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禍福は糾える縄の如し
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Side たーくん
幸せの総量というものは恐らく決まっているのだと思う。
例えば総量が100だったとする。
その100を、勉強、習い事、友達、恋、健康などのカテゴリに20ずつ分けたとして、
例えば、テストでいい点が取れた時、20が30になる。
その分どこかに"歪み"がくるんだ。
風邪をひいて、健康のカテゴリにおける20が10になる。とか。
それは、総量が100で決まってるから。
トータルが100になるように帳尻合わせが行われて、全てが完璧に満たされるなんてことは無い。
それが摂理だと思っている。
禍福は糾える縄の如しって諺もあるし。
でもあの瞬間だけは、100を超越したような気持ちになった。
レイちゃんとキスをしたあの瞬間。
まるで夢のようだった。
あの時は体が勝手に動いて、 気付いたらレイちゃんの柔らかい唇に俺の乾いた唇が重なっていた。
その後、親が帰ってくる音がして、2人して慌てふためいてレイちゃんはそそくさと帰って行った。
その夜は気持ちが輻輳して、興奮で寝付けなかった。
まさか、レイちゃんとキスできるなんて。
それはほんの一瞬だったけれど、永遠より長い確かな瞬間でもあった。
レイちゃんはどんな気持ちだったんだろう。
聞きたいけど聞けない。
ぼんやりとしていたら日曜日が終わり、あっという間に月曜日の今日。
夏休みだったけど、持ち回りの委員の仕事があって登校した。
すると、調度部活で来ていたレイちゃんと帰りにバッタリ会って、一緒に帰ることに。
なんだかお互い気まずさがあって、妙に不自然なほど当たり障りのない会話をしていた。
「今日、すごく天気がいいね。」
「たーくん、それさっきも言ってたよ。」
「そうだっけ…?」
「うん…」
「そっか…」
こんな感じ。
次の話題を探していると、ふとレイちゃんが足を止めた。
「…レイちゃん…?」
どうしたのかと思い、レイちゃんの視線の先に目を向けた。
そこには、長身の男性がこちらを睨み付けるようにして立っていた。
「…クリス… 」
レイちゃんが小さく呟くのが聞こえた。
なんとなく、"歪み"の予感がした。
幸せの総量というものは恐らく決まっているのだと思う。
例えば総量が100だったとする。
その100を、勉強、習い事、友達、恋、健康などのカテゴリに20ずつ分けたとして、
例えば、テストでいい点が取れた時、20が30になる。
その分どこかに"歪み"がくるんだ。
風邪をひいて、健康のカテゴリにおける20が10になる。とか。
それは、総量が100で決まってるから。
トータルが100になるように帳尻合わせが行われて、全てが完璧に満たされるなんてことは無い。
それが摂理だと思っている。
禍福は糾える縄の如しって諺もあるし。
でもあの瞬間だけは、100を超越したような気持ちになった。
レイちゃんとキスをしたあの瞬間。
まるで夢のようだった。
あの時は体が勝手に動いて、 気付いたらレイちゃんの柔らかい唇に俺の乾いた唇が重なっていた。
その後、親が帰ってくる音がして、2人して慌てふためいてレイちゃんはそそくさと帰って行った。
その夜は気持ちが輻輳して、興奮で寝付けなかった。
まさか、レイちゃんとキスできるなんて。
それはほんの一瞬だったけれど、永遠より長い確かな瞬間でもあった。
レイちゃんはどんな気持ちだったんだろう。
聞きたいけど聞けない。
ぼんやりとしていたら日曜日が終わり、あっという間に月曜日の今日。
夏休みだったけど、持ち回りの委員の仕事があって登校した。
すると、調度部活で来ていたレイちゃんと帰りにバッタリ会って、一緒に帰ることに。
なんだかお互い気まずさがあって、妙に不自然なほど当たり障りのない会話をしていた。
「今日、すごく天気がいいね。」
「たーくん、それさっきも言ってたよ。」
「そうだっけ…?」
「うん…」
「そっか…」
こんな感じ。
次の話題を探していると、ふとレイちゃんが足を止めた。
「…レイちゃん…?」
どうしたのかと思い、レイちゃんの視線の先に目を向けた。
そこには、長身の男性がこちらを睨み付けるようにして立っていた。
「…クリス… 」
レイちゃんが小さく呟くのが聞こえた。
なんとなく、"歪み"の予感がした。
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