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(日常小話)イルミネーション③
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僕らはお互いにお互いのマフラーを付け合った。
「ひよしさん、そっち行っていい?」
「いいけど、ゆっくり来いよ」
僕は、ひよしさんの隣にちょこんと座った。
少し恥ずかしかったけど、いつもより密着してみた。
そしたら、ひよしさんが僕の肩を抱き寄せてくれた。
「マフラー、温かいか?」
「うん。もこもこしてて気持ちいいよ。」
「そりゃよかった。俺もだよ、空」
ひよしさんが笑顔を作って言ってくれたけど…
「ぷっ…、ひよしさん、笑顔ひきつってるよ」
「うるせーな。お前、観覧車降りたら覚えてろよ」
「あ、ひよしさん。頂上だよ。見て!イルミネーションすごく綺麗!」
星屑のようにキラキラと輝く夜の街。
はしゃぐ僕とは裏腹に、ひよしさんは固まったまま絶対に下を見ようとしない。
「わり、見れねーわ」
「えー、せっかく観覧車乗ったのに…んぅっ」
僕が唇を尖らせて文句を言おうとすると、その唇をいきなり塞がれた。
「俺は、空だけ見えてりゃいいよ」
ひよしさんは、唇を離すと、そう言った。
そうやってカッコつけて、本当は下見るのが怖いだけでしょ?
って思ったけど、言えなかった。
不覚にもキュンとしちゃって、胸が高鳴って、どうしようもなくて…
僕は無言でひよしさんの胸に顔を埋めた。
多分真っ赤になっているであろう自分の顔を見られたくなかった。
僕にとっての「好き」は「憧れ」に近いと思う。
人ゴミが嫌いなのに、一緒にイルミネーション見に来てくれたり。
高いところ苦手なのに、観覧車乗ってくれたり。
いつも意地悪だけど、こっそりプレゼントを買ってくれたり。
口は悪いのに、実はすっごく優しかったり。
ひよしさんは、僕に持っていないものをたくさん持っている。
僕は、ひよしさんみたいになりたかったのかもしれない。
僕にないものを持っているひよしさんに憧れて。
そんなひよしさんにいつもキュンキュンさせられて。
イルミネーションに輝く街の上空で、
2人だけの空間で、
僕は思った。
これからもずっと、ひよしさんと一緒にいたいって。
END
「ひよしさん、そっち行っていい?」
「いいけど、ゆっくり来いよ」
僕は、ひよしさんの隣にちょこんと座った。
少し恥ずかしかったけど、いつもより密着してみた。
そしたら、ひよしさんが僕の肩を抱き寄せてくれた。
「マフラー、温かいか?」
「うん。もこもこしてて気持ちいいよ。」
「そりゃよかった。俺もだよ、空」
ひよしさんが笑顔を作って言ってくれたけど…
「ぷっ…、ひよしさん、笑顔ひきつってるよ」
「うるせーな。お前、観覧車降りたら覚えてろよ」
「あ、ひよしさん。頂上だよ。見て!イルミネーションすごく綺麗!」
星屑のようにキラキラと輝く夜の街。
はしゃぐ僕とは裏腹に、ひよしさんは固まったまま絶対に下を見ようとしない。
「わり、見れねーわ」
「えー、せっかく観覧車乗ったのに…んぅっ」
僕が唇を尖らせて文句を言おうとすると、その唇をいきなり塞がれた。
「俺は、空だけ見えてりゃいいよ」
ひよしさんは、唇を離すと、そう言った。
そうやってカッコつけて、本当は下見るのが怖いだけでしょ?
って思ったけど、言えなかった。
不覚にもキュンとしちゃって、胸が高鳴って、どうしようもなくて…
僕は無言でひよしさんの胸に顔を埋めた。
多分真っ赤になっているであろう自分の顔を見られたくなかった。
僕にとっての「好き」は「憧れ」に近いと思う。
人ゴミが嫌いなのに、一緒にイルミネーション見に来てくれたり。
高いところ苦手なのに、観覧車乗ってくれたり。
いつも意地悪だけど、こっそりプレゼントを買ってくれたり。
口は悪いのに、実はすっごく優しかったり。
ひよしさんは、僕に持っていないものをたくさん持っている。
僕は、ひよしさんみたいになりたかったのかもしれない。
僕にないものを持っているひよしさんに憧れて。
そんなひよしさんにいつもキュンキュンさせられて。
イルミネーションに輝く街の上空で、
2人だけの空間で、
僕は思った。
これからもずっと、ひよしさんと一緒にいたいって。
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