーファー仲間が多いんだ。」

と、ルナがビールを注ぎながら教えてくれた。

「そう言われれば、確かに色黒の人が多いかも。」

「うん、それに筋肉すごいよね。僕もあれくらいムキムキになりたいなぁ。」

「いや、ルナはそのままがいいよ。」

目を輝かすルナを嗜めるように俺は言った。

「えー嫌だよぉ。筋肉出来ないかなぁ…」

ルナはそう言うと、ビールを置いて、細い腕で力こぶを作ろうとする。

俺は、またしても目をそらす羽目になる。なぜなら、ルナは今、少し大きめのノースリーブに半ズボンという格好で、腕をあげたことで袖から乳首が見え隠れしているのだ。華奢な肩や、つるつるの脇、すね毛など一本もない細い足がとっても目に毒だ。

「ルナ、もう少し露出の少ない服の方がいいんじゃない?」

俺は思わず聞いてみた。

「え?露出?よく分かんないけど、この方が動きやすいんだもん。そういえば、おじいちゃんにもせめて半袖着ろって何回か言われたことあるけど。」

おじいちゃん、本当苦労してるんだなぁ。俺は思わず同情した。

「こら、喋ってないで働けい!」

そのおじいちゃんに喝を入れられ、俺は慌てて仕事に戻った。
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