上 下
3 / 50

Likeじゃなくて…?

しおりを挟む
「…ん?え…?好きって…?」

頭が追いつかず聞き返す。

するとたーくんは、俺の両肩をぐっと掴んで俺の目を見た。

目と目が合う。

「俺は、レイちゃんのことが、ずっと好きだった。一応補足するけど、友達の好きではない。Loveの方。」

質問する前に補足されたお陰で、言われた言葉は理解してしまった。

理解はしたけど飲み込めてはいない。

「ま、まってよ、俺ら幼稚園からの幼馴染だよ!?」

「うん。」

「俺のこと…す、好きなの!?」

「うん。」

「Likeじゃなくて…」

「Loveの方。」

このやり取りの間、たーくんはずっと俺の目を真っ直ぐ見つめている。

俺はたまらず目を逸らしてしまった。

意識が目から外れた事で気付いた。

両肩に触れたたーくんの手、めちゃくちゃ震えてる。

「…あの、ずっと前からっていつから…?」

俺は、たーくんの両手首を優しく掴んで聞いた。

「多分、物心ついた頃には。」

「めちゃくちゃ前じゃん!」

「そうだよ。」

「どうして…言わなかったの?」

「最初はこれが特別な気持ちだと気付かなかった。思春期になるにつれ、自分の気持ちを理解して、悩んだ。でも言ってはいけないような気がしたし、幼馴染という関係が崩れてしまう気もした。何より、レイちゃんが望んでいないと思った。」

「……」

なんと言っていいのか分からずに黙り込む俺をよそに、たーくんは両肩に置いていた手を、今度は俺の膝元に置いた。

「高二の頃、レイちゃんに彼氏が出来たと聞いた時には実は結構病んでいたよ。それはもう世界の終わりかのように病んだ。それと同時に気付いたんだ。俺が何もしなかったらレイちゃんは別の奴に持っていかれるって。レイちゃん、自覚ないけどさ、可愛いもん。」

「…可愛くねーし…」

たーくんがいつも可愛いって言うから反射的に否定する事が多くて、つい癖で言ってしまった。いまそこ全然重要じゃないのに。

「レイちゃんが彼氏の事で一喜一憂しているのを見ているのが本当辛くてさ。こんなに辛いなら、レイちゃんの事を好きという気持ちを心から抹消したかった。でも、むしろ気持ちが抑えられなくなってきて、伝えないと死ぬのではないかと思うほど苦しかった。」

たーくんが目を潤ませる。

いやだ。いつもクールで優しいたーくんにこんな顔させたくない。

「たーくん、ごめん。俺、何も知らないで能天気にあいつの話ばっかりしてて…」

「ううん、それは謝らないで。だって知らなかったんだから。レイちゃんは1ミクロンも悪くないから謝る必要はなにもないよ。でも、俺、決めていた事があって。」

「…何?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・不定期

信じて送り出した養い子が、魔王の首を手柄に俺へ迫ってくるんだが……

鳥羽ミワ
BL
ミルはとある貴族の家で使用人として働いていた。そこの末息子・レオンは、不吉な赤目や強い黒魔力を持つことで忌み嫌われている。それを見かねたミルは、レオンを離れへ隔離するという名目で、彼の面倒を見ていた。 そんなある日、魔王復活の知らせが届く。レオンは勇者候補として戦地へ向かうこととなった。心配でたまらないミルだが、レオンはあっさり魔王を討ち取った。 これでレオンの将来は安泰だ! と喜んだのも束の間、レオンはミルに求婚する。 「俺はずっと、ミルのことが好きだった」 そんなこと聞いてないが!? だけどうるうるの瞳(※ミル視点)で迫るレオンを、ミルは拒み切れなくて……。 お人よしでほだされやすい鈍感使用人と、彼をずっと恋い慕い続けた令息。長年の執着の粘り勝ちを見届けろ! ※エブリスタ様、カクヨム様、pixiv様にも掲載しています

病んでる愛はゲームの世界で充分です!

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
ヤンデレゲームが好きな平凡男子高校生、田山直也。 幼馴染の一条翔に呆れられながらも、今日もゲームに勤しんでいた。 席替えで隣になった大人しい目隠れ生徒との交流を始め、周りの生徒たちから重い愛を現実でも向けられるようになってしまう。 田山の明日はどっちだ!! ヤンデレ大好き普通の男子高校生、田山直也がなんやかんやあってヤンデレ男子たちに執着される話です。 BL大賞参加作品です。よろしくお願いします。 11/21 本編一旦完結になります。小話ができ次第追加していきます。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい

椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。 その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。 婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!! 婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。 攻めズ ノーマルなクール王子 ドMぶりっ子 ドS従者 × Sムーブに悩むツッコミぼっち受け 作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

処理中です...