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第1章〜ウロボロス復活〜
第15話「サエラと冒険者」
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「あそこにいる」
「本当であるな」
広場とやらについた我らは、ちょうど隠れられそうな茂みに身を置き、冒険者と思わしき集団を観察する。
1人は黒装束のローブを着込み、頭には魔女を思わせる円のでかいつばととんがりがある帽子。手には大きな杖を持っていた。
黒い衣服とは対照的に、髪は明るい赤色だ。大人ぶった冷たい表情をするが時々子供らしく極端に動かしたりしている。おそらく後者が素なのだろう。
2人目は黒髪の青年だ。ほとんど布の服に鉄板を急所に付けただけの簡易的で安そうな軽装を身にまとい、背には長い薙刀をあった。
顔は‥‥‥イケメンだ。チッ。中性的な顔つきで村娘など簡単に虜にしてしまいそうなほどだ。カッコいいというより綺麗な顔立ちであるチッ。
3人目は‥‥‥な、なんだあれは。本当に人間なのか?なぜ筋肉もりもりのゴリマッチョが女のような服を着ているのだ?しかも顔も思いっきり化粧してるし。
もしかして女か!?胸はでかい‥‥‥いや、どっちかというと胸板。足もすべすべ‥‥‥そ、剃ってるな、あれ。
なんなのだ。一体あれはなんなのだ!?この我でも知らない何かである。ある種の恐怖を感じる。
「かっこいい人いるね」
「そ、そうだな」
サエラが言ったのは、おそらくあのガルムとか呼ばれてた男のことであろうな。
たしかにイケメンだ。なんか綺麗系の顔なのでゴードンとか呼ばれたゴリラを見た後の目の保養になってきた。
「マッチョの人」
嘘だろ?
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、2人とも、なんで、置いてくんですかおぇぇぇ」
我が思いもよらぬセリフに絶句していると、瀕死の獣のようなうめき声を発しながらシオンが追いついてきた。
どうでも良いけど、お主もう少し女子としての自覚を持った方が良いのではないか?
「ごめん、でも冒険者見るの初めてだから」
「わかりますけど‥‥‥え、あれが冒険者なんですか?変態じゃなくて?」
「冒険者ってすごいね」
「いや、あれは異例中の異例だと思うぞ」
少なくともあのゴードンとやらの巨漢の格好は冒険者の一般兵装ではないだろう。
むしろガルムと呼ばれてた男の装備が一般的なのではないだろうか。
そうだと思う。そうだと信じたい。
「あれ、真ん中の人こっちに来ますよ」
思わず小声で囁いたシオンの言葉に、頭を抱え俯いていた我は重い頭を持ち上げて冒険者たちの方へ向いた。
見てみれば、ガルムがこちらにのろのろとした足取りで迫ってきていた。なんだ?バレたか?
反応を待っていると、ガルムは億劫そうな表情を浮かべる。
「おい、何隠れてんだ?出てこいよ」
見た目とは裏腹に随分と乱暴そうな口調である。ズボンのポケットに手を入れ、地面をつま先で蹴りながら歩く様はチンピラのようだ。
だがどうしたことか。どうにも弱そうに見えんのだこの男。
我がそんなことを考えていると、隣でシオンが目をつむり、不敵な笑みをこぼしながら立ち上がった。
「ふふふ、バレてしまっては仕方ない。さすがは冒険者といったところですね」
何言ってんだこいつ。
「くくく、甘く見ないで貰おうか。こう見えてもやつかれたちはパープルジェムと名高い都市で名声を轟かせているのだよ」
シオンの謎テンションに乗ってか、ガルムの後ろから魔女風の格好をした赤髪少女が仰々しい台詞を吐きながら現れた、
残念ながら、そのパープルジェムとかいう都市は知らんので反応を返せない。というかシオンと会話レベルが同等なことに驚き硬直していた。
なんなの?冒険者って変人ばっかなのか?
我が人知れず混乱していると、ガルムから振り下ろされた手刀が少女の頭部に直撃した。
「ぎゃっ!?」
「アホなことぬかすなよメアリー」
「ほ、本当だもん!やつかれたち、結構頑張ってるじゃん!」
なんとも尊大な口調であったが、やはり子供っぽいこちらの言動が本物のようだ。
「あー、ここの村の人だよな?なんか用か?マンドが戻ってこいとか言ってんのかね」
どうやらガルムは我らがマンドに頼まれ、伝言を伝えに来たと思っているようだ。それもそうだろう。まさか女子がわざわざ冒険者に会いに来るとは思わないだろうし。
実は目的は会うことなので、当然サエラはガルムの言葉を首を振って否定する。
「冒険者‥‥‥なんだよですね?」
敬語下手くそか。
「‥‥‥あ?
(ん?"なんだよですね"なんかの方言か?それとも言い間違いか?いやでも間違ったのを悪びれる様子も羞恥で恥ずかしがる様子もねぇ。なんだ、なんでコイツこんな無表情なんだよ。やっぱり合ってるのか?俺が間違ってるのか?そうなのか?)
‥‥‥おう」
なんと言ったのか聞き取れなかったのか、一度時間が停止したように止まったガルムだったが、少々間を空けてから答えてくれた。
多分今すごい問答を己の心の中で行なっていたのだと思う。
「冒険の話聞きたいざます」
ついに金持ちのババアになった。サエラ、お主もう敬語使うな。3人とも困っちゃってんじゃん。
我は冒険者3人組に助け舟を出すべく、口を開けた。
「すまんの。こやつ敬語が苦手なのだ。標準に喋らせて良いかの?」
「‥‥‥あ、あぁ。別に俺ら貴族じゃねえし」
ガルムは戸惑いながらも我の言葉に頷いてくれた。我は一安心してホッと息を開き、ペシリとサエラのほっぺを尻尾で触った。
「だとよ、サエラ。よかったの」
「やった。私、敬語苦手だから」
「勉強しないからですよ」
初めてシオンがまともなことを言った気がするが、あえて口に出さなかった。
「本当であるな」
広場とやらについた我らは、ちょうど隠れられそうな茂みに身を置き、冒険者と思わしき集団を観察する。
1人は黒装束のローブを着込み、頭には魔女を思わせる円のでかいつばととんがりがある帽子。手には大きな杖を持っていた。
黒い衣服とは対照的に、髪は明るい赤色だ。大人ぶった冷たい表情をするが時々子供らしく極端に動かしたりしている。おそらく後者が素なのだろう。
2人目は黒髪の青年だ。ほとんど布の服に鉄板を急所に付けただけの簡易的で安そうな軽装を身にまとい、背には長い薙刀をあった。
顔は‥‥‥イケメンだ。チッ。中性的な顔つきで村娘など簡単に虜にしてしまいそうなほどだ。カッコいいというより綺麗な顔立ちであるチッ。
3人目は‥‥‥な、なんだあれは。本当に人間なのか?なぜ筋肉もりもりのゴリマッチョが女のような服を着ているのだ?しかも顔も思いっきり化粧してるし。
もしかして女か!?胸はでかい‥‥‥いや、どっちかというと胸板。足もすべすべ‥‥‥そ、剃ってるな、あれ。
なんなのだ。一体あれはなんなのだ!?この我でも知らない何かである。ある種の恐怖を感じる。
「かっこいい人いるね」
「そ、そうだな」
サエラが言ったのは、おそらくあのガルムとか呼ばれてた男のことであろうな。
たしかにイケメンだ。なんか綺麗系の顔なのでゴードンとか呼ばれたゴリラを見た後の目の保養になってきた。
「マッチョの人」
嘘だろ?
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、2人とも、なんで、置いてくんですかおぇぇぇ」
我が思いもよらぬセリフに絶句していると、瀕死の獣のようなうめき声を発しながらシオンが追いついてきた。
どうでも良いけど、お主もう少し女子としての自覚を持った方が良いのではないか?
「ごめん、でも冒険者見るの初めてだから」
「わかりますけど‥‥‥え、あれが冒険者なんですか?変態じゃなくて?」
「冒険者ってすごいね」
「いや、あれは異例中の異例だと思うぞ」
少なくともあのゴードンとやらの巨漢の格好は冒険者の一般兵装ではないだろう。
むしろガルムと呼ばれてた男の装備が一般的なのではないだろうか。
そうだと思う。そうだと信じたい。
「あれ、真ん中の人こっちに来ますよ」
思わず小声で囁いたシオンの言葉に、頭を抱え俯いていた我は重い頭を持ち上げて冒険者たちの方へ向いた。
見てみれば、ガルムがこちらにのろのろとした足取りで迫ってきていた。なんだ?バレたか?
反応を待っていると、ガルムは億劫そうな表情を浮かべる。
「おい、何隠れてんだ?出てこいよ」
見た目とは裏腹に随分と乱暴そうな口調である。ズボンのポケットに手を入れ、地面をつま先で蹴りながら歩く様はチンピラのようだ。
だがどうしたことか。どうにも弱そうに見えんのだこの男。
我がそんなことを考えていると、隣でシオンが目をつむり、不敵な笑みをこぼしながら立ち上がった。
「ふふふ、バレてしまっては仕方ない。さすがは冒険者といったところですね」
何言ってんだこいつ。
「くくく、甘く見ないで貰おうか。こう見えてもやつかれたちはパープルジェムと名高い都市で名声を轟かせているのだよ」
シオンの謎テンションに乗ってか、ガルムの後ろから魔女風の格好をした赤髪少女が仰々しい台詞を吐きながら現れた、
残念ながら、そのパープルジェムとかいう都市は知らんので反応を返せない。というかシオンと会話レベルが同等なことに驚き硬直していた。
なんなの?冒険者って変人ばっかなのか?
我が人知れず混乱していると、ガルムから振り下ろされた手刀が少女の頭部に直撃した。
「ぎゃっ!?」
「アホなことぬかすなよメアリー」
「ほ、本当だもん!やつかれたち、結構頑張ってるじゃん!」
なんとも尊大な口調であったが、やはり子供っぽいこちらの言動が本物のようだ。
「あー、ここの村の人だよな?なんか用か?マンドが戻ってこいとか言ってんのかね」
どうやらガルムは我らがマンドに頼まれ、伝言を伝えに来たと思っているようだ。それもそうだろう。まさか女子がわざわざ冒険者に会いに来るとは思わないだろうし。
実は目的は会うことなので、当然サエラはガルムの言葉を首を振って否定する。
「冒険者‥‥‥なんだよですね?」
敬語下手くそか。
「‥‥‥あ?
(ん?"なんだよですね"なんかの方言か?それとも言い間違いか?いやでも間違ったのを悪びれる様子も羞恥で恥ずかしがる様子もねぇ。なんだ、なんでコイツこんな無表情なんだよ。やっぱり合ってるのか?俺が間違ってるのか?そうなのか?)
‥‥‥おう」
なんと言ったのか聞き取れなかったのか、一度時間が停止したように止まったガルムだったが、少々間を空けてから答えてくれた。
多分今すごい問答を己の心の中で行なっていたのだと思う。
「冒険の話聞きたいざます」
ついに金持ちのババアになった。サエラ、お主もう敬語使うな。3人とも困っちゃってんじゃん。
我は冒険者3人組に助け舟を出すべく、口を開けた。
「すまんの。こやつ敬語が苦手なのだ。標準に喋らせて良いかの?」
「‥‥‥あ、あぁ。別に俺ら貴族じゃねえし」
ガルムは戸惑いながらも我の言葉に頷いてくれた。我は一安心してホッと息を開き、ペシリとサエラのほっぺを尻尾で触った。
「だとよ、サエラ。よかったの」
「やった。私、敬語苦手だから」
「勉強しないからですよ」
初めてシオンがまともなことを言った気がするが、あえて口に出さなかった。
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