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【過去編】永遠の夏㉗

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結城と合流し、この日も体育館で練習を始める。

結城は、教える内容を事前にメモしてきたらしく、時折、「えーと」とか言いながらメモを見て教えてくれた。

「今日は、クラブステップを教えます。クラブステップはダンスの基本のステップです。」

おぉ、なんか先生感出てるな、と思った。

もしかして、教える練習でもしてきたのか。

そう思うと、何かニヤついてしまった。

「これがクラブステップです」

結城は実際にそのステップをやって見せてくれた。

素直にカッコイイと思った。

いやカッコカワイイって感じか?

ジャニーズとかが踊っているようなイメージだ。

「結城、かっこいいじゃん」

俺が素直に褒めると、結城はわかりやすく照れていた。

せっかく教え方を考えてきてくれたのだから、俺は質問してみることにした。

教える側としては、質問された方が嬉しいものだからな。

「結城、クラブステップのクラブってどういう意味なんだ?パーティー好きがよく行くクラブか?」

「あ、そのクラブではないです。クラブステップのクラブはカニさんです。足を内股にしたりガニ股にしたりするのが、カニさんっぽいからだそうですよ」

カニさん…。

カニに「さん」を付けた…。

「あ、あの、カニさんは英語だとクラブなので…」

「あ、いや、わかるわかる」

俺が何も言わなかったのを、説明が不足していたのと勘違いしたようで、結城が補足したが、俺が気になったのはそこじゃなくて、

「いやなんか、ぷっ、くく、わりぃ、カニに「さん」を付けたのが可愛すぎてさ」

そう言うと、案の定、結城の頬がみるみる赤く染まっていく。

「べっ、別にいいじゃないですか…!」

結城は薄い唇を尖らせながら言った。

なにその可愛すぎる顔。

無意識でやってんのか?

「結城、お前、その顔可愛すぎだからな。」

結城の顔がますます赤くなる。

「か、か、可愛くなんてないもん…!」

今度は膨れたように言って、俺から目を逸らした。

しかもちょっと目潤ませてんじゃん。

これ、天然か?

破壊力ありすぎだろ。
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