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第3章〜三大王〜
第169話「絶体絶命」
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「だいじょーぶだよぉ、こんなの飲んだうちに入らないからぁ」
我の意図など知りもせず、クルーウはケラケラと笑いながら我の肩をポンポン叩く。どう見ても飲み過ぎた奴が言うテンプレなのじゃが。
しかし我が引き留めたのは彼女を心配してからのものではない。己の身の安全のためである。社会的な。
「だめかぁ‥‥‥?」
もはや藁どころかゴミにでも縋り付きたい気持ちでクルーウを見上げる。もう泣きそうなんじゃよ。こんな店で一時的にとはいえ女装して愛想を振りまいてる姿を身内に見られたら、発狂して暴れまわり全身の魔力が膨張して大爆発を起こす自信がある。
そんな我の気持ちが伝わったのか、クルーウはピタッと顔を止めるとソファーに座り直す。
「そ、そっかぁ。しかたないなぁ‥‥‥モテ期きたか」
なんか最後呟いているたが、声が小さくて聞こえなかった。
だがそんなことはどうでもいい。これで我が奴らの接客に行く必要はなくなった。クルーウには悪いがこのままシオンたちが帰るまで店に残ってもらわねばならない。
でないと大変なことになる。我は見つかった場合、みんなから投げかけられるであろうセリフを想像する。
『えー!ウーロさんそんな趣味あったんですか!キモ!』
『弟より妹の方がよかった?』
『『竜王さま‥‥‥失望した』』
あ、やべ。腹痛くなってきた。
「み、水をもらって来るでな。少し待っててくれ」
クルーウにそう断りを入れてから我は席を立ち、足早に厨房に向かう。シオンたちに目撃されないように慎重にだ。
幸い、あのバカタレ共は我が担当してる席のは真逆に位置する席に誘導された。下手に騒がなければ見つかることはないだろう。
それにしてもなぜあやつらはゴードンに店に‥‥‥あれか?みんなゴードンの店の記念日知ってたのか?知らなかったの我だけか?こうなるとわかってたら客として来たかったぞ。クソが。
心の中で悪態をつきながらも、なんとか厨房にたどり着く。するとみんなを席に誘導し終えたゴードンが先に戻って来ていた。
彼は満面の笑みを浮かべている。
「あらウーロちゃ」
「だぁ!リンネだ!リンネで良い!」
ゴードンが我の名前を呼ぼうとしたので、慌てて被せるように我は叫んだ。
ここで喋っても奴らには聞こえないだろうが、万が一ということもある。シオンは問題ないとしても、サエラは実力はCランカークラスとお墨付きをつけてるし、残りの連中はAランカー魔女とSランカートリオだ。下手すりゃここで喋ったことも丸聞こえの可能性もある。
だからウーロより、ここでの偽名で呼ばれた方が良いのだ。
しかし何を勘違いしたのか、頬に手を当てる仕草をしながらゴードンはにんまりと笑う。
「もしかして‥‥‥気に入っちゃった?源氏名」
「んなわけあるかぁー!!どういうことだ!シオンたちが来ることなど聞いていなかったぞ!」
「だって、言ったら断ったでしょ?」
あったりめぇだ!!
「ガルムちゃんたちはお店の1周年お祝いに来てくれたの。本当はメアリーちゃんと二人だけの予定だったんだけど、今日シオンちゃんたちも連れてくって連絡が来て」
あの駄犬マジ、我の力復活したら覚えておけよ。
たぶんガルムがシオンたちを誘ったのはメアリーのためを思ってだろう。あの子娘はシオンとサエラ以外に友達がいないらしいからな。
しかし理由はともかく状況は最悪だ。我は頭を抱えてしゃがみ込む。うごごご。
「もういっそウ、リンネちゃんの姿見せてあげたら?喜ぶんじゃない?」
「ふざけんな!こんな貧弱な姿見せては我の威厳に関わるだろ!」
「威厳なんて元々あってないようなものじゃない」
「あ、言ったな?今我のガラスのハートが割れたぞ?我のメンタルの弱さを舐めるなよこのゴリラ。今すぐ魔力を全身に流して人体発火しながらリメットの街を走り回って花火みたいに爆発してやろうか」
「それどういう脅し?」
くっそ。こんなことになるんだったら絶対バイトなんて断ってたのに‥‥‥!
しかもあれだ。我はゴードンにカスミのことで謝るという理由で外出するとあらかじめみんなに伝えてしまった。
下手すりゃ顔を見られなくても姿体型を見られただけで我と感づくかもしれん。地獄だ。
「とにかくっ!ここに我がいることは絶対に言うなよ!?」
「わかったわよ‥‥‥と言ってもお仕事を中断しないところがウーロちゃんらしいわね」
ドラゴンに二言はない!約束は守ってやるからお前も守れって事である!!
