レモネードのように。

はる

文字の大きさ
上 下
8 / 51

夜を駆ける

しおりを挟む
1時間ほど滞在し、温泉を出た。ルナが着替えている間、俺はなるべく見ないようにしていた。

中学・高校時代、体育の着替えの時間にクラスメイト達の無邪気に晒される裸体を見たいけど見ないように我慢していた事をふと思い出し、自嘲気味にほくそ笑んだ。

「何、ニヤニヤしてるの?」

さっさと服を着替えたルナが聞いてきた。

「あ、いや、なんでもないよ。」

俺が目を反らしている間、ルナは俺の事を見ていたのだろうか。

ルナは「変なの~」と笑いながら、そそくさと髪の毛を乾かしに行った。

2人で外に出ると、マサが煙草を吸っているのを見かけた。ルナを待ち伏せしているのだと思った。

「リク、走ろ!」

ルナがいきなり俺の手を掴んで走り始めた。

「おわっ」

俺は、買った服が入った紙袋を落としそうになりながらも、つられて走り出す。

繋いだルナの小さな手から温もりを感じる。

同じシャンプーを使った筈なのに、何故かそれ以上の甘い香りが鼻腔を突き抜けた。

さっきルナの手を引いた時は咄嗟の事でこんなことを考える暇はなかったけど、そういえば俺、男の人と手を繋ぐなんて初めてじゃないか?なんて考えながら、夜の街を駆け抜ける。

温泉で温まった体だけでなく、心までもがぽかぽかとするのを感じ、ずっとこうしていたいなと思った。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

年越しチン玉蕎麦!!

ミクリ21
BL
チン玉……もちろん、ナニのことです。

悩める文官のひとりごと

きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。 そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。 エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。 ムーンライト様にも掲載しております。 

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

幽閉された美しきナズナ

不来方しい
BL
控えめで目立たない准教授と生徒が恋に落ちます。 連れ子として華道の家に入ったのは、大学生の藤裔なずな(ふじすえなずな)。慣れない生活の中、母と新しい父との間に子供ができ、ますます居場所を失っていく。 居場所を求めて始めたアルバイトは、狭い和室で自由恋愛を楽しむという、一風変わったアルバイトだった。 客人としてやってきたのは、挙動不審で恋愛が不慣れな男性。諏訪京介と名乗った。触れようとすれば逃げ、ろくに話もしなかったのに、また来ますと告げて消えた彼。二度と会わないだろうと思っていた矢先、新しく大学の研究グループに加わると紹介されたのは、なずなを買ったあの男性だった。  呆然とする諏訪京介を前に、なずなは知らないふりを貫き通す──。

処理中です...