春の明日になりたい

はる

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スパイ

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「は?殺された…?誰に?」

「"グランギニョール"です。ナンバー2は組織を掃討するチームのリーダーとして奴らのアジトを特定し、ナンバー4、5を引き連れて一掃作戦を決行しました。」

ブラウンは、居所が記載された紙をハル達に見せながら言った。

「そんな強い奴ら連れて行って返り討ちにあったのか…?」

「敗因の1つが、こちらの情報が漏れ、待ち伏せに合ったことです。」

「それって…」

「私たちの組織の中にスパイがいるんだと思うわ。」

華月が口を挟むと、細いタバコに火をつけた。

「その説が濃厚です。おそらく所属歴の短い構成員でしょう。内部を調査中ですが、特定には至っていません。」 

「マジか…」

ハルは驚きを隠せなかった。

ブラウンは話を続けた。

「待ち伏せにはあったものの、ナンバー2達はそれをなんとか突破しました。グランギニョール側もそれなりの損失を被っています。しかし、今までベールに包まれていたグランギニョールのトップが直接手を下したという事です。ナンバー2は殺され、ナンバー4、5はなんとか離脱したものの深手を負っています。」

「グランギニョールのトップってそんなに強いのか…?」

「その様ですね。ただ、待ち伏せにあった時点で多勢に無勢だった様なので、そこを突破した時には満身創痍だったのでしょう。どちらにせよ、我々は戦力の半分を失いました。」

ブラウンが説明を終えると、「そのトップ、写真とかはないのかしら?」と華月が聞いた。

ブラウンは、用意していたようで、1枚の写真を見せた。

「1枚だけですが、彼らが咄嗟に撮影したものです。」

その写真を見たハルはみるみる表情を変えた。

「…こいつ…なんで…」

そう小さく言うと、ハルは立ち上がり、グランギニョールの隠れ家が記された地図と構内の図を丸ごとひったくる。

「ハル!?」とブラウンが驚いて呼び止めるが、ハルは目にも止まらぬ早さで店を飛び出してしまった。

「あの子、どうしたのかしら。写真を見た途端血相を変えて…。まさか一人で乗り込むつもりじゃ…」と、華月が後を追おうとするが、ブラウンが慌てて止めた。

「華月、待ってください。ハル…羅夢の事は心配ですが、慌てて動いては全滅です。それに、もうすぐ来ますから。」

「もうすぐ来るって誰が…?」

ブラウンは、一息ついて言った。

「ナンバー1です。」
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