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色付いた世界
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レイちゃんは、とても優しい子だ。
知らない子が泣いていたら誰よりも先に傍に駆け寄って慰めるような、本当に優しい子。
それに、明るくて、勉強もスポーツも出来る。
おまけに可愛い顔をしているからもう無双というやつだ。
レイちゃんは気づいていなかったけど、女子からも人気があった。
そういうところに無関心だったレイちゃん以上に、俺はレイちゃんの事を知っていた。
だって、レイちゃんに恋をしているのだから。
何でもできるレイちゃんに尊敬の念を抱き、
レイちゃんが友達と話をしているのを見て嫉妬し、
毎日レイちゃんと登下校出来ている事に優越感を感じ、
他の人が呼ばない「レイちゃん」という呼び方、「たーくん」という呼ばれ方に特別感を感じ、
レイちゃんが俺に向かって笑う度にキュンとして、
心が忙しかった。
レイちゃんは太陽のような人。
ずっと見ていたいけど、時々眩しくて真っすぐに見られなくなる。
一緒にいると、陰キャな自分も変われるような気にさせてくれる。
いつも俺のハピネスレベルを上昇させてくれる。
そのまばゆい万華鏡のような光の中にずっと居たいと思わせてくれる。
付き合うとか、そういう事は良くわからなかった。
ただ、レイちゃんの傍にいたかったし、特別な関係でありたかった。
彼を好きになったことで世界が色付いたように感じていた。
中学も同じところへ行った。
レイちゃんは「中学に入って男らしくなるんだ!」と言ってサッカー部に入っていた。
その理由が可愛くてついつい笑ってしまった。
(本人は「可愛い」と言われるのがあまり好きではなかったみたいだけど。)
男らしくなりたいと言っていたレイちゃんは、この頃から少しずつ言葉遣いが変わってきた。
「僕」が「俺」になったり、「〇〇しないよ」が「〇〇しねーよ」になったり。
言葉遣いが少し変わっても、明るくて優しい性格は変わらないまま。
背は少し伸びたけど、俺の方が背は高いからぶーぶー文句を言っていた。
高めの声や可愛らしい顔も変わらないまま。
俺の気持ちも変わらないまま。
気付けば、レイちゃんを想う痛みすら、俺を構成する一部になっていた。
季節がいくつ過ぎようと変わらなかった。
レイちゃんは、中学で何度か女の子に告白されていたようだ。
でも、全部断ったと言っていた。
その話を聞かせてくれた時、異性よりも同性が好きだという話を打ち明けてくれた。
レイちゃんが自分の事を俺だけに話してくれた。
俺を選んで、心の内を話してくれた。
その事実がとてつもなく嬉しかった。
俺はこの時、自分の気持ちを伝えようかと思った。
でも、結局俺はそれを心の奥底に仕舞っておくことにした。
この関係を変えたくなかったし、何より俺は自分に自信がなかった。
俺なんかにレイちゃんの隣は似合わないと思った。
知らない子が泣いていたら誰よりも先に傍に駆け寄って慰めるような、本当に優しい子。
それに、明るくて、勉強もスポーツも出来る。
おまけに可愛い顔をしているからもう無双というやつだ。
レイちゃんは気づいていなかったけど、女子からも人気があった。
そういうところに無関心だったレイちゃん以上に、俺はレイちゃんの事を知っていた。
だって、レイちゃんに恋をしているのだから。
何でもできるレイちゃんに尊敬の念を抱き、
レイちゃんが友達と話をしているのを見て嫉妬し、
毎日レイちゃんと登下校出来ている事に優越感を感じ、
他の人が呼ばない「レイちゃん」という呼び方、「たーくん」という呼ばれ方に特別感を感じ、
レイちゃんが俺に向かって笑う度にキュンとして、
心が忙しかった。
レイちゃんは太陽のような人。
ずっと見ていたいけど、時々眩しくて真っすぐに見られなくなる。
一緒にいると、陰キャな自分も変われるような気にさせてくれる。
いつも俺のハピネスレベルを上昇させてくれる。
そのまばゆい万華鏡のような光の中にずっと居たいと思わせてくれる。
付き合うとか、そういう事は良くわからなかった。
ただ、レイちゃんの傍にいたかったし、特別な関係でありたかった。
彼を好きになったことで世界が色付いたように感じていた。
中学も同じところへ行った。
レイちゃんは「中学に入って男らしくなるんだ!」と言ってサッカー部に入っていた。
その理由が可愛くてついつい笑ってしまった。
(本人は「可愛い」と言われるのがあまり好きではなかったみたいだけど。)
男らしくなりたいと言っていたレイちゃんは、この頃から少しずつ言葉遣いが変わってきた。
「僕」が「俺」になったり、「〇〇しないよ」が「〇〇しねーよ」になったり。
言葉遣いが少し変わっても、明るくて優しい性格は変わらないまま。
背は少し伸びたけど、俺の方が背は高いからぶーぶー文句を言っていた。
高めの声や可愛らしい顔も変わらないまま。
俺の気持ちも変わらないまま。
気付けば、レイちゃんを想う痛みすら、俺を構成する一部になっていた。
季節がいくつ過ぎようと変わらなかった。
レイちゃんは、中学で何度か女の子に告白されていたようだ。
でも、全部断ったと言っていた。
その話を聞かせてくれた時、異性よりも同性が好きだという話を打ち明けてくれた。
レイちゃんが自分の事を俺だけに話してくれた。
俺を選んで、心の内を話してくれた。
その事実がとてつもなく嬉しかった。
俺はこの時、自分の気持ちを伝えようかと思った。
でも、結局俺はそれを心の奥底に仕舞っておくことにした。
この関係を変えたくなかったし、何より俺は自分に自信がなかった。
俺なんかにレイちゃんの隣は似合わないと思った。
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