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【過去編】永遠の夏⑳

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「大丈夫か?」

結城に声をかける。

元々色白の顔がさらに白く見えた。

「はい。あの、ありがとうございました」

ペコリと頭を下げる。

礼儀正しい子だな、と思った。

「いや、いいんだ。礼なんて」

そして、沈黙が生まれた。

俺は彼に何て声をかければいいのか。

こんなとき、なんて言ってやればいい?

俺は言葉を探していた。

結城も何を言っていいのかわからないようだった。

あまりに静かな部屋に、お互いの息遣いだけがきこえた。

「じゃあ、僕そろそろ…」

「ダンス、教えてくれよ!」

結城が帰ると言おうとする前に、俺は言った。

「…ダンス?」

結城は、何の話だろう、という感じで首を傾げていた。

そりゃそうだ。

俺だって何言ってんだって自分で思ってる。

「あぁ。ダンスを俺に教えてくれ。結城、うまいだろ?俺は先生だからダンスの授業をしなきゃいけないんだが、ここだけの話、どうも苦手なんだ」

不思議と言葉がすらすらと出てきた。

「放課後とか、時間があるときでいいから。帰りも車で送ってやる。だから、よかったら教えてほしい。まぁ本来、俺が教える立場だから、逆転しちまうけどな」

俺は照れ笑いを交えてそう言った。

結城は少し驚いたような表情をしていたが、黙って聞いてくれていた。

そして、

「…僕でよければ」

と少し笑って言った。

「あぁ、結城がいいんだ。ありがとう。」
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