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小林さんと中村さんの終わりかた
しおりを挟む夕食を食べ終えた本当の帰りの車内で
「次はいつにする」
ハンドルを握ったままのそれに身体の関係なのだと釘を刺されたように感じました
何も言わない私に、中村さんは官能を促す口調になっていて
「オマエの身体が回復するのが長くても今週だとして…
もうオナニーじゃイケないだろ…どうするんだ」
「………」
「勝手にグッズは買うなよ」
「……」
「膣内に何かを挿れるのも禁止だ」
“なんかあったら連絡してくれていいから”
元彼の声が思い出されます
“あの時一緒にいた人にとって、私セフレみたいなんだけどどうしよう”
相談出来るわけがないし、何を言われても、私は中村さんから離れたくはならないだろうとも思いました
「ああ。オナニーする時は必ず知らせろ」
「………」
「パソコンはあるよな
オレのアドレスは送る…繋いで指オナニーでイケない姿を全部見せろよ」
「………」
「さっきから返事がないのは不服だからか」
そう言うと中村さんは昨日の動画をスマホと同期したカーモニターに写しました
目を閉じた私がガラスのテーブルの上で自慰する姿が、昨日のまま映し出され、目を閉じても卑猥な水音が車内に響きます
どんな関係でも、この人からは心も身体もきっと離れられないとまざまざと自覚させられるには、最も簡単な手段で、充分過ぎる記録でした
「都合が合わなかったら場合は、動画で送れ」
「はい…」
「イキたくなったらローター借りに来い」
「…はい」
「オレが納得した何度目かに貸してやる…かもしれない」
「…はい」
「たまにディルドかバイブも貸してやるかもしれないが…どっちにしろ、スカイプでイカせて欲しがる姿を見せてもらうから…オレのいない所でイケると思うな」
「…はい」
下着に染みる体液が膣に痛みを与えていました
「見ろよ。もうすぐオナニーしながら自己紹介するオマエが見れる」
“何してる。止めるな。挨拶だろ”
“あああ…スケベな…ハァ…ハァ…変態女…ハァ…ハァ…です…”
“どうぞよろしくお願いします…だろ”
“ハァ…ハァ…どうぞ…よろしく…お願い…します…”
“これがドM汁を飛ばして喜ぶ変態女の姿です”
「どうよ」
「…恥ずかしい…です」
「こんな姿撮られといて何言ってんの」
「…変態だと…思います」
「どMの変態だろ…元彼は知ってたのか」
「………いいえ」
「だろうな…オレもこんな事彼女に出来ねぇもん」
「……分かります」
「普通こんな事喜ぶと思わねぇし」
「……はい」
「今もマンコ濡れてんだろ」
「………はい」
「せっかく素股で妥協してやったのに、治りが遅くなるだろ」
「…すみません」
「痛むか」
「…少し」
たったそれだけの労わりの言葉が嬉しくて、涙が1筋頬を流れました
今までだって優しくしてくれたのに、何で忘れてしまっていたのでしょう
「何泣いてんの」
「……いいえ」
「ふーん…」
そのまましばらく車内は私の自慰の音と声だけが聞こえていました
急にそれが途切れたと思ったら
ブブブブブ…ブブブブブ…
中村さんのスマホに着信があり、中村さんは同期を解除してスマホを耳に充てがいます
“おう!中村今何してんの?”
「悪い。運転中」
静かな車内に幹事さんの声は、こちらまで漏れていました
“マジか。じゃ誰かと一緒?”
「ああ………好きな人」
“はぁっ?何それ!オレ全然聞…”
幹事さんの言葉途中で繋がりを切った中村さんの意外過ぎた言葉
中村さんは昨日の電話を聞いていたのでしょうか…
驚いた丸い目で中村さんを見ていましたが、前を向いたまま中村さんはこちらを見てはくれませんでした
しばらくしてから
「中村さん、昨日…起きてました?」
「何が」
やっぱりグッスリ寝てたもんな…と姿勢も視線も正面に戻すと
「元彼とはもう連絡するな」
「起きて…たんですね」
「ああ…向こうの声も全部聞いた」
「ですよね」
「で?今オマエは誰といる」
「………好きな人」
「彼女になってもどMも変態も止めるなよ」
1度車を路肩に止め
「返事」
「はい」
中村さんは私が最も興奮する後頭部に手を回し強く引き寄せる事をして
恋人同士が初めてする今までで1番優しいキスをしてくれました…
〈おわり〉
じゃなくて
中村さんは再び車を走らせると
不意に思い出したように
「そう言えば、彼氏になったんだからクンニはアリだよな」
「それはナシです」
「元彼はアリだったのに今彼のオレがナシはおかしいだろ」
「元彼がアリだったわけでもないですよ」
「2回目からナシだったのか」
「………」
「2回目以降もアリの反応じゃねぇか。それに比べて彼氏になってから1回もナシは完全におかしいだろ」
「それでもナシなんです」
ブブブブブ…ブブブブブ…
また着信があり中村さんが通話ボタンを押すと、瞬時に
“おかしいだろ!”
「だよな」
“そうだよ!話の途…”
「ほら、コイツもおかしいって」
「それは中村さんに向けての“おかしい”です」
「へー」
小林さんには
“そうだとしてもどうでもいい”の“へー”に聞こえたそれは
“だったら縛って無理矢理してやろう”の
“へー”だと言う事はここだけの秘密です
〈おわり〉
ブブブブブ…ブブブブブ…
「絶ってー終わらせねーかんな!」
〈おわりです〉
ブブブブブ…ブブブブブ…
「中村出ろよ!」
〈おわりなので出ませんよ〉
ブブブブブ…ブブブブブ…
“なんだよ”
「うわ!出た!」
“鬼電しといて“出た”はねぇだろ”
「うるせーよ。中村誰といるかぐらい…」
“そういや、彼氏にクンニさせないってどう思う?”
「は?オマエ本当に中村かよ」
“誰にかけたよ”
「中村だけど」
“じゃそうなんだろ。で、どうよ”
「恥ずかしいんじゃね?っつーか相手誰よ」
“小林さん”
「じゃあ、しょーがねぇだろ。小林さんらしい………ってオイッ!」
“あ?”
「小林さんなんてますます聞いてねーよ!」
“あぁ。言ってねぇもん”
「言っとけよ!」
“好きなのか?”
「………別に」
“沢尻エリカかよ”
「うるせー!中村オマエガチで………あ!また切りやがった!」
〈本当におわり〉
ブブブブブ…ブブブブブ…
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