3 / 16
3
しおりを挟む
「なぁ、これからどうする?」
校門を跨ぐ前に、今後の予定を決める風に友人達の足を止めさせたのは、周りの女子達への予定のないオレ達アピールと、声をかけるタイミング作りの為だ
ほんの少し、校門の向こうに居る美しい人にも聞こえていて欲しいとチラリと確認すると、腕時計を見ているようだった
アクセサリー変わりとも思えるそれを見る為に、不意に晒した細く白い手首が、JKのパンチラよりも貴重な物のように思えた
待ち合わせだろうか?
今を逃したら、もう2度と会えないだろう
そう思ったら、足を止めさせた友人達にもお構いなしで彼女へ向かっていた
「誰か待ってるんですか?」
「私…ですか?」
あぁ想像どおりの声だ
軽やかなのに口調は落ち着いていて
それにその人を包んでいるような
何とも言えない良い香りがする
「誰か待っているのかな?と思ったんで、もし何なら呼んで来ますよ。見つかるかわからないっすけど」
「ふふっありがとう。でも大丈夫。連絡してみますね」
穏やかな笑顔とそれしか入らなそうな小さなバックからスマホ取り出し見せてくれた
髪の隙間から揺れるピアスが
彼女の美しさが静止画でも絵でもない事を証明してくれている
敦の元カノ達は同じ歳か歳下
それも1、2歳の事だ
この人は10歳以上歳上だろう
凛とした姿勢と視線
それなのに話す相手への笑顔と柔らかさのギャップがどうしようもなく愛くるしい
スマホの画面はまだ暗い
この画面のロックが解除されたら終わる
「敦ナンパしてんなよw」
グッジョブ友人!これでもう少し長引かせられる
「お姉さんコイツ彼女いますからw」
「そうそう!JKの!」
余計な事言ってんじゃねーって
「違うって!困ってそうだったから…」
声が大きくなったのは、聞こえて欲しくなかったからだ
「ふふっそうなんだ。ありがとう」
そうなんだってどっちだろう
俺に彼女がいる事にか…困ってそうだから…って事に掛かるのか
ブルルッとスマホの振動が聞こえて
画面を確認したその人は
伏目にした長いまつ毛すら
今まで見た事ないくらいに美しかった
「残念…今日は帰ります」
それは会う予定がなくなったと言う事なのか
笑顔も少し寂しそうに見えてしまう
ドタキャン?こんな女性を?相手はどんな奴なんだ
「え?帰っちゃうんすか?」
「みんなが話しかけてくれたから、楽しく待てました。ありがとう」
「また来ます?」
「んーどうだろう…」
「連絡先!………教えといてください!」
「え?」
「また一緒に待てるじゃないっすか。インスタでもLINEでも教えといてくれれば…」
「ふふっそっか。じゃあ…インスタフォローさせてもらおうかな」
「オレのも!」
「オレのコレです!」
「待つ時は誰にでも良いからDMしてください」
「誰かは一緒に待てるんで」
スマホを全員でごちゃごちゃした後、笑顔で頭を下げて手を振る彼女を見送った
ピンヒールから細く伸びるアキレス腱を見て
初めてアキレス腱に口付けしたいと思う程
後ろ姿まで美しい
「っしゃぁー!!」
こんなに嬉しいのは久しぶりだ
「敦おまえさ…」
「なんだよ」
「いや…まぁ相手にされる訳ねーか」
「……」
分かってる。次元が違う。
だけどもなぜかイラッとした
冷静になって考えてみれば、向こうだってそうだろう
敦達が恋愛対象になる男であれば、待ち合わせする男がいながら、一緒に待とうと思うはずがない
それでも彼女と連絡の取れる間がらになれたのは、僅かなチャンスをどうにか繋いで勝ち得た物で
たった1度見かけた人で終わるよりも敦の生活を遥かに潤してくれるに決まっている
今まで関わった女性と呼ぶのに相応しい人達は母親か先生達だけで
そんな年齢の人にこんなに浮かれるなんて考えた事もなかった
家に帰るとリビングで母親が観ているTVに釘付けになった
「何?敦も韓流ドラマの良さ分かるようになったの?」
母親はずいぶん前から韓流ドラマにハマっていて、その光景はいつもと変わらないはずだったのだが
ドラマのヒロインの雰囲気が、あの女性にそっくりだ
胸に届くくらいの品の良い色の髪
ロングコートにピンヒール
そのヒロインに似ている訳ではなく、韓流ドラマの女優の雰囲気をあの女性は纏っていた
韓流ドラマの女優に対して知らなかった事もあって、何とも思ってはいなかったのだが
あの女性を見た今では、韓流ドラマの女優達は美しかったのだと気付かされたような気がした
校門を跨ぐ前に、今後の予定を決める風に友人達の足を止めさせたのは、周りの女子達への予定のないオレ達アピールと、声をかけるタイミング作りの為だ
ほんの少し、校門の向こうに居る美しい人にも聞こえていて欲しいとチラリと確認すると、腕時計を見ているようだった
アクセサリー変わりとも思えるそれを見る為に、不意に晒した細く白い手首が、JKのパンチラよりも貴重な物のように思えた
待ち合わせだろうか?