我はキッとゴードンを睨みつけ、冷えた水が入った容器を抱えて厨房を後にする。
あやつらが帰るとしたらあと2、3時間くらい経った頃だろうか?軽い宴会でも開かれたらますます我がバレる可能性が上がってしまう。
クルーウを引き止めたとしても1時間も保たないだろうし、どうにかしてみんなの席とは離れた場所の客に指名を入れてもらうしかない。
今のうちに愛想でも振り撒いて置こうかの。笑顔でお辞儀でもすりゃ‥‥‥。
「カタワレ。漏れる」
「待て。」
すると我の目の前に小さな影が横切った。その二人組は我に向かって振り返り、立ち止まる。
マシュマロのようなふんわりした頬、塗りつぶしたような黒い瞳。その見た目は低身長に対して不相応な子供用コートを着込んだ幼女。
ベタとガマだ。厨房だから出た瞬間鉢合わせるとか‥‥‥最悪のタイミングだ。
我の意図など知りもせず、クルーウはケラケラと笑いながら我の肩をポンポン叩く。どう見ても飲み過ぎた奴が言うテンプレなのじゃが。
しかし我が引き留めたのは彼女を心配してからのものではない。己の身の安全のためである。社会的な。
「だめかぁ‥‥‥?」
もはや藁どころかゴミにでも縋り付きたい気持ちでクルーウを見上げる。もう泣きそうなんじゃよ。こんな店で一時的にとはいえ女装して愛想を振りまいてる姿を身内に見られたら、発狂して暴れまわり全身の魔力が膨張して大爆発を起こす自信がある。
そんな我の気持ちが伝わったのか、クルーウはピタッと顔を止めるとソファーに座り直す。
「そ、そっかぁ。しかたないなぁ‥‥‥モテ期きたか」
なんか最後呟いているたが、声が小さくて聞こえなかった。
だがそんなことはどうでもいい。これで我が奴らの接客に行く必要はなくなった。クルーウには悪いがこのままシオンたちが帰るまで店に残ってもらわねばならない。
でないと大変なことになる。我は見つかった場合、みんなから投げかけられるであろうセリフを想像する。
『えー!ウーロさんそんな趣味あったんですか!キモ!』
『弟より妹の方がよかった?』
『『竜王さま‥‥‥失望した』』
あ、やべ。腹痛くなってきた。
「み、水をもらって来るでな。少し待っててくれ」
クルーウにそう断りを入れてから我は席を立ち、足早に厨房に向かう。シオンたちに目撃されないように慎重にだ。
幸い、あのバカタレ共は我が担当してる席のは真逆に位置する席に誘導された。下手に騒がなければ見つかることはないだろう。
それにしてもなぜあやつらはゴードンに店に‥‥‥あれか?みんなゴードンの店の記念日知ってたのか?知らなかったの我だけか?こうなるとわかってたら客として来たかったぞ。クソが。
心の中で悪態をつきながらも、なんとか厨房にたどり着く。するとみんなを席に誘導し終えたゴードンが先に戻って来ていた。
彼は満面の笑みを浮かべている。
「あらウーロちゃ」
「だぁ!リンネだ!リンネで良い!」
ゴードンが我の名前を呼ぼうとしたので、慌てて被せるように我は叫んだ。
ここで喋っても奴らには聞こえないだろうが、万が一ということもある。シオンは問題ないとしても、サエラは実力はCランカークラスとお墨付きをつけてるし、残りの連中はAランカー魔女とSランカートリオだ。下手すりゃここで喋ったことも丸聞こえの可能性もある。
だからウーロより、ここでの偽名で呼ばれた方が良いのだ。
しかし何を勘違いしたのか、頬に手を当てる仕草をしながらゴードンはにんまりと笑う。
「もしかして‥‥‥気に入っちゃった?源氏名」
「んなわけあるかぁー!!どういうことだ!シオンたちが来ることなど聞いていなかったぞ!」
「だって、言ったら断ったでしょ?」
あったりめぇだ!!
「ガルムちゃんたちはお店の1周年お祝いに来てくれたの。本当はメアリーちゃんと二人だけの予定だったんだけど、今日シオンちゃんたちも連れてくって連絡が来て」
あの駄犬マジ、我の力復活したら覚えておけよ。
たぶんガルムがシオンたちを誘ったのはメアリーのためを思ってだろう。あの子娘はシオンとサエラ以外に友達がいないらしいからな。
しかし理由はともかく状況は最悪だ。我は頭を抱えてしゃがみ込む。うごごご。
「もういっそウ、リンネちゃんの姿見せてあげたら?喜ぶんじゃない?」
「ふざけんな!こんな貧弱な姿見せては我の威厳に関わるだろ!」
「威厳なんて元々あってないようなものじゃない」
「あ、言ったな?今我のガラスのハートが割れたぞ?我のメンタルの弱さを舐めるなよこのゴリラ。今すぐ魔力を全身に流して人体発火しながらリメットの街を走り回って花火みたいに爆発してやろうか」
「それどういう脅し?」
くっそ。こんなことになるんだったら絶対バイトなんて断ってたのに‥‥‥!
しかもあれだ。我はゴードンにカスミのことで謝るという理由で外出するとあらかじめみんなに伝えてしまった。
下手すりゃ顔を見られなくても姿体型を見られただけで我と感づくかもしれん。地獄だ。
「とにかくっ!ここに我がいることは絶対に言うなよ!?」
「わかったわよ‥‥‥と言ってもお仕事を中断しないところがウーロちゃんらしいわね」
ドラゴンに二言はない!約束は守ってやるからお前も守れって事である!!
我はキッとゴードンを睨みつけ、冷えた水が入った容器を抱えて厨房を後にする。
あやつらが帰るとしたらあと2、3時間くらい経った頃だろうか?軽い宴会でも開かれたらますます我がバレる可能性が上がってしまう。
クルーウを引き止めたとしても1時間も保たないだろうし、どうにかしてみんなの席とは離れた場所の客に指名を入れてもらうしかない。
今のうちに愛想でも振り撒いて置こうかの。笑顔でお辞儀でもすりゃ‥‥‥。
「カタワレ。漏れる」
「待て。」
すると我の目の前に小さな影が横切った。その二人組は我に向かって振り返り、立ち止まる。
マシュマロのようなふんわりした頬、塗りつぶしたような黒い瞳。その見た目は低身長に対して不相応な子供用コートを着込んだ幼女。
ベタとガマだ。厨房だから出た瞬間鉢合わせるとか‥‥‥最悪のタイミングだ。
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