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ある日、僕はこの世界に迷い込んだんだ。
そこは剣と魔法の世界で......。 - 第3話「勇者(ヒーロー)」 - ンッ
――
第2章
-『アスト』
-リリィの家
その1
-
(うーん......)
朝食後、リリィは食卓で一人考え込んでいた。
ちなみに今、リビングには姉の姿は無い。昨夜遅くまでダンジョン探索をしていたため、今日は一日寝てるはずである。したがってこの場に居るのは、リリィだけだ。
「......よし」
しばらくして、覚悟を決めて席を立つリリィ。そしてそのまま玄関へと向かうと、
「......お姉ちゃんを起こさないと!」
そう言って駆け出した。
***
それは少し前のこと......リリアーナが“おつかい”を終えて戻ってきた時のことだ。 彼女は上機嫌だった。
水精石の洞穴の中で見つけた光る花から作られた薬がついに完成したのだ。それも数本ではなく大量の成果だ! もちろん材料となった花の根の一部も研究用として取っておいたし、この薬のレシピは頭の中に入っているので、後は量産して薬を売り歩けば一財産築けるだけのお金が手に入るだろう。それにうまくすれば、今後の人生を左右するほどの大金を得られるかもしれない。 これで自分の店を持てば、もうあの貧弱な生活を送らなくて済む――そんな希望を抱きながら帰宅したリリィだったが、すぐに表情が曇ることになった。 何せ家に辿り着いた時には既に真夜中だったのだ。それでもリリーシャが起きていたのは幸いだが、おそらく相当無理をしているのだろう。リリィの顔を見た瞬間、眠気なんて吹き飛んでしまったようだ。すぐさま駆け寄ってきた妹へ、リリーヤが抱き着いてくる。「お帰りなさいっ!
姉さんっ!!」「ただいま......ごめんね、遅くなって」「ううん!
姉さんが無事に帰って来ただけで嬉しいわ!! それでどうしたの?
なんか浮かない顔をしてるけど......」「あ~うん、それがね......」 リリィは事の次第を説明した。「ふぅん......じゃあ、しばらくはお姉ちゃんと一緒に居られるんだね?」「うんっ! そうだよ♪」「やったぁ♪
また一緒に寝よ~♪」 リリィの言葉に嬉しそうに飛びつくリリーヤ。そんな彼女の頭を優しく撫でながら、リリィは苦笑する。......しかしリリーシャも、今回の話は聞いていなかったわけではない。むしろ、かなり前からこうなることを予想していたくらいだ。なぜなら、“そうなるだろうな”という予感があったからだ。
猫妖精魔女-neko fairy- ~エルフ少女と黒猫少女の非日常~ - 第4話「勇者(ヒーロー)......?」 - ハーメルんぅっ!? - ンは慌てて顔を洗い、歯を磨き、パジャマを脱いで服を着替える。そうして自室へと駆け込むやいなや机の引き出しの奥から箱を取り出し、そこから一本取り出した鉛筆を持つ。その先端に指を当てれば、次の瞬間、彼女の姿は少年へと変わっていた。
***
「......できた」 少年は満足そうに頷く。そうしている間も彼の身体は変化を続け、十数秒後には元の少年の身体に戻っているほどであった。『マスター・ベルヴェルク・マギクラフト』と呼ばれた少年は、魔道具によって変化することのできる人間の一人であり、そして今まさに魔法で人間の姿を取っている最中なのだ。つまり彼はこれから夜の街へと繰り出そうとしており、そのために変装用の魔道具を使って人間化しようとしていたのだ。「これならバレないよね......?
でも、どうしてこんな時間に外出するんだろう......?」 時計を見上げつつ呟くが、それも当然である。なにせ現在時刻はまだ深夜2時。子供はもちろん大人であっても出歩くような時間ではないし、この街には魔物が出ないためわざわざ夜中に外へ出て戦う必要もないのだ。 にもかかわらず外に出ようとしているということは、よほどの理由が無ければあり得ないことだった。少年が疑問を抱いているうちに、今度は別の声が耳に届く。《マスター・ベルヴェルク》 声に反応してそちらを見れば、そこには椅子に座りこちらを見る黒い猫が居た。それは紛れもなく先ほど彼が作り上げた魔道具の一つであり、彼専用の使い魔でもある存在だ。彼はこの黒猫に自身の考えを伝えることができるよう改良したのだ。「おはよう。今日もよろしくね、メフィスト!」《ええ、もちろんですともマスター。私めにお任せくださいな》 自信満々の声を聞きながら、彼は椅子の上に乗り込む。すると猫の身体に魔力が集まり、その姿を変えて行く。全身は黒く艶のある毛並みに覆われ、背中からはコウモリのような羽根が生える。両手両足は小さくなり、代わりに頭は大きく丸くなり耳が生えてくる。さらに目の下には長い鼻ができ、それが口の上へと来るように形成され、最後に尻尾が現れたことでその体は完全に猫のものとなる。そう、彼は猫の姿に変わったのである。変身魔術とは自身を一時的に動物に変化させるものだ。
そこは剣と魔法の世界で......。 - 第3話「勇者(ヒーロー)」 - ンッ
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第2章
-『アスト』
-リリィの家
その1
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(うーん......)
朝食後、リリィは食卓で一人考え込んでいた。
ちなみに今、リビングには姉の姿は無い。昨夜遅くまでダンジョン探索をしていたため、今日は一日寝てるはずである。したがってこの場に居るのは、リリィだけだ。
「......よし」
しばらくして、覚悟を決めて席を立つリリィ。そしてそのまま玄関へと向かうと、
「......お姉ちゃんを起こさないと!」
そう言って駆け出した。
***
それは少し前のこと......リリアーナが“おつかい”を終えて戻ってきた時のことだ。 彼女は上機嫌だった。
水精石の洞穴の中で見つけた光る花から作られた薬がついに完成したのだ。それも数本ではなく大量の成果だ! もちろん材料となった花の根の一部も研究用として取っておいたし、この薬のレシピは頭の中に入っているので、後は量産して薬を売り歩けば一財産築けるだけのお金が手に入るだろう。それにうまくすれば、今後の人生を左右するほどの大金を得られるかもしれない。 これで自分の店を持てば、もうあの貧弱な生活を送らなくて済む――そんな希望を抱きながら帰宅したリリィだったが、すぐに表情が曇ることになった。 何せ家に辿り着いた時には既に真夜中だったのだ。それでもリリーシャが起きていたのは幸いだが、おそらく相当無理をしているのだろう。リリィの顔を見た瞬間、眠気なんて吹き飛んでしまったようだ。すぐさま駆け寄ってきた妹へ、リリーヤが抱き着いてくる。「お帰りなさいっ!
姉さんっ!!」「ただいま......ごめんね、遅くなって」「ううん!
姉さんが無事に帰って来ただけで嬉しいわ!! それでどうしたの?
なんか浮かない顔をしてるけど......」「あ~うん、それがね......」 リリィは事の次第を説明した。「ふぅん......じゃあ、しばらくはお姉ちゃんと一緒に居られるんだね?」「うんっ! そうだよ♪」「やったぁ♪
また一緒に寝よ~♪」 リリィの言葉に嬉しそうに飛びつくリリーヤ。そんな彼女の頭を優しく撫でながら、リリィは苦笑する。......しかしリリーシャも、今回の話は聞いていなかったわけではない。むしろ、かなり前からこうなることを予想していたくらいだ。なぜなら、“そうなるだろうな”という予感があったからだ。
猫妖精魔女-neko fairy- ~エルフ少女と黒猫少女の非日常~ - 第4話「勇者(ヒーロー)......?」 - ハーメルんぅっ!? - ンは慌てて顔を洗い、歯を磨き、パジャマを脱いで服を着替える。そうして自室へと駆け込むやいなや机の引き出しの奥から箱を取り出し、そこから一本取り出した鉛筆を持つ。その先端に指を当てれば、次の瞬間、彼女の姿は少年へと変わっていた。
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「......できた」 少年は満足そうに頷く。そうしている間も彼の身体は変化を続け、十数秒後には元の少年の身体に戻っているほどであった。『マスター・ベルヴェルク・マギクラフト』と呼ばれた少年は、魔道具によって変化することのできる人間の一人であり、そして今まさに魔法で人間の姿を取っている最中なのだ。つまり彼はこれから夜の街へと繰り出そうとしており、そのために変装用の魔道具を使って人間化しようとしていたのだ。「これならバレないよね......?
でも、どうしてこんな時間に外出するんだろう......?」 時計を見上げつつ呟くが、それも当然である。なにせ現在時刻はまだ深夜2時。子供はもちろん大人であっても出歩くような時間ではないし、この街には魔物が出ないためわざわざ夜中に外へ出て戦う必要もないのだ。 にもかかわらず外に出ようとしているということは、よほどの理由が無ければあり得ないことだった。少年が疑問を抱いているうちに、今度は別の声が耳に届く。《マスター・ベルヴェルク》 声に反応してそちらを見れば、そこには椅子に座りこちらを見る黒い猫が居た。それは紛れもなく先ほど彼が作り上げた魔道具の一つであり、彼専用の使い魔でもある存在だ。彼はこの黒猫に自身の考えを伝えることができるよう改良したのだ。「おはよう。今日もよろしくね、メフィスト!」《ええ、もちろんですともマスター。私めにお任せくださいな》 自信満々の声を聞きながら、彼は椅子の上に乗り込む。すると猫の身体に魔力が集まり、その姿を変えて行く。全身は黒く艶のある毛並みに覆われ、背中からはコウモリのような羽根が生える。両手両足は小さくなり、代わりに頭は大きく丸くなり耳が生えてくる。さらに目の下には長い鼻ができ、それが口の上へと来るように形成され、最後に尻尾が現れたことでその体は完全に猫のものとなる。そう、彼は猫の姿に変わったのである。変身魔術とは自身を一時的に動物に変化させるものだ。
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