444 / 603
新しい羽まし
しおりを挟む
ある王国の地下墓地で見つけた日記。
その日記は、書き手の身に降りかかった奇妙な出来事を記したものだった。しかし、不吉な予感からその内容が白日の下に曝された時......誰もが戦慄する悪夢のような真実を知る事となったのである――
dreamer - 第2話「悪夢への序章」 - ンはこの物語をこのように語るだろう...「あれは夢か?それとも現実?」と
―――――――――――――――――――――――――私は、“彼”に出会ったのだ。
それは突然だった。彼は私のすぐ傍(そば)に現れた。まるで最初からそこにいたかのように。そしてこう言った。『君の願いを教えてごらん』
私は混乱して辺りを見回したよ。だってそこはどう見てもさっきまで私が立っていたはずの場所だったから。それなのに誰もいないんだもの、すごくびっくりしたよ!でもその男の人は何もせずにただじっとこちらを見ているばかりだった。だから私は思い切って聞いてみた。「あのぅー...」
すると、いきなり背後から声をかけられて驚いたけど、それがさっきと同じ声だとわかってまた安心した。「すみません!」「あ、ああ......」 男はゆっくりとこちらを向く。 その顔を見た時......私は言葉を失った。 何故ならそこには夢の中で見た顔があったからだ。 いや違う!もっとだ......夢の中の彼とまったく同じ顔をしていたのだから......!「どうかなさいましたか...?」 男が優しく問いかけるので我を取り戻して言った。「......えっ!?あ、ううんなんでもないです」 そう言ったものの、さっきの男の顔を見ていて頭の中がグチャグチャになっていた私は何も言うことができなかった。 そんな私に構わず男は話を続けた。「もしよかったら、話してみないかい?」「......何をですか?」「いいからいいから♪」「......」 少し迷った後、私は全てを話すことにした。 そしてその話を聞いてくれた彼はこう言った。「そうだったのか、君はあの時死んでしまったんだね。だけど安心して欲しい。ここはもう既に成仏してしまった者達が集まるところなんだ。君が望むならもう一度チャンスをあげることができるんだけどどうかな?どうする......?」「.........っ!!」 願ってもない申し出だったが、私はすぐに決断できなかった。 確かに男の言う通り、今ここで死んだら元の世界に帰れる可能性は低いと思うし、何よりあんな恐ろしい目に合うのは二度とゴメンだ。 それに何より、彼に会ってみたいという衝動を抑えることはできなかった。だから――「お願いしま――」「――待ってください」「......え?」 だがその瞬間、彼の姿は一瞬にして消えてしまっていた。 突然のことに驚きながら辺りを見渡す私をよそに、声は続く。『僕は君の傍にいます。何があっても僕が必ず君を守ります!』「...誰!?」 『ここにずっといられますよ。その代わりと言っては何ですが僕の話を聞いてくれますか?』 再び声が聞こえた方を見るも、今度はその姿すらどこにも見えなかった。「......わかったわ。じゃあ聞かせてもらえるかしら?」 そう言うと声は嬉しそうな声でこう答えた。『はい♪では、お話しますね♪......実はね、この世界は本当は滅んでいるんです』「ええっ!!どういうことなの!?」 私は耳を疑った。世界が滅びているなんて信じられなかった。『それを知っているのは僕だけなんです。他の人には絶対に内緒ですよ。もちろん他の神様にもこのことを伝えてはいけないことになっていますから。なので、ここであったことと聞いたことは全て秘密でお願いしますね♪約束できますよね?』 その言葉に私は頷いた。正直、こんな話は誰にも相談できやしないだろうし、そもそも自分が生きている世界とは全く違う世界にいるのだからどうしようもないと思っていた。『まず最初の質問について答えますね。何故僕が君に話そうと思ったのかというと、それは君に頼みたいことがあったからです』「頼みたいことですか?」『そうです。僕はずっと長い間ここから出られなくて退屈していたんですけど、最近突然声が聞こえて来たんです。その人はどうやら僕のことを知っているみたいでね、もしかしたら助けて貰えるかもしれないと思って声をかけたんですよ~。それでその人が言うには、この世界とは別の世界の人がこっちに来ると、その世界にいる人間の力で何とかなるかもしれないということだったんです。でも別の世界は危険がいっぱいで危ないこともあるみたいなんですが、その人も困っていたので、せっかくならと思い来てもらったんです』
