主人はちょっぴりめんどくさがり

琥珀

文字の大きさ
上 下
3 / 7
1猫 日常

出発

しおりを挟む
  僕の主人のお母さんは、先日病気でこの世界から消えた。
僕はまだ、勉強不足だから、死ぬっていうのがよく分かんない。
  でもそれが、凄く辛い事なのは、この前学んだ。
主人が、お母さんの事、とっても大切なのを僕は知ってる。
僕は…僕は…。
主人の為に何もできないなんて…嫌だよ。

  今日は、主人が出かける日。
どうして出かけるの?とか、いつ帰ってくるの?とか。
あんまり、気にしないようにしてる。
「よし、今日は勝つぞー!
あー、最近、俺元気じゃなかったからな。お前に心配かけちまったかな。
帰りにでも、最高級の猫缶買ってやるか。」
  主人が優しくなるのは、とっても珍しい。
だから、最高級の猫缶なんて、貴重品。
でも、僕は知ってる。
最高級とは程遠い猫缶の事を。(100円の猫缶)

  僕の主人は、不用心。
鍵は開けっぱだし、窓はあいてるし。
ドロボーが入ってもおかしくないよね。
  この前、一度僕は外に出た。
ベランダだけだけど、涼しくて良い場所だと思ったのを覚えてる。
けど、それ以上に危ない場所だった事も、ちゃんと覚えてる。

  僕は、猫。
主人のペット。
この前、悲しい出来事があって、主人はずっと元気なかった。
何か、僕にできる事はって考えた。
  そうだ、主人を迎えに行ってあげよう!
一回テレビで見た事がある。
僕とは違う《犬》だったけど、多分僕にもできる。
主人の事だから、そんな遠くには行ってない。
  さあ、出発だ!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

あいにいくよ

よこいみさと
絵本
ぬいぐるみのお話。

優しい異世界に行った話〜ねずみたちとの、まったりスローライフ〜

戸田 猫丸
絵本
 小っちゃな小っちゃなねずみたちの世界へと迷い込んでしまった、21歳の男子大学生、マサシ。  別世界で出会った9匹のねずみの家族との、のんびりほのぼのした生活を描いたおはなしです。  嫌な事を忘れて、ゆったり流れる時間と自然の中でのスローライフの情景を、楽しんでいただければ幸いです♪

あとでとけい

居酒屋ピ太郎
絵本
「あとでね」といろんなことをあとまわしにしてしまうシュンくんにおかあさんがあることをおもいつきました

ぞく ちびりゅうと びゃっこくんの だましえ

関谷俊博
絵本
「いい加減にやめろ」とお思いでしょうが、また続けてしまいました…。

ぞく ちびりゅうの だましえ

関谷俊博
絵本
ぞくへんです…。

みんなでつなぐ

あおむら なつ
絵本
ゾウさんが、飛行機でお届けもの。でも飛行機が故障してしまって…次々と森の仲間が、荷物を運んでくれます。 この絵本は、文章のない絵本です。どうぶつたちのセリフを自由に考えて、自分だけの物語をふくらませてくださいね。

このせかいもわるくない

ふら(鳥羽風来)
絵本
以前書いた童話「いいとこ探し」を絵本にリメイクしました。 色んなソフトを使ったりすれば、もっと良い絵が描けそうだったり、未熟な点は多いですが、よろしくお願いします。

物語詰め

うみべ
絵本
短編ものばかり ポエムみたいな感じ

処理中です...