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ケジメ
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「…よう。」と俺が言った。
「うん。」と玲愛が答えた。
「あのカラオケの後、まさか玲愛からLINEくれるなんて思わなかった。ブロック解除したのか?」
「…この後、またブロックする。」
「は?なん…」
「これはケジメだから。」
玲愛は俺の方を真っ直ぐに見て言った。
少しも笑っていなかった。
「ケジメ…?」
「あの時は、感情的になって全部ブロックしちゃって、ちゃんと話をしなかったから。今日は話をしに来た。もう別れたい。これからは二度と連絡しないで。俺達の前に現れないで。」
「俺達…?」
「たーくんと俺。」
「あいつ、玲愛の事好きって言ってたな。玲愛もそうなのか?」
「それはクリスには関係ない。」
「玲愛…」
「クリスと付き合ってた時は、悲しまされる事もキレそうになる事も病む事もあった。でも楽しい事もあったよ。いつも色んなところ連れてってくれて、楽しかった。俺自身、良くも悪くも色々な事を学んで成長したと思う。」
「じゃあ…」
「でも、もう好きじゃないんだ。」
玲愛の言葉からは決意が伝わった。
あぁ、もうダメだな。
俺が何を言ってもダメだ。
「…わかった。今まで、悪かったな。」
俺は絞り出すように言った。
「じゃあね。あ、言っとくけど、俺の友達のお父さん警察官だから、この間みたいにまた待ち伏せとかしたらチクるからな。」
「なんだよ、人をストーカーみたいに。」
「だってそうじゃん。」
「相変わらず生意気だな。エッチしてる時はあんあん可愛く鳴くくせに。」
「…ッ、そういうの言わないでよ…バカ…」
「ったく、そういうとこが可愛いんだよ。くそ、悔しいな。でも俺が悪いもんな。俺も…変われるように努力するよ。」
自分の口から出た言葉に自分で驚いた。
玲愛も少し驚いた顔をしてたけど、そのあとようやく少し笑ってくれた。
「努力しろよ。じゃあな。」
そう言うと、玲愛は背を向けた。
「玲愛…幸せになれよ。」
俺は玲愛の華奢な背中に言った。
聞こえたのか聞こえなかったのかわからない。
玲愛はそのまま、こっちを振り向くことなく足早に行ってしまった。
「ケジメか。会った時は痴漢されて震えてたくせに、変わったんだな。マジで俺も変わんなきゃな。」
そんな事を呟き、俺は扉を閉めた。
「うん。」と玲愛が答えた。
「あのカラオケの後、まさか玲愛からLINEくれるなんて思わなかった。ブロック解除したのか?」
「…この後、またブロックする。」
「は?なん…」
「これはケジメだから。」
玲愛は俺の方を真っ直ぐに見て言った。
少しも笑っていなかった。
「ケジメ…?」
「あの時は、感情的になって全部ブロックしちゃって、ちゃんと話をしなかったから。今日は話をしに来た。もう別れたい。これからは二度と連絡しないで。俺達の前に現れないで。」
「俺達…?」
「たーくんと俺。」
「あいつ、玲愛の事好きって言ってたな。玲愛もそうなのか?」
「それはクリスには関係ない。」
「玲愛…」
「クリスと付き合ってた時は、悲しまされる事もキレそうになる事も病む事もあった。でも楽しい事もあったよ。いつも色んなところ連れてってくれて、楽しかった。俺自身、良くも悪くも色々な事を学んで成長したと思う。」
「じゃあ…」
「でも、もう好きじゃないんだ。」
玲愛の言葉からは決意が伝わった。
あぁ、もうダメだな。
俺が何を言ってもダメだ。
「…わかった。今まで、悪かったな。」
俺は絞り出すように言った。
「じゃあね。あ、言っとくけど、俺の友達のお父さん警察官だから、この間みたいにまた待ち伏せとかしたらチクるからな。」
「なんだよ、人をストーカーみたいに。」
「だってそうじゃん。」
「相変わらず生意気だな。エッチしてる時はあんあん可愛く鳴くくせに。」
「…ッ、そういうの言わないでよ…バカ…」
「ったく、そういうとこが可愛いんだよ。くそ、悔しいな。でも俺が悪いもんな。俺も…変われるように努力するよ。」
自分の口から出た言葉に自分で驚いた。
玲愛も少し驚いた顔をしてたけど、そのあとようやく少し笑ってくれた。
「努力しろよ。じゃあな。」
そう言うと、玲愛は背を向けた。
「玲愛…幸せになれよ。」
俺は玲愛の華奢な背中に言った。
聞こえたのか聞こえなかったのかわからない。
玲愛はそのまま、こっちを振り向くことなく足早に行ってしまった。
「ケジメか。会った時は痴漢されて震えてたくせに、変わったんだな。マジで俺も変わんなきゃな。」
そんな事を呟き、俺は扉を閉めた。
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