なるほど、そういうことだったのかと思っていると、次の言葉は予想外のことだった。『でも君はダメでした。あの男の人も酷いですね。僕のことを知ってて助けようともしないなんて!まあ結果的にはあの人のおかげでここにいられるわけですけど』「...つまり貴方は私を恨んでいないということですか?」『えっ!?何でそうなるんですか?むしろ感謝してほしいぐらいなんですけど......』「...そうですね。ありがとうございます」『いえいえ。あ、それと、あの人達の世界はとても過酷だそうですよ。さっき言った男の人が言っていたのですが、この世界と同じくらいに過酷なんだとか......』「...そうですか......」 その言葉を聞いた瞬間、私の心にある考えが浮かんだ。『ねえ、それなら私の力で何とかならないかな?』『...と言うと?』 彼は少し驚いたような声を発した。(確かにこれは賭けになる。しかしもう他に手は無い) そう思った私は彼に自分の気持ちを伝えた。『もし貴方が協力してくれるのなら貴方の力を貸してください。お願いします』 そう言った後数秒間沈黙があった
その日記は、書き手の身に降りかかった奇妙な出来事を記したものだった。しかし、不吉な予感からその内容が白日の下に曝された時......誰もが戦慄する悪夢のような真実を知る事となったのである――
dreamer - 第2話「悪夢への序章」 - ンはこの物語をこのように語るだろう...「あれは夢か?それとも現実?」と
―――――――――――――――――――――――――私は、“彼”に出会ったのだ。
それは突然だった。彼は私のすぐ傍(そば)に現れた。まるで最初からそこにいたかのように。そしてこう言った。『君の願いを教えてごらん』
私は混乱して辺りを見回したよ。だってそこはどう見てもさっきまで私が立っていたはずの場所だったから。それなのに誰もいないんだもの、すごくびっくりしたよ!でもその男の人は何もせずにただじっとこちらを見ているばかりだった。だから私は思い切って聞いてみた。「あのぅー...」
すると、いきなり背後から声をかけられて驚いたけど、それがさっきと同じ声だとわかってまた安心した。「すみません!」「あ、ああ......」 男はゆっくりとこちらを向く。 その顔を見た時......私は言葉を失った。 何故ならそこには夢の中で見た顔があったからだ。 いや違う!もっとだ......夢の中の彼とまったく同じ顔をしていたのだから......!「どうかなさいましたか...?」 男が優しく問いかけるので我を取り戻して言った。「......えっ!?あ、ううんなんでもないです」 そう言ったものの、さっきの男の顔を見ていて頭の中がグチャグチャになっていた私は何も言うことができなかった。 そんな私に構わず男は話を続けた。「もしよかったら、話してみないかい?」「......何をですか?」「いいからいいから♪」「......」 少し迷った後、私は全てを話すことにした。 そしてその話を聞いてくれた彼はこう言った。「そうだったのか、君はあの時死んでしまったんだね。だけど安心して欲しい。ここはもう既に成仏してしまった者達が集まるところなんだ。君が望むならもう一度チャンスをあげることができるんだけどどうかな?どうする......?」「.........っ!!」 願ってもない申し出だったが、私はすぐに決断できなかった。 確かに男の言う通り、今ここで死んだら元の世界に帰れる可能性は低いと思うし、何よりあんな恐ろしい目に合うのは二度とゴメンだ。 それに何より、彼に会ってみたいという衝動を抑えることはできなかった。だから――「お願いしま――」「――待ってください」「......え?」 だがその瞬間、彼の姿は一瞬にして消えてしまっていた。 突然のことに驚きながら辺りを見渡す私をよそに、声は続く。『僕は君の傍にいます。何があっても僕が必ず君を守ります!』「...誰!?」 『ここにずっといられますよ。その代わりと言っては何ですが僕の話を聞いてくれますか?』 再び声が聞こえた方を見るも、今度はその姿すらどこにも見えなかった。「......わかったわ。じゃあ聞かせてもらえるかしら?」 そう言うと声は嬉しそうな声でこう答えた。『はい♪では、お話しますね♪......実はね、この世界は本当は滅んでいるんです』「ええっ!!どういうことなの!?」 私は耳を疑った。世界が滅びているなんて信じられなかった。『それを知っているのは僕だけなんです。他の人には絶対に内緒ですよ。もちろん他の神様にもこのことを伝えてはいけないことになっていますから。なので、ここであったことと聞いたことは全て秘密でお願いしますね♪約束できますよね?』 その言葉に私は頷いた。正直、こんな話は誰にも相談できやしないだろうし、そもそも自分が生きている世界とは全く違う世界にいるのだからどうしようもないと思っていた。『まず最初の質問について答えますね。何故僕が君に話そうと思ったのかというと、それは君に頼みたいことがあったからです』「頼みたいことですか?」『そうです。僕はずっと長い間ここから出られなくて退屈していたんですけど、最近突然声が聞こえて来たんです。その人はどうやら僕のことを知っているみたいでね、もしかしたら助けて貰えるかもしれないと思って声をかけたんですよ~。それでその人が言うには、この世界とは別の世界の人がこっちに来ると、その世界にいる人間の力で何とかなるかもしれないということだったんです。でも別の世界は危険がいっぱいで危ないこともあるみたいなんですが、その人も困っていたので、せっかくならと思い来てもらったんです』
