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稀有な明け方
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ある青年が、突然異世界にやってきた。「なんだ此処は......どこだ......」見渡す限りの草原と地平線が続くその世界で唯一人、彼は困惑した様子で周りを見渡している。「(確か俺はガノン討伐の為、女神ハイリアから授かった聖なる長剣を携えているはず......)」しかし腰には何も無い。それどころか身に着けているのは上半身を覆う軽装なアーマーのみである。「(武器すら身につけていないなんてどういう事だ?)」
風の勇者と時の勇者 - episode1-1 (始まり) - ンと
「......はっ!」目が覚めると同時に勢いよく体を起こす。視界に入ってきたのは見慣れた天井でも、慣れ親しんだ石畳の上でもない。「......えっ?」 彼が辺りを見渡すとそこには木造建築と思われる建造物の中に自分はいるようだった。何故こんな所にいるのだろう? そして、ここが一体何処なのか、何故自分はここにいるのだろう? 何もわからないまま混乱していると、ふと右手の方から足音のようなものを感じたのでそちらを見る。するとそこにいたのは――
「......」
緑色をした肌を持つ二足歩行の小人と言うべき生き物であった。
「.......................................ええっ!?」 目の前の光景に理解が追い付かず数秒間硬直していたがようやく状況を飲み込むことができたのか素っ頓狂な声を上げてしまう。「うわっ!? 誰ですか貴方は!
私の家に勝手に入って来たんですか? 泥棒ですかぁ~!!」「いやいや待って待って違うんだってば!? ちょっと話を聞きたいだけだから! 僕は旅をしている者で――」「――問答無用!! 警察を呼びますよ!」「あっちょっ待てってぇぇぇぇ!!!」 慌てふためくリンクをよそに謎の人物は何処かへ走って行ってしまう。その後リンクは何とか彼女を宥め、自己紹介を終えた後彼女からこの場所について話を聞く事ができた。 まずここはインパの家であり、彼女自身は"タリン"という名前なのだそう。 次に彼女が暮らすコホリントはかつて魔の大王と呼ばれる存在によって滅ぼされ、その生き残りは僅か数百人程度しかいないという事。そしてその生き残りの一人だという事も聞いたのだ。 それを聞いて彼はますます困惑した。なぜなら彼には先程話した通り記憶がないからだ。何故自分の事がわからないのか?
そもそも本当に俺は人間なのだろうか? それに、何故自分はここにいるのだろうか?疑問ばかりが湧いてくるばかりで一向に答えは出ず...... 「うーん......」「どうかしましたか......?」「ああいや何でもないよ......うん大丈夫」 不安そうな表情をする彼女に声をかけられるが上手く答えられずにいた所を見かねてか、再び先程の人物が部屋に入ってくる。「あれ、父さん帰ってたんだ?」「......うむ。今ちょうど戻ったところだ」 この男性は彼女の父である『タバン・コポ』。見た目としては三十代後半辺りだろうか? 黒髪黒目の一般的な成人男性の風貌をして、頭に鉢巻きを巻いている。そして手に持っているのは刀だと思われる鞘。見た感じではかなりの名匠(刀鍛冶)のようだ。「ところでそやつは何じゃ?
まさかお前の恋人ではあるまいて?」 タバンの言葉にハッと我に戻るリンク。そうだ忘れていた! 俺の今の性別は女の子じゃないか!! でも俺男だぞ!? そんな言葉が喉元まで出てきたがどうにか堪え、今の自分の立場をどう説明するべきか考える。「............えっとね............私はそのー.....................えっとぉ..................えーっとねぇ.........」「はぁ......」 結局何も思い浮かばなかったため言葉に詰まるリンクであったが、そんな彼女の姿を見兼ねたのか代わりに父が説明をしてくれた。「この子はさっき浜辺に倒れているところを助けたのだよ」「なんと......?
お主海から泳いできたのか!?」「ち、違うっ......! というか私泳げないよ!!」 驚いて目を見開くタバンに対して即座に否定するリンクだったが、傍から見ればその通りにしか受け取れないので仕方がないだろう。何せ記憶が無いのだから泳ぎの練習などしているはずがない。しかし父は勘違いしたのか慌てた様子で訂正する。「ままま待て待つんじゃ娘や! 私はまだお主の言っていることを疑ってなどおらん!」 その言葉を聞き安堵したリンク。だが同時に新たな疑問が生まれる。それは一体どういうことなのだろうかということだ。 何故この島には俺が知らないことばかりなのだろうか?
one for all - 02. 旅立ちの時 - ンと再会するまで~fin~ - 第3話 『ハロー!
マイフレンド!!』 - ンは今日も元気です
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ここはドレッサールームにて俺は鏡の前に立っている。ちなみに格好は前回と同じく黒いノースリーブワンピースを着ているので肌の露出はほとんどない。なぜそんなことをしているのかと言うと、実は今日が俺とシーカー族の友達であるナビィの誕生日だからだ。そのため俺は誕生日プレゼントとして一張羅をプレゼントしてあげようと思っているのだが中々決まらないのだ。かれこれ一時間程迷っているのだが本当にこれで良いのだろうか?
「うーん......
風の勇者と時の勇者 - episode1-1 (始まり) - ンと
「......はっ!」目が覚めると同時に勢いよく体を起こす。視界に入ってきたのは見慣れた天井でも、慣れ親しんだ石畳の上でもない。「......えっ?」 彼が辺りを見渡すとそこには木造建築と思われる建造物の中に自分はいるようだった。何故こんな所にいるのだろう? そして、ここが一体何処なのか、何故自分はここにいるのだろう? 何もわからないまま混乱していると、ふと右手の方から足音のようなものを感じたのでそちらを見る。するとそこにいたのは――
「......」
緑色をした肌を持つ二足歩行の小人と言うべき生き物であった。
「.......................................ええっ!?」 目の前の光景に理解が追い付かず数秒間硬直していたがようやく状況を飲み込むことができたのか素っ頓狂な声を上げてしまう。「うわっ!? 誰ですか貴方は!
私の家に勝手に入って来たんですか? 泥棒ですかぁ~!!」「いやいや待って待って違うんだってば!? ちょっと話を聞きたいだけだから! 僕は旅をしている者で――」「――問答無用!! 警察を呼びますよ!」「あっちょっ待てってぇぇぇぇ!!!」 慌てふためくリンクをよそに謎の人物は何処かへ走って行ってしまう。その後リンクは何とか彼女を宥め、自己紹介を終えた後彼女からこの場所について話を聞く事ができた。 まずここはインパの家であり、彼女自身は"タリン"という名前なのだそう。 次に彼女が暮らすコホリントはかつて魔の大王と呼ばれる存在によって滅ぼされ、その生き残りは僅か数百人程度しかいないという事。そしてその生き残りの一人だという事も聞いたのだ。 それを聞いて彼はますます困惑した。なぜなら彼には先程話した通り記憶がないからだ。何故自分の事がわからないのか?
そもそも本当に俺は人間なのだろうか? それに、何故自分はここにいるのだろうか?疑問ばかりが湧いてくるばかりで一向に答えは出ず...... 「うーん......」「どうかしましたか......?」「ああいや何でもないよ......うん大丈夫」 不安そうな表情をする彼女に声をかけられるが上手く答えられずにいた所を見かねてか、再び先程の人物が部屋に入ってくる。「あれ、父さん帰ってたんだ?」「......うむ。今ちょうど戻ったところだ」 この男性は彼女の父である『タバン・コポ』。見た目としては三十代後半辺りだろうか? 黒髪黒目の一般的な成人男性の風貌をして、頭に鉢巻きを巻いている。そして手に持っているのは刀だと思われる鞘。見た感じではかなりの名匠(刀鍛冶)のようだ。「ところでそやつは何じゃ?
まさかお前の恋人ではあるまいて?」 タバンの言葉にハッと我に戻るリンク。そうだ忘れていた! 俺の今の性別は女の子じゃないか!! でも俺男だぞ!? そんな言葉が喉元まで出てきたがどうにか堪え、今の自分の立場をどう説明するべきか考える。「............えっとね............私はそのー.....................えっとぉ..................えーっとねぇ.........」「はぁ......」 結局何も思い浮かばなかったため言葉に詰まるリンクであったが、そんな彼女の姿を見兼ねたのか代わりに父が説明をしてくれた。「この子はさっき浜辺に倒れているところを助けたのだよ」「なんと......?
お主海から泳いできたのか!?」「ち、違うっ......! というか私泳げないよ!!」 驚いて目を見開くタバンに対して即座に否定するリンクだったが、傍から見ればその通りにしか受け取れないので仕方がないだろう。何せ記憶が無いのだから泳ぎの練習などしているはずがない。しかし父は勘違いしたのか慌てた様子で訂正する。「ままま待て待つんじゃ娘や! 私はまだお主の言っていることを疑ってなどおらん!」 その言葉を聞き安堵したリンク。だが同時に新たな疑問が生まれる。それは一体どういうことなのだろうかということだ。 何故この島には俺が知らないことばかりなのだろうか?
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ここはドレッサールームにて俺は鏡の前に立っている。ちなみに格好は前回と同じく黒いノースリーブワンピースを着ているので肌の露出はほとんどない。なぜそんなことをしているのかと言うと、実は今日が俺とシーカー族の友達であるナビィの誕生日だからだ。そのため俺は誕生日プレゼントとして一張羅をプレゼントしてあげようと思っているのだが中々決まらないのだ。かれこれ一時間程迷っているのだが本当にこれで良いのだろうか?
「うーん......
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