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1章 昇竜
第19話 避難後の景色
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モールから抜け出ると、さっきよりも街が静かに感じられる。モール内という広い静寂を感じたからだろうか。
「静かだね」
「そうか? さっきとなんら変わらねぇだろ」
僕はヒーローじゃないから、テイラと一緒になって行動することにしていた。
「でもよ、お前ってスゲェよな」
「え?」
急にすごいと言われて、僕は首を傾げながらテイラを見返した。
「いや、やっぱなんでもねぇ。そうだ、あそこなら街全体見えねぇか?」
「あ、そっか! ちょうど見下ろせるね!」
僕達が空を見上げるあの場所。あそこならこの街のほぼ全域を一気に見下ろせられる。
そうと決まれば、善は急げだ。僕達は競争するかのように、静かな街に足音を響かせながら駆け抜けていく。
そして、その場所へ着くと4人の私服姿の人達がいた。まだ避難していないのかと思い、声をかけてみることにした。
「あ、あの……避難は?」
『ん~? その声、聞き覚えがあるねぇ』
いちばん手前に立っていた女性の声。僕にも聞き覚えがあった。
「まさか、奈落⁉︎」
「おっほほほほほほ!」
高笑いをあげると同時に、奈落はかんざしを頭から外して地面へ投げて突き刺す。そこから現れた黒い煙が4人組を包み込む。
そして煙が晴れると、赤い着物姿の、以前と同じ奈落として姿を変えた。
「ここで会うとは奇遇だねえ。ちょうど良い、自己紹介くらいはしておこうじゃないか。のう、望豊?」
「あぁ。わたしの名は、菊池 望豊。常闇に叫びし銀が鬼」
鋭い目をした、黄緑色の軍服を身に纏った長い銀髪の男が、ふくみのある笑みを浮かべながら僕達に一礼する。
よく見ると左腰には刀が収まっている鞘が携えられていた。
「俺様の名は、ヤジロベエ! 土に埋もれし黄の鬼!」
まるで元気はつらつな少年のような大きな目にボサボサで束ねられている赤