なるほど、そういうことだったのかと思っていると、次の言葉は予想外のことだった。『でも君はダメでした。あの男の人も酷いですね。僕のことを知ってて助けようともしないなんて!まあ結果的にはあの人のおかげでここにいられるわけですけど』「...つまり貴方は私を恨んでいないということですか?」『えっ!?何でそうなるんですか?むしろ感謝してほしいぐらいなんですけど......』「...そうですね。ありがとうございます」『いえいえ。あ、それと、あの人達の世界はとても過酷だそうですよ。さっき言った男の人が言っていたのですが、この世界と同じくらいに過酷なんだとか......』「...そうですか......」 その言葉を聞いた瞬間、私の心にある考えが浮かんだ。『ねえ、それなら私の力で何とかならないかな?』『...と言うと?』 彼は少し驚いたような声を発した。(確かにこれは賭けになる。しかしもう他に手は無い) そう思った私は彼に自分の気持ちを伝えた。『もし貴方が協力してくれるのなら貴方の力を貸してください。お願いします』 そう言った後数秒間沈黙があった
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
加護とスキルでチートな異世界生活
どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!?
目を覚ますと真っ白い世界にいた!
そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する!
そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる
初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです
ノベルバ様にも公開しております。
※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません
収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい
三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです
無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す!
無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!
その転生幼女、取り扱い注意〜稀代の魔術師は魔王の娘になりました〜
みおな
ファンタジー
かつて、稀代の魔術師と呼ばれた魔女がいた。
魔王をも単独で滅ぼせるほどの力を持った彼女は、周囲に畏怖され、罠にかけて殺されてしまう。
目覚めたら、三歳の幼子に生まれ変わっていた?
国のため、民のために魔法を使っていた彼女は、今度の生は自分のために生きることを決意する。
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
転生幼女の怠惰なため息
(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン…
紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢
座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!!
もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。
全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。
作者は極度のとうふメンタルとなっております…
転生幼女は幸せを得る。
泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
惣菜パン無双 〜固いパンしかない異世界で美味しいパンを作りたい〜
甲殻類パエリア
ファンタジー
どこにでもいる普通のサラリーマンだった深海玲司は仕事帰りに雷に打たれて命を落とし、異世界に転生してしまう。
秀でた能力もなく前世と同じ平凡な男、「レイ」としてのんびり生きるつもりが、彼には一つだけ我慢ならないことがあった。
——パンである。
異世界のパンは固くて味気のない、スープに浸さなければ食べられないものばかりで、それを主食として食べなければならない生活にうんざりしていた。
というのも、レイの前世は平凡ながら無類のパン好きだったのである。パン好きと言っても高級なパンを買って食べるわけではなく、さまざまな「菓子パン」や「惣菜パン」を自ら作り上げ、一人ひっそりとそれを食べることが至上の喜びだったのである。
そんな前世を持つレイが固くて味気ないパンしかない世界に耐えられるはずもなく、美味しいパンを求めて生まれ育った村から旅立つことに——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる