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第3章~魔物の口~
13話「ダンジョン①」
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朝である。シオンとサエラにたたき起こされたのだ。と言っても時間的にはまだまだ早朝だろうに・・・早起きだな二人は。
我が目を覚ました時には既に、サエラは狩り用の小型弓を背負い腰には矢筒と小太刀を装備し、シオンは道具類の入ったリュックを持っていた。
準備万端だな、しかしダンジョンに行くにしてもまだ早すぎやしないか?もう少し惰眠を貪っていても良いと思うのだが・・・。
「何言ってるんですか、早すぎるくらいにいかないと、初心者用の依頼書なんてすぐなくなっちゃいますよ」
というのがシオンの意見だ。なんでも新米冒険者にはひと手間かかるような低級依頼でも、そこそこのレベルの冒険者なら片手間で終わらせてしまうらしい。小遣い稼ぎにはもってこいだろう。
つまりモタモタしてると高ランク冒険者に低級クエストが取られ、なくなってしまうということらしい。
サエラもシオンの説明に同意していたが、サエラはサエラで別の理由があるとのこと。
「ダンジョンに入るのを並ぶのはやだ」
ダンジョンの入口は一つしか存在しない。それ故に入ろうとする冒険者の数が多いと、並ばなければならない場合もあるという説明を受けた。
うむ、並ぶのは嫌だな。空いてる内に入るのが吉か。
というか説明を聞いてる内に目が覚めてしまったわ。我は感覚の薄くなった筋肉を解すように背伸びをする。
「わかった。行くとしよう」
シオンに抱えられ宿を出る。宿の庭をふと目にしてみると、まだ霧がまだ出ているというのいうのに宿の主ゴードンが芝生の手入れをしていた。
我らはゴードンに軽く挨拶をし、冒険者ギルドへ駆け足で向かった。今日中に2000G稼がなければ滞在する場所がなくなってしまうのだからな。気合を入れなければ。
早朝ということもあり、街を出歩いている人の数は少ない。この時間に活動をしている人など、別の都市に向かうのであろう行商人や旅人か、街を警邏している衛兵くらいなものだ。
シオンに抱えられ、呑気に昼間とは違う街の風景を眺めていると、いつの間にか冒険者ギルドに到着していた。
元々滞在していた宿屋がギルドに近かったということもあるが、それでも二人のすばやさは中々のものだったな。我が思っていた以上にこの姉妹は体力があるのだろう。
スピードはサエラが上だが、スタミナはシオンの方があるのだろう。サエラは少し息を切らしているのに対し、シオンはケロリと余裕そうである。
「シオンよ、すまんな。我を運んでいて辛くはなかったか?」
昨日と同じように抱えられた我が、シオンを見上げて言う。
冒険者ギルドにいるのは極少数の冒険者とクエストボードに依頼を貼り付けている職員のみだ。ドラゴンが何十体も入りそうなほど広いギルドでこの人数なら、我が小声で喋っても気づく輩はいないだろう。
シオンもそう思ったのか、しかし囁きに近い話し方で返答してくる。
「そんなことないです。サエラより軽いんですから」
おろ、そうなのか?子竜と言っても我はそこそこ重いのだぞ?体を覆うほど翼は大きいし、鱗も一枚一枚頑丈な分それなりの重量があるのだ。
サエラはまだ若い女性のエルフで、しかも身軽な追跡者というジョブなのだ。いくらなんでも我がサエラより軽いということはないだろう。という疑惑の視線を向けるが、シオンは真顔だ。
「本当ですって。サエラって細マッチョで、結構重いんですよ」
マジか。
「姉さん、その胸の脂肪と私の胸板を交換して欲しくないのなら・・・そこの会話を今すぐやめて」
鋭い目をさらに細め、ピクピクとこめかみを震わせるサエラは、両手を合わせてゴキゴキと鳴らした。
お世辞にも膨らんでるとは言い難い胸を口にするあたり、そこに関してはあまり気にしてないのだろうが、体重に関しては例外らしい。
サエラから謎の威圧を受け、怯んだシオンは咄嗟に我を差し出すように持ち上げ盾にしだした。
お、おい!我を盾にするのはやめないか!
