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13の景色から見えるSF
しおりを挟むこの詩は奈良の石舞台古墳(明日香村)を上るときに思ったことを書いたものです。木などはない。とても大きい古墳なのでひたすら上ります。そうすると、見上げる先には空しか見えない。その感覚が、今まで体験したことのないようなものでした。
この詩は基本、七五調です。俳句や短歌と同じですね。そのように書きました。
『荒城の月』(土井晩翠作詞)は分かりやすい例ですが、短歌や俳句でなくとも七五調にすると歌にしやすいのです。日本の音楽のリズムにもよると思いますが、乗せやすい。現代は佐野元春さんやMr. Childrenさんのようにリズムより走った歌いかたをするのが一般的になりましたので、七五調は少し斜陽でしょうか。
ただ、この七五の感覚というのは今でも幅広く使われていて、馴染みすぎているから意識しないという側面もあります。七五調もそうですが、詩の韻律を研究するときには文字の数だけではなくて、母音を規則的に配置することなどにも踏み込みます。
そうなると、高度なパズルを解いているのと似た状態になるのかと想像します。
また、私はこのあとで『果てしなき流れの果に』(小松左京)を読んで、石舞台古墳に上がっているときの感覚を思い出しました。あのお話は壮大な旅を描くSF小説としてたいへん有名ですが、始まりの舞台は奈良の葛城山です。その洞窟が扉になって果てしない宇宙に放り出される。時間も空間も飛び越えて。その感覚は、「石舞台の向こう側」に通ずるものがあると思いました。
それは、この土地に時間を超越したものがあるからかもしれませんね。
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