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しおりを挟む【オマエの願いを叶えてやる】
それは、深夜
知らない番号からの1通のショートメールでした
(なんか気持ち悪いな)
そう思ったものの、どうすることも出来ずに放置したまま、翌日いつもと変わらない時間に起き、身支度を整え、いつもと変わらない時間の電車に乗り、いつもと変わらない時間に会社に向かいました
「あー!マジ最悪っ!」
「おはよー!どうしたの」
「いつもの電車乗り遅れたら、痴漢されたんだけど!」
「マジで~?」
違う会社に向かうであろう女の子が話しながら私を追い抜いて行きます
「………」
私は生まれて今まで、痴漢というモノに遭遇した事がありません
彼女たちの話しを聞いて、少しだけ
(羨ましいな…)
と思ってしまう気持ちは、誰にも理解されない事でしょうし、あってはいけない感情な気がするのです
だから、ずっと心の奥の奥の方にしまい込んで、誰からもそんなこと思ってるなんて思われないように、ただただ分からないようにして同じ毎日を過ごしているのです
その日だって、いつもと変わらない会社の人たちに、いつもと同じように挨拶をして、いつもと同じような会話をして、いつもと同じような業務をこなし、いつもと同じような1日が過ぎて行きました
「今日は定時で上がって良いぞ」
「え…でも…」
「いつもオマエが他のヤツの仕事引き受けて残業してるだろ、急ぎのモノはあるのか?」
「いっいえ、ありません」
「なら、今日は帰れ」
チーフマネージャーは決して悪い人ではないのですが、その緊張感のある空気は、私に従うこと以外に選択肢を与えてくれた事はありません
指示は彼の優しさなのでしょうが、私が定時で帰ったところで、残念ながら予定もやることも何もないのです
その日はいつもより早い時間の電車で帰ることになったのですが、ちょうどとても混んでいる時間帯で、いつも進んで残業しようと決めた原因でもあった事を思い出しました
満員電車が好きな人なんていないでしょうが、学生の時に上京して来た私は、いつまでたっても乗り込むタイミングすら掴めません
朝だって、家を出る時間を早めて、満員電車でも比較的圧迫の少ない電車に乗れるようにしているのです
(少し時間を遅らせてから帰ろう…)
そう思って行き先を変えようと振り返る間も無く、人の波に飲まれ自分の意思とは逆向きに体を運ばれて、到着した電車から押し出てくる人の波と、押し入る人の波とで混沌とする中、結局は自分の意思とは間逆の、満員電車に乗り込むという選択をさせられていました
自分の体勢ですら自らの意思ではなく、それを動かすことだって自らの意思では出来ず
(えっ…?)
スカート越しに何かがお尻を触る感覚があったのですが、この状況では身体中全てが何かに密着していて、何があたってもおかしくはない状況ではあります
次の駅に到着するまでに、何度かその感覚があったのですが、その感覚が何なのか集中し意識すればするほど、何故か鼓動が強くなっていきました
そして、もし相手もたまたまその体勢になってしまって、本人の意思でなく、電車の揺れがそうさせてしまっているのなら、
(私は何て恥ずかしい事を考えているのだろう)
と自分の中のあってはいけない感情の存在にさらに高揚させられたのです
何度か人々が入れ替わり、体勢も僅かに動かされることを繰り返す間に、お尻への感覚がスカートの中に入り込んでストッキング越しに太腿が撫でられた時、お尻と膣の辺りがキュッと締まりました
(ダ…ダメ…)
それでも閉じることの出来ない両脚の間への侵入は止まることはなく、ストッキングの上から、股をなぞり始めたのです
(んっ…!)
膝の力が抜け、踏ん張ることが困難になった時、恥ずかしさで膣の奥から溢れる潤い
降りる駅が近づく中、私以外に知られず器用にストッキングを破ったソレは、少しの静寂を思わせたかと思うと、下着越しに膣にたどり着き
チュ…
私の膣が下着を濡らしている事を知られてしまった事実に、息も吸えなくなりました
(周りの人にも聞かれたかもしれない)
恥ずかしさでさらに私の膣は滑りを増し、それを受け止める役割の布地は、すでに吸収する容量を超えてしまっています
溢れ出す液体は、ストッキングまでも濡らしているのかもしれません
下着越しのソレは、下着を少しだけずらし、ヌルヌルの感覚を楽しむように潤った膣のすぐ横をなぞり続けました
クリトリスや膣へと届かないソレはとても歯痒くて
(触って欲しい…)
触れるように求め僅かに動いたお尻と私の欲求を知っていながら、まるでソレが自分の意思を持っているかのように避けることを楽しみ出したのです
肝心な場所へは届くことはないままヌルヌルと肌を滑り続けるソレに、小刻みにさせられた息を必死に殺し、足りない刺激が、望む場所へと届く事を願い耐えていると
(……!)
不意にソレは弄ることを止め、離れ、スカートを整え直し、私に冷静さを取り戻させ
~お出口は左側~
私の降りる駅だと気付かせたのです
乗車した時より人も僅かに減っていて、人と人との隙間も大きくなっていた事までも把握した瞬間、恥ずかしさで周りなど見る事も出来ず、俯いたまま急ぎ足で電車から降り、改札口へと続く階段を小刻みに駆け上がっていました
自宅まで夢中で走り、焦るように鍵を開け玄関に飛び込むと
「はぁ…はぁ…はぁ…」
乱れながらも、大きく呼吸を整えることがやっと自分の意思で出来、安堵を覚えると直ぐ、鳴った短い機械音と振動を確認すると
昨日届き放置した
【オマエの願いを叶えてやる】
その下に表れた
【オメデトウ】
それは、私の呼吸を再び小刻みにさせたのです
見ているそばから更新したソレの機械音と振動と共に、私は膝から崩れ堕ち玄関にもかかわらず、へたり込んでしまいました
届いた3枚の画像は間違いなく、先程の電車に乗っていた、私のスカートの中
湿っている事まで写しているソレは、私に絶望を与えつつも、思考を奪い、未だ満たされ無かったその場所へ意識を取り戻させました
目を閉じて、ゆっくりと手を伸ばし指先でビリビリになったストッキングの繊維を掻き分け下着に到達すると、ソレは未だ冷たく濡れたまま
「ハァ…ハァ…」
誰にも気付かれないこの場所で、私はようやく官能の息を遠慮無く漏らせる事が出来たのです
先程の知らない男性のソレを思い出し、その動きを真似動かしただけで、冷たかった染みに温かい液が混ざり解け出しました
先程と同じように下着を少しだけずらし、待ち耐えた蕾への直接の刺激を求めた私の呼吸がさらに震えた時
「っ!」
再びの機械音と振動にゆっくり目を開けると
【自分で慰めるなら、コレで終わりだ】
その文字に脳と躰は勝手に反応し、自ら動き動かすことを止めてしまいました
【本当は誰よりもスケベでどうしようもないオマエの願いを叶えてやる】
手を離したはずの膣から、水っぽい汁が垂れ流れたのと
〔お願いします〕
と打ち返したのとでは、どちらが先だったのか、今では思い出せません
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