「ほ、ほらサエラ!クエストボードに依頼が貼り出されましたし、見に行きましょうよ!」
シオンは話題をそらそうと必死になった様子でその方向に指を差した。
確かに見てみると、大量の書類を運んでいたギルド職員が手ぶらで立ち去っていくのが確認できる。クエストボードは、職員が抱えていたであろう様々な依頼が出されていた。
サエラは小さくため息をつくと持ち上げていた両手を下ろす。九死に一生を得たようにシオンもため息を吐く。
話題を逸らすことに成功したようだな、シオン。
「この件については、無事に宿に戻れたら」
「あ、はい」
だめじゃん。許されなかったシオンは項垂れ、我はサエラは怒らせまいと心に誓うのであった。
無事?我らはクエストボードから何枚か依頼を得ることができた。一名「地雷踏んだ・・・」とか言ってる奴がいるが。
依頼を受けるのは簡単であった。クエストボードから依頼書を剥がし、それを受付嬢に渡して契約を交わすだけでいい。
あとは期限以内にクリア条件を達成すれば報酬金をキルド、あるいは依頼主から受け取ることができる。
それと一応、依頼を受けれる数は決まっている。一人一枚までで、人数に限らずパーティーを組んでいるなら三枚まで契約することができるのだ。
我らが一番乗りだったので、自由に依頼を探すことができた。結果契約した依頼書はこの三枚である。
「ウォリアーアントの前肢四つ納品。500G」「ウォリアーアントの頭部納品。一つにつき100G」「ゴブリン駆除。一体につき50G」である。
とりあえず1階層と周辺階層ででき、尚且つそこそこ稼げる依頼を選別してみた。ちなみにウォリアーアントの頭部納品とゴブリン駆除の数は無制限だ。狩れば狩るだけ金になる。
これらはデイリークエストと呼ばれ、ギルドが毎日貼り出しているクエストだったりする。ウォリアーアントの頭部は加工して安価な防具に加工されるし、ゴブリンはゴキブリ並みに増えるのでダンジョンから溢れ出てくる前に駆除しなければならないのだ。
こういったダンジョンを維持するためのクエストはギルドから発行されるので、クエストボードには同じ依頼書が何枚かあった。我ら以外にもこれを受ける冒険者は多いんだろうな。だっておいしいし。
依頼を受けることができた我らは、早速ダンジョン「魔物の口」の入口に向かう。
「やっぱり朝早く起きて正解でしたね!」
「難易度も、私達には妥当だし」
二人の会話を聞きながら我は依頼書を見る。端っこに青く塗られた点が書いてある。これはF、Eランカー推奨ということを表している色だ。当然ほかにも色々なカラーが塗られていたが、それは受けたときに説明するとしよう。
そんなこんなで入口にたどり着く。巨大な穴に入るには、奥まで続いている螺旋階段を下っていかなければならない。かなり深いぞこれは・・・
「さぁ、行きましょう!」
シオンがえいえいおーっと拳を振り上げ、気合を入れる。横ではサエラがドライに棒読みで軽く手を上げているので、我も適当に「がおー」と吠えるだけにした。
ダンジョン・・・地下迷宮と恐れられるも、そこには様々な資源や宝が眠っていると言われている。冒険者はダンジョンを歩き、富を手に入れるために冒険するのだ。
ある意味ダンジョンも、我と似たようなものなのだな。迷宮に意思があったら、我は探索を躊躇ってしまっていたかもしれん。
まぁ、そんなことはないので容赦なく探索させてもらうがな。さぁ行こうか。
シオンの手の中から降り、ダンジョンへと続く螺旋階段に足を乗せた。夢にまで見た冒険をするために。後お金。
我が目を覚ました時には既に、サエラは狩り用の小型弓を背負い腰には矢筒と小太刀を装備し、シオンは道具類の入ったリュックを持っていた。
準備万端だな、しかしダンジョンに行くにしてもまだ早すぎやしないか?もう少し惰眠を貪っていても良いと思うのだが・・・。
「何言ってるんですか、早すぎるくらいにいかないと、初心者用の依頼書なんてすぐなくなっちゃいますよ」
というのがシオンの意見だ。なんでも新米冒険者にはひと手間かかるような低級依頼でも、そこそこのレベルの冒険者なら片手間で終わらせてしまうらしい。小遣い稼ぎにはもってこいだろう。
つまりモタモタしてると高ランク冒険者に低級クエストが取られ、なくなってしまうということらしい。
サエラもシオンの説明に同意していたが、サエラはサエラで別の理由があるとのこと。
「ダンジョンに入るのを並ぶのはやだ」
ダンジョンの入口は一つしか存在しない。それ故に入ろうとする冒険者の数が多いと、並ばなければならない場合もあるという説明を受けた。
うむ、並ぶのは嫌だな。空いてる内に入るのが吉か。
というか説明を聞いてる内に目が覚めてしまったわ。我は感覚の薄くなった筋肉を解すように背伸びをする。
「わかった。行くとしよう」
シオンに抱えられ宿を出る。宿の庭をふと目にしてみると、まだ霧がまだ出ているというのいうのに宿の主ゴードンが芝生の手入れをしていた。
我らはゴードンに軽く挨拶をし、冒険者ギルドへ駆け足で向かった。今日中に2000G稼がなければ滞在する場所がなくなってしまうのだからな。気合を入れなければ。
早朝ということもあり、街を出歩いている人の数は少ない。この時間に活動をしている人など、別の都市に向かうのであろう行商人や旅人か、街を警邏している衛兵くらいなものだ。
シオンに抱えられ、呑気に昼間とは違う街の風景を眺めていると、いつの間にか冒険者ギルドに到着していた。
元々滞在していた宿屋がギルドに近かったということもあるが、それでも二人のすばやさは中々のものだったな。我が思っていた以上にこの姉妹は体力があるのだろう。
スピードはサエラが上だが、スタミナはシオンの方があるのだろう。サエラは少し息を切らしているのに対し、シオンはケロリと余裕そうである。
「シオンよ、すまんな。我を運んでいて辛くはなかったか?」
昨日と同じように抱えられた我が、シオンを見上げて言う。
冒険者ギルドにいるのは極少数の冒険者とクエストボードに依頼を貼り付けている職員のみだ。ドラゴンが何十体も入りそうなほど広いギルドでこの人数なら、我が小声で喋っても気づく輩はいないだろう。
シオンもそう思ったのか、しかし囁きに近い話し方で返答してくる。
「そんなことないです。サエラより軽いんですから」
おろ、そうなのか?子竜と言っても我はそこそこ重いのだぞ?体を覆うほど翼は大きいし、鱗も一枚一枚頑丈な分それなりの重量があるのだ。
サエラはまだ若い女性のエルフで、しかも身軽な追跡者というジョブなのだ。いくらなんでも我がサエラより軽いということはないだろう。という疑惑の視線を向けるが、シオンは真顔だ。
「本当ですって。サエラって細マッチョで、結構重いんですよ」
マジか。
「姉さん、その胸の脂肪と私の胸板を交換して欲しくないのなら・・・そこの会話を今すぐやめて」
鋭い目をさらに細め、ピクピクとこめかみを震わせるサエラは、両手を合わせてゴキゴキと鳴らした。
お世辞にも膨らんでるとは言い難い胸を口にするあたり、そこに関してはあまり気にしてないのだろうが、体重に関しては例外らしい。
サエラから謎の威圧を受け、怯んだシオンは咄嗟に我を差し出すように持ち上げ盾にしだした。
お、おい!我を盾にするのはやめないか!
「ほ、ほらサエラ!クエストボードに依頼が貼り出されましたし、見に行きましょうよ!」
シオンは話題をそらそうと必死になった様子でその方向に指を差した。
確かに見てみると、大量の書類を運んでいたギルド職員が手ぶらで立ち去っていくのが確認できる。クエストボードは、職員が抱えていたであろう様々な依頼が出されていた。
サエラは小さくため息をつくと持ち上げていた両手を下ろす。九死に一生を得たようにシオンもため息を吐く。
話題を逸らすことに成功したようだな、シオン。
「この件については、無事に宿に戻れたら」
「あ、はい」
だめじゃん。許されなかったシオンは項垂れ、我はサエラは怒らせまいと心に誓うのであった。
無事?我らはクエストボードから何枚か依頼を得ることができた。一名「地雷踏んだ・・・」とか言ってる奴がいるが。
依頼を受けるのは簡単であった。クエストボードから依頼書を剥がし、それを受付嬢に渡して契約を交わすだけでいい。
あとは期限以内にクリア条件を達成すれば報酬金をキルド、あるいは依頼主から受け取ることができる。
それと一応、依頼を受けれる数は決まっている。一人一枚までで、人数に限らずパーティーを組んでいるなら三枚まで契約することができるのだ。
我らが一番乗りだったので、自由に依頼を探すことができた。結果契約した依頼書はこの三枚である。
「ウォリアーアントの前肢四つ納品。500G」「ウォリアーアントの頭部納品。一つにつき100G」「ゴブリン駆除。一体につき50G」である。
とりあえず1階層と周辺階層ででき、尚且つそこそこ稼げる依頼を選別してみた。ちなみにウォリアーアントの頭部納品とゴブリン駆除の数は無制限だ。狩れば狩るだけ金になる。
これらはデイリークエストと呼ばれ、ギルドが毎日貼り出しているクエストだったりする。ウォリアーアントの頭部は加工して安価な防具に加工されるし、ゴブリンはゴキブリ並みに増えるのでダンジョンから溢れ出てくる前に駆除しなければならないのだ。
こういったダンジョンを維持するためのクエストはギルドから発行されるので、クエストボードには同じ依頼書が何枚かあった。我ら以外にもこれを受ける冒険者は多いんだろうな。だっておいしいし。
依頼を受けることができた我らは、早速ダンジョン「魔物の口」の入口に向かう。
「やっぱり朝早く起きて正解でしたね!」
「難易度も、私達には妥当だし」
二人の会話を聞きながら我は依頼書を見る。端っこに青く塗られた点が書いてある。これはF、Eランカー推奨ということを表している色だ。当然ほかにも色々なカラーが塗られていたが、それは受けたときに説明するとしよう。
そんなこんなで入口にたどり着く。巨大な穴に入るには、奥まで続いている螺旋階段を下っていかなければならない。かなり深いぞこれは・・・
「さぁ、行きましょう!」
シオンがえいえいおーっと拳を振り上げ、気合を入れる。横ではサエラがドライに棒読みで軽く手を上げているので、我も適当に「がおー」と吠えるだけにした。
ダンジョン・・・地下迷宮と恐れられるも、そこには様々な資源や宝が眠っていると言われている。冒険者はダンジョンを歩き、富を手に入れるために冒険するのだ。
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