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7月の朝②
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「レイちゃん…おはよう。」
「お、おはよう。」
申し訳なさそうな顔で朝の挨拶をするたーくんと、条件反射的に挨拶を返す俺。
7月の生暖かい風が俺らの間を通り抜けた。
まさかたーくんがいるとは思わなくて、何も言えなくなっている俺に対して、
「レイちゃん、昨日は本当にごめんなさい!」
と、たーくんが突然深々と頭を下げて謝った。
「た、たーくん!?そんな謝ることねーって!てか頭下げすぎ!謝罪会見じゃないんだから…」
あまりに深々と頭を下げるから、俺は慌てて言った。
「レイちゃん…俺、昨日は本当にどうかしていた。レイちゃんが嫌がるようなことをして、俺は自分が許せない。謝って済むことでは無いかもしれないけど、本当にごめん。」
「いや、俺別に怒ったりしてねーからさ。てか、俺の方こそLINEとか返信しなくてごめん。何て返したらいいか分からなくてさ…。」
「レイちゃんが謝ることなんてひとつもない。全部俺が悪いよ。」
「そんな…悪いとか悪くないとか、そういうのやめようぜ?本当俺怒ったりとかしてないからさ。」
「…レイちゃん、本当に優しいね。ありがとう。昨日の告白のことは、忘れていいから。」
「え、忘れていいって…?」
「勝手だけど、全部忘れて欲しい。もし許されるなら、今まで通り幼馴染みのままでいたい。」
「も、もちろん!当たり前だろ!」
「よかった。ありがとう。」
そう言って、にこりと笑ったたーくん。
その顔があまりにも切なげで胸を打った。
それと同時に、どこか安心している自分に腹が立った。
「レイちゃん、俺、生徒会の仕事があるから早めに学校に行かなきゃいけないんだ。だから、先に行くね。」
たーくんは足早にそう言い残すと、立て掛けていた自転車に乗って静かに行ってしまった。
たーくんのシャツの背が汗で濡れているのに気付いた。
今日は猛暑日。
朝から日差しが強くて暑い日だ。
たーくん、ずっと待っててくれたのかな…。
そう思うとまた胸が痛くなったけど、俺はまた言葉を見つけられず、その場に立ち尽くしていた。
「お、おはよう。」
申し訳なさそうな顔で朝の挨拶をするたーくんと、条件反射的に挨拶を返す俺。
7月の生暖かい風が俺らの間を通り抜けた。
まさかたーくんがいるとは思わなくて、何も言えなくなっている俺に対して、
「レイちゃん、昨日は本当にごめんなさい!」
と、たーくんが突然深々と頭を下げて謝った。
「た、たーくん!?そんな謝ることねーって!てか頭下げすぎ!謝罪会見じゃないんだから…」
あまりに深々と頭を下げるから、俺は慌てて言った。
「レイちゃん…俺、昨日は本当にどうかしていた。レイちゃんが嫌がるようなことをして、俺は自分が許せない。謝って済むことでは無いかもしれないけど、本当にごめん。」
「いや、俺別に怒ったりしてねーからさ。てか、俺の方こそLINEとか返信しなくてごめん。何て返したらいいか分からなくてさ…。」
「レイちゃんが謝ることなんてひとつもない。全部俺が悪いよ。」
「そんな…悪いとか悪くないとか、そういうのやめようぜ?本当俺怒ったりとかしてないからさ。」
「…レイちゃん、本当に優しいね。ありがとう。昨日の告白のことは、忘れていいから。」
「え、忘れていいって…?」
「勝手だけど、全部忘れて欲しい。もし許されるなら、今まで通り幼馴染みのままでいたい。」
「も、もちろん!当たり前だろ!」
「よかった。ありがとう。」
そう言って、にこりと笑ったたーくん。
その顔があまりにも切なげで胸を打った。
それと同時に、どこか安心している自分に腹が立った。
「レイちゃん、俺、生徒会の仕事があるから早めに学校に行かなきゃいけないんだ。だから、先に行くね。」
たーくんは足早にそう言い残すと、立て掛けていた自転車に乗って静かに行ってしまった。
たーくんのシャツの背が汗で濡れているのに気付いた。
今日は猛暑日。
朝から日差しが強くて暑い日だ。
たーくん、ずっと待っててくれたのかな…。
そう思うとまた胸が痛くなったけど、俺はまた言葉を見つけられず、その場に立ち尽くしていた。
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