今を逃したら、もう2度と会えないだろう
そう思ったら、足を止めさせた友人達にもお構いなしで彼女へ向かっていた
「誰か待ってるんですか?」
「私…ですか?」
あぁ想像どおりの声だ
軽やかなのに口調は落ち着いていて
それにその人を包んでいるような
何とも言えない良い香りがする
「誰か待っているのかな?と思ったんで、もし何なら呼んで来ますよ。見つかるかわからないっすけど」
「ふふっありがとう。でも大丈夫。連絡してみますね」
穏やかな笑顔とそれしか入らなそうな小さなバックからスマホ取り出し見せてくれた
髪の隙間から揺れるピアスが
彼女の美しさが静止画でも絵でもない事を証明してくれている
敦の元カノ達は同じ歳か歳下
それも1、2歳の事だ
この人は10歳以上歳上だろう
凛とした姿勢と視線
それなのに話す相手への笑顔と柔らかさのギャップがどうしようもなく愛くるしい
スマホの画面はまだ暗い
この画面のロックが解除されたら終わる
「敦ナンパしてんなよw」
グッジョブ友人!これでもう少し長引かせられる
「お姉さんコイツ彼女いますからw」
「そうそう!JKの!」
余計な事言ってんじゃねーって
「違うって!困ってそうだったから…」
声が大きくなったのは、聞こえて欲しくなかったからだ
「ふふっそうなんだ。ありがとう」
そうなんだってどっちだろう
俺に彼女がいる事にか…困ってそうだから…って事に掛かるのか
ブルルッとスマホの振動が聞こえて
画面を確認したその人は
伏目にした長いまつ毛すら
今まで見た事ないくらいに美しかった
「残念…今日は帰ります」
それは会う予定がなくなったと言う事なのか
笑顔も少し寂しそうに見えてしまう
ドタキャン?こんな女性を?相手はどんな奴なんだ
「え?帰っちゃうんすか?」
「みんなが話しかけてくれたから、楽しく待てました。ありがとう」
「また来ます?」
「んーどうだろう…」
「連絡先!………教えといてください!」
「え?」
「また一緒に待てるじゃないっすか。インスタでもLINEでも教えといてくれれば…」
「ふふっそっか。じゃあ…インスタフォローさせてもらおうかな」
「オレのも!」
「オレのコレです!」
「待つ時は誰にでも良いからDMしてください」
「誰かは一緒に待てるんで」
スマホを全員でごちゃごちゃした後、笑顔で頭を下げて手を振る彼女を見送った
ピンヒールから細く伸びるアキレス腱を見て
初めてアキレス腱に口付けしたいと思う程
後ろ姿まで美しい
「っしゃぁー!!」
こんなに嬉しいのは久しぶりだ
「敦おまえさ…」
「なんだよ」
「いや…まぁ相手にされる訳ねーか」
「……」
分かってる。次元が違う。
だけどもなぜかイラッとした
冷静になって考えてみれば、向こうだってそうだろう
敦達が恋愛対象になる男であれば、待ち合わせする男がいながら、一緒に待とうと思うはずがない
それでも彼女と連絡の取れる間がらになれたのは、僅かなチャンスをどうにか繋いで勝ち得た物で
たった1度見かけた人で終わるよりも敦の生活を遥かに潤してくれるに決まっている
今まで関わった女性と呼ぶのに相応しい人達は母親か先生達だけで
そんな年齢の人にこんなに浮かれるなんて考えた事もなかった
家に帰るとリビングで母親が観ているTVに釘付けになった
「何?敦も韓流ドラマの良さ分かるようになったの?」
母親はずいぶん前から韓流ドラマにハマっていて、その光景はいつもと変わらないはずだったのだが
ドラマのヒロインの雰囲気が、あの女性にそっくりだ
胸に届くくらいの品の良い色の髪
ロングコートにピンヒール
そのヒロインに似ている訳ではなく、韓流ドラマの女優の雰囲気をあの女性は纏っていた
韓流ドラマの女優に対して知らなかった事もあって、何とも思ってはいなかったのだが
あの女性を見た今では、韓流ドラマの女優達は美しかったのだと気付かされたような気がした
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる