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もう分かってるだろ?
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「そんな過去のトラウマを掘り出して動揺させようとしたって無駄だ。」
ハルは強い語気で言い放った。
「へぇ。強くなったんだな、ハル。」
自分は強くなどない。
本当はタクヤとまた会うこと、対峙することに怯む気持ちもあった。
でも、単身乗り込んでここまで来た。
この強さがどこからきたのか、ハルは分かっていた。
電話で聞いたクレハの声。
それが自分でも驚くほど勇気を与えてくれていた。
「つーかそもそも、お前がブラフェアの構成員だったなんて死ぬほど驚いたぜ。」とタクヤが言った。
「こっちのセリフだ。まさかグランギニョールのトップだったなんてな。お互い素性を隠した敵同士だったんだな。」
「お前と付き合ってた時はまだ違ったさ。そのあと俺も色々あったって訳だ。それにしても、ブラフェアの構成員ってだけでも驚いたのにナンバー3なんて空いた口が塞がらないぜ。」
「なんでナンバーを知ってるんだ?」
「ダズロとの戦い、監視カメラで見聞きしていたからな。こんなに強かったんだな、お前。まさかダズロを火だるまにするとはな。」
「お前も火だるまにしてやるよ。」
「ははは!強く出たな。涼しい顔をしていても満身創痍だろう?ダズロとの戦いだけでなく、ここに来るまで大勢の構成員をなぎ倒してきたんだからな。」
「…ッ!」
タクヤが一瞬姿を消したかと思うと、素早くハルの側に移動し、左腕を掴んでいた。
「随分傷が増えたな。俺のせいか?」
タクヤがニヤニヤと笑いながら放った一言がハルを激昂させた。
「死ね!」
ハルは掴まれた腕を掴み返し、ハイキックを仕掛けた。
「お前の蹴りはもう見たよ。」
タクヤは肘で蹴りをガードした。
「この…ッ!」
ハルは、目にも止まらぬ早さでパンチやキックを繰り出すがタクヤに全ていなされてしまう。
「スピードは大したもんだが、ダズロと戦ってた時の方が威力があったように見えたな。やはり疲れが出てるか、あるいは…」
タクヤがハルの手首を掴んで「俺が相手だと本気を出せねーか?」と言った。
「んなわけ!」と、ハルが次の攻撃を繰り出そうとした瞬間、ハルの体が吹き飛んだ。
タクヤの蹴りがハルの横腹にモロに入ったのだ。
「ぐあぁッ!」
ハルはもの凄い勢いで吹き飛ばされ、壁に身体をぶつけた。
「ハル、お前は優しい。この薄汚れた街、闇だらけの組織で生きていくには優しすぎるんだよ。その優しさが命取りになる。もう分かってるだろ?」
ハルは口から流れる血の筋を拭い、なんとか立ち上がろうとする。
タクヤは、周りの男達に命じた。
「例の生物兵器を出せ。」
ハルは強い語気で言い放った。
「へぇ。強くなったんだな、ハル。」
自分は強くなどない。
本当はタクヤとまた会うこと、対峙することに怯む気持ちもあった。
でも、単身乗り込んでここまで来た。
この強さがどこからきたのか、ハルは分かっていた。
電話で聞いたクレハの声。
それが自分でも驚くほど勇気を与えてくれていた。
「つーかそもそも、お前がブラフェアの構成員だったなんて死ぬほど驚いたぜ。」とタクヤが言った。
「こっちのセリフだ。まさかグランギニョールのトップだったなんてな。お互い素性を隠した敵同士だったんだな。」
「お前と付き合ってた時はまだ違ったさ。そのあと俺も色々あったって訳だ。それにしても、ブラフェアの構成員ってだけでも驚いたのにナンバー3なんて空いた口が塞がらないぜ。」
「なんでナンバーを知ってるんだ?」
「ダズロとの戦い、監視カメラで見聞きしていたからな。こんなに強かったんだな、お前。まさかダズロを火だるまにするとはな。」
「お前も火だるまにしてやるよ。」
「ははは!強く出たな。涼しい顔をしていても満身創痍だろう?ダズロとの戦いだけでなく、ここに来るまで大勢の構成員をなぎ倒してきたんだからな。」
「…ッ!」
タクヤが一瞬姿を消したかと思うと、素早くハルの側に移動し、左腕を掴んでいた。
「随分傷が増えたな。俺のせいか?」
タクヤがニヤニヤと笑いながら放った一言がハルを激昂させた。
「死ね!」
ハルは掴まれた腕を掴み返し、ハイキックを仕掛けた。
「お前の蹴りはもう見たよ。」
タクヤは肘で蹴りをガードした。
「この…ッ!」
ハルは、目にも止まらぬ早さでパンチやキックを繰り出すがタクヤに全ていなされてしまう。
「スピードは大したもんだが、ダズロと戦ってた時の方が威力があったように見えたな。やはり疲れが出てるか、あるいは…」
タクヤがハルの手首を掴んで「俺が相手だと本気を出せねーか?」と言った。
「んなわけ!」と、ハルが次の攻撃を繰り出そうとした瞬間、ハルの体が吹き飛んだ。
タクヤの蹴りがハルの横腹にモロに入ったのだ。
「ぐあぁッ!」
ハルはもの凄い勢いで吹き飛ばされ、壁に身体をぶつけた。
「ハル、お前は優しい。この薄汚れた街、闇だらけの組織で生きていくには優しすぎるんだよ。その優しさが命取りになる。もう分かってるだろ?」
ハルは口から流れる血の筋を拭い、なんとか立ち上がろうとする。
タクヤは、周りの男達に命じた。
「例の生物兵器を出せ。」
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