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コンビニスイーツが入ったビニール袋を、表札のない4つの部屋に届けた誰かが間違えたのだと認識して、私は中央の階段手すりにそれを掛け、いつもより遅い帰宅ながらもいつものように就寝しました。
翌日学校に向かう時には、階段にもビニール袋は無くなっていて、やはり誰かが間違えたのだと思ったのです。
帰りが遅くなるバイトの時だけ、ビニール袋に入ったコンビニスイーツやお菓子、ジュースがドアノブに掛けられ、その度に私は中央の階段手すりに掛けて帰宅すると翌日には無くなっているということを繰り返しては、やはり誰かが間違え続けているのだと思っていました。
さらにはバイトがない時は、私のドアノブに間違えて掛かっている事に受け取り主が気付いて持って行っているのだとまで思っていたのです。
ある日のバイト終わりの事です。
全ての業務が終わって
「お疲れ様でした」
と店を出て、階段を下りた時、お店から随分前に出たはずのサラリーマンが2人、まだ店の前に立っていました。
ここのところ、何度かお店に来ていた2人なので、顔を覚えていたのです。
「お帰りー。じゃ、飲み行こうか!」
「は?」
そう言ってサラリーマンは、私の腕を取り、強く引いたので、私はグッと踏ん張って
「行かないです」
「いやいや、待ってたんだから」
そんな押し問答が数回行われる途中で
「どうした?」
施錠して帰宅する店長が、階段を下りてきて、全貌を把握すると
「そういうお店じゃないんで、やめてもらえます?」
「いや、約束したんだ」
「したのか?」
「し…てないです」
そう言うと、店長が私をグッと引き自分の背後に回らせサラリーマンに対峙すると
「オマエ…こっちは客だぞ?」
「いや、下品な客なら要らないんで、もう来ないでもらえます?」
「なに~?」
「客だから大丈夫と思ってんなら、もう客じゃないから遠慮しないけど」
「二度と来るかっ!」
そのままサラリーマンは、グダグダ言いながら駅の方へと消えて行きました。
「大丈夫か?」
「はい…すみません……うわっ!」
店長の手が離れて、自分の足を踏み出した時に、崩れかけ、自分の膝が震えていた事に気がつきました。
「安心して気が抜けたんだろ。今日は送る」
申し訳ないと思いましたが、しばらくは自力で歩き出せないと判断したので、支えながら送ってもらう事にしました。
「お疲れのところすみません…」
「この時間あの場所に放っておけねーだろ
災難だったな」
「ビックリしました」
「まぁ、こんな事があるかもしれないから、今後も気を付けて」
「はぁ…」
大した話はしませんでしたが、アパートに到着するまでに店長との距離が縮んだように感じていました。
「アパート、ここなので…ありがとうございました」
「あぁ、お疲れさん」
店長を見送って部屋に入ろうと思いましたが
「部屋に入ったら帰るから、早く入れ」
「でも…」
「海外では、そのタイミングでも拐われるらしい…だから、オレはそうしてる」
「じゃあ…お疲れ様でした…」
そう言って部屋の鍵を開ける前に、ドアノブのビニール袋をいつものように階段手すりに移動させると
「ちょっと待て。何だそれ?」
「誰かがいつも間違えてるみたいで…」
「は?中身は?」
「ジュースとかお菓子とか…コンビニスイーツとか…」
「………そうか。それじゃ、ゆっくり休めよ」
「はい、ありがとうございました」
部屋に入り鍵を閉めると、店長が砂利を踏んで帰って行く足音が聞こえました。
翌日学校に向かう時には、階段にもビニール袋は無くなっていて、やはり誰かが間違えたのだと思ったのです。
帰りが遅くなるバイトの時だけ、ビニール袋に入ったコンビニスイーツやお菓子、ジュースがドアノブに掛けられ、その度に私は中央の階段手すりに掛けて帰宅すると翌日には無くなっているということを繰り返しては、やはり誰かが間違え続けているのだと思っていました。
さらにはバイトがない時は、私のドアノブに間違えて掛かっている事に受け取り主が気付いて持って行っているのだとまで思っていたのです。
ある日のバイト終わりの事です。
全ての業務が終わって
「お疲れ様でした」
と店を出て、階段を下りた時、お店から随分前に出たはずのサラリーマンが2人、まだ店の前に立っていました。
ここのところ、何度かお店に来ていた2人なので、顔を覚えていたのです。
「お帰りー。じゃ、飲み行こうか!」
「は?」
そう言ってサラリーマンは、私の腕を取り、強く引いたので、私はグッと踏ん張って
「行かないです」
「いやいや、待ってたんだから」
そんな押し問答が数回行われる途中で
「どうした?」
施錠して帰宅する店長が、階段を下りてきて、全貌を把握すると
「そういうお店じゃないんで、やめてもらえます?」
「いや、約束したんだ」
「したのか?」
「し…てないです」
そう言うと、店長が私をグッと引き自分の背後に回らせサラリーマンに対峙すると
「オマエ…こっちは客だぞ?」
「いや、下品な客なら要らないんで、もう来ないでもらえます?」
「なに~?」
「客だから大丈夫と思ってんなら、もう客じゃないから遠慮しないけど」
「二度と来るかっ!」
そのままサラリーマンは、グダグダ言いながら駅の方へと消えて行きました。
「大丈夫か?」
「はい…すみません……うわっ!」
店長の手が離れて、自分の足を踏み出した時に、崩れかけ、自分の膝が震えていた事に気がつきました。
「安心して気が抜けたんだろ。今日は送る」
申し訳ないと思いましたが、しばらくは自力で歩き出せないと判断したので、支えながら送ってもらう事にしました。
「お疲れのところすみません…」
「この時間あの場所に放っておけねーだろ
災難だったな」
「ビックリしました」
「まぁ、こんな事があるかもしれないから、今後も気を付けて」
「はぁ…」
大した話はしませんでしたが、アパートに到着するまでに店長との距離が縮んだように感じていました。
「アパート、ここなので…ありがとうございました」
「あぁ、お疲れさん」
店長を見送って部屋に入ろうと思いましたが
「部屋に入ったら帰るから、早く入れ」
「でも…」
「海外では、そのタイミングでも拐われるらしい…だから、オレはそうしてる」
「じゃあ…お疲れ様でした…」
そう言って部屋の鍵を開ける前に、ドアノブのビニール袋をいつものように階段手すりに移動させると
「ちょっと待て。何だそれ?」
「誰かがいつも間違えてるみたいで…」
「は?中身は?」
「ジュースとかお菓子とか…コンビニスイーツとか…」
「………そうか。それじゃ、ゆっくり休めよ」
「はい、ありがとうございました」
部屋に入り鍵を閉めると、店長が砂利を踏んで帰って行く足音が聞こえました。
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