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Likeじゃなくて…?

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「…ん?え…?好きって…?」

頭が追いつかず聞き返す。

するとたーくんは、俺の両肩をぐっと掴んで俺の目を見た。

目と目が合う。

「俺は、レイちゃんのことが、ずっと好きだった。一応補足するけど、友達の好きではない。Loveの方。」

質問する前に補足されたお陰で、言われた言葉は理解してしまった。

理解はしたけど飲み込めてはいない。

「ま、まってよ、俺ら幼稚園からの幼馴染だよ!?」

「うん。」

「俺のこと…す、好きなの!?」

「うん。」

「Likeじゃなくて…」

「Loveの方。」

このやり取りの間、たーくんはずっと俺の目を真っ直ぐ見つめている。

俺はたまらず目を逸らしてしまった。

意識が目から外れた事で気付いた。

両肩に触れたたーくんの手、めちゃくちゃ震えてる。

「…あの、ずっと前からっていつから…?」

俺は、たーくんの両手首を優しく掴んで聞いた。

「多分、物心ついた頃には。」

「めちゃくちゃ前じゃん!」

「そうだよ。」

「どうして…言わなかったの?」

「最初はこれが特別な気持ちだと気付かなかった。思春期になるにつれ、自分の気持ちを理解して、悩んだ。でも言ってはいけないような気がしたし、幼馴染という関係が崩れてしまう気もした。何より、レイちゃんが望んでいないと思った。」

「……」

なんと言っていいのか分からずに黙り込む俺をよそに、たーくんは両肩に置いていた手を、今度は俺の膝元に置いた。

「高二の頃、レイちゃんに彼氏が出来たと聞いた時には実は結構病んでいたよ。それはもう世界の終わりかのように病んだ。それと同時に気付いたんだ。俺が何もしなかったらレイちゃんは別の奴に持っていかれるって。レイちゃん、自覚ないけどさ、可愛いもん。」

「…可愛くねーし…」

たーくんがいつも可愛いって言うから反射的に否定する事が多くて、つい癖で言ってしまった。いまそこ全然重要じゃないのに。

「レイちゃんが彼氏の事で一喜一憂しているのを見ているのが本当辛くてさ。こんなに辛いなら、レイちゃんの事を好きという気持ちを心から抹消したかった。でも、むしろ気持ちが抑えられなくなってきて、伝えないと死ぬのではないかと思うほど苦しかった。」

たーくんが目を潤ませる。

いやだ。いつもクールで優しいたーくんにこんな顔させたくない。

「たーくん、ごめん。俺、何も知らないで能天気にあいつの話ばっかりしてて…」

「ううん、それは謝らないで。だって知らなかったんだから。レイちゃんは1ミクロンも悪くないから謝る必要はなにもないよ。でも、俺、決めていた事があって。」

「…何?」
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