ソラトちゃんの日記

すすねソラト

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ある街に、一人の青年がやって来た。 
 その青年は、かつて『紅い霧事件』と呼ばれた異変を解決した英雄の一人であり、そして幻想郷の住民であった! 彼は今宵、新たな物語の始まりへ踏み出そうとしていた...... 
 東方偽証精~the fifth fake~ - 第八話「二つ目の過去」 - ンは、一つの昔話を語り始めることにした── 
 ─────────────────── 
 私の故郷ではね、吸血鬼っていうのは本当にいたんですよ。 だから私も小さい頃はレミリアお嬢様と一緒によく外の世界へ行ってたんですけどねえ、私はまだ小さかったからそんなに遠くまで連れて行ってもらえなくって...結局いつも館(うち)で遊んでいましたよ。 
 ただその日はたまたま私が館の外へ出る用事があって、その時にお姉さまも付いて来ちゃって。それで二人でお出かけしてたんすけど、夜になってもなかなか帰る機会がなくて...。 そしたらですね、だんだん周りが騒がしくなってきたんですよ。何だろうと思って見てみたら、空が真っ赤に染まっていてびっくりしたんです。もう夜なのに、日が昇ってるみたいに明るくて。しかもあちこちで悲鳴が上がってるし...これはおかしいと思ってたら急に怖くなってきちゃったんで急いで帰ろうとしたんですが、来た道を戻ろうとしたら道が崩れていたり壁が壊れていたりして全然帰れないじゃないですか!? 
 もう泣きたいくらい怖かったですよぉー!! 
 でもそこで泣いててもしょうがないし何か出口は無いかって探していると、後ろから物凄い音が聞こえたんです。振り返ると真っ赤な目をした獣のような怪物がいたんですよ。まるで狼男みたいな顔つきをした怪物です。こんなの絶対人間じゃないと思って逃げようと思ったんすけどね、足が竦んじゃって動けなくなってしまって...。すると怪物は私の方へ走ってきたんですよねえ...思わず死を覚悟しました。あんな大きな犬に噛まれただけでも命は無いですから。しかしいつまで経っても痛みは無くって不思議になって目を開けると、そこには怪物の顔があったんです。 
 怪物は驚いて飛び退くように私から距離を取ると、唸り声を上げながらこちらの様子を伺っています。よく見ると、怪物の首に赤い宝石のようなものが付いてました。 
 この怪奇・紅魔族の話によれば、どうやらこの宝石の正体は魔力らしくて魔法を使うと光るそうです。それがあの獣の形をしているとか何とか言っていましたが正直どうでもよかったので放っておいたんですけどね。とにかくこれを使えば助かるかもしれないと思った訳ですよ。だから私は持っていた杖を掲げて叫んだわけです。「我が名はサクヤ! 
 我は今こそ汝の名を呼ぶ者なり!!」そう唱えると、怪物は私の掲げた杖の方を見て動きを止めます。 
 東方偽証精~the fifth fake~ - 第九話 彼の夢想家 - ンと魔理沙はそれから三日後に目覚めたという香霖堂にやって来た。魔理沙はいつもよりも早い時間帯に店を訪れた。 
 森近霖之助はいつぞやの新聞記者と同じ店で本を読みふけっていたが、ふと顔を上げると店に来た霧雨魔理沙を見つけた。その手に握られているのは見覚えのある黒い手帳だ。「おや魔理沙さん」「よう店主!」 
 「珍しいお客さんだね」 
 霖之助は少し驚いたようだったがすぐに気を取り直し、いつも通りの営業スマイルに戻った。魔理沙はそのままズカズカとカウンターへと歩いて行き、手帳を見せつけるようにして開いた。「なんだい? 
 その黒焦げになった本ってのは」 「香霖から貰ったんだぜ。こーりんも読んだ方がいいぜ」 そう言って、魔理沙はそのページを開いたまま閉じた本をカウンターの上に置いてみせた。そこに書いてあったのは「幻想郷縁起」であり、確かに香霖堂にあるはずのものだ。 「......ああなるほどね、大体わかったよ。じゃあちょっとこの本を調べてみるか」 そう言うと霖之助はおもむろに立ち上がった。そして本棚の方へ歩いていくと、古ぼけた箱を手に持って戻ってきた。その中から取り出した紙束をカウンターの上へ広げて見せる。表紙には墨で書かれた文字が並んでおり、かなり古いものであることが見て取れた。霖之助はそれをパラパラとめくり始めた。 まず最初のページから読み始める。幻想郷についての概要と大まかな地理などが書かれており、その次に人里などへの被害状況などの項目がある。また、異変が起こった場所についても事細かに記されている。だがそこから更にページをめくると急に手が止まった。 
 「どうした?」「...いや、おかしいと思ってな。僕はこの本を書いた人物を知っているんだ」「えっ!?」 魔理沙は思わず声を上げた。しかし、霖之助はそんな魔理沙の反応を気にすることも無く続ける。「その人は...もうこの世にいないはずなんだ。少なくとも僕が知る限りでは生きているところを見たことが無い」 「そっ、そいつって誰だよ......」 「誰とは言うことは出来ない。ただ僕の知り合いであるということだけしか言えないからね......だけど名前だけは
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