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その9
しおりを挟む日付けが変わる手前でお開きになったその日の翌日の火曜日は、倦怠感が拭えませんでした。
結局幹事さんはどこからどこまで本音で喋っていたのかは分かりませんが
サセコちゃんの所は誤魔化せない状況だった事は事実です。
金曜日飲み会
↓
サセコちゃんと中村さんが抜ける
↓
サセコちゃんが誘うと“自分を大切に”と中村さん帰宅
↓
土曜日サセコちゃん幹事さんに電話
↓
サセコちゃんの部屋で幹事さんとセックス
↓
“本命に手は出さない”=サセコちゃんは中村さんの本命
↓
サセコちゃんの本命も中村さん
↓
月曜日ランチでサセコちゃんが女子に宣言
今週中にサセコちゃんと中村さんに進展があれば、週末の予定が変わるかもしれないと思いながら、業務をいつもより遅いペースで進めていました。
「中村。今週末飲み行かね?」
「あー…ムリ」
「じゃあ仕事終わったら、飯、付き合って」
「何かあったのか?」
「まぁね」
幹事さんと中村さんとの間でこんなやり取りが行われているとは微塵も思わず、その日の勤務時間を終えたのです。
その居酒屋には幹事の方が先に到着して1杯始めていました。
2杯目を注文しようとしたとき
「悪い。待たせた」
「お疲れー。イヤ、まだ1杯目だから。すいませーんハイボール2つ」
「で?」
「まぁそう急ぐなって」
中村はいつもどおり幹事が話し出すのを待ち
幹事はいつもより中村にアルコールを進めましたが、中村はいつもどおり自分のペースを崩すことはありませんでした。
「飲み会の後どうよ?」
「どうって?」
「あの日サセコと帰ったじゃん?」
「あぁ。別に」
「別にじゃなくて、何があったか聞いてんの」
「何もないから別になんだろ」
「いっつもそうだよ。中村は自分の事何にも言わねーじゃん」
「言うほどの事がないんだろ」
「今まではそりゃしょうがねーとしてもな?やっと飲み会一緒に参加してくれました。そのメンバーを持ち帰った。
何があったのか聞いたのに“別に”はねーだろ?沢尻エリカかよ」
「そう見えるか?」
「見えねーよ!問題そこじゃねーしな!」
「オマエの方こそ何かあったのか?」
「………別に」
「沢尻エリカかよ」
「あーもう!中村と話すと結局こうなるんだよ
オレはね、オマエの話しが聞きたいの!」
「サセコを送った。他に何を話すことがある?」
「サセコを送ってただで帰れるわけねーだろ」
「ただで帰れなかったのか?」
「オマエ以外はな!」
「………いつ?」
「土曜だよ。オマエがサセコに手出さずに帰ったから、欲求不満のサセコから呼び出されたんだろ」
「じゃあ、オレが話さずとも知ってただろ?」
「ああ!知ってたよ!でもサセコより先にオマエから教えてもらう事が出来てたら、オレはのこのこサセコのマンションには行かなかっただろうし、サセコとヤる事もなかった!
そして昨日女子社員から軽蔑される事もなかったはずだ!」
「………」
この沈黙は、毒を吐き切るまで待とうと言う沈黙です。
いつもなら幹事はそのまま毒抜きを続けるのですが、この日は中村との距離を縮める事が目的だった為、彼を挑発してみようと試みました。
「言ってもサセコはオマエが本命だから、オレとヤッた事なんて何でもないし“男は本命には簡単に手が出せないんだ”ってオマエの気持ちも伝えてやっといたから、今頃浮かれて上機嫌で女子社員に言いまくってるけどな」
「へー」
「オマエ良いのか?“中村の本命がサセコだ”ってみんなに広がってるんだぞ?」
「オマエがそうしたんだろ?」
「………かもしんねーけど……ムカついたか?」
「いや」
「弁解するわけじゃねーけど、サセコが泣きながら電話して来たから、オマエが誰かに殴られたりしたんじゃねーかって心配してサセコのマンションに行ったんだからな」
「あぁ…」
「あぁって…」
「心配させたんなら悪かった」
「………」
それはちょっとだけ幹事の居心地を悪くしました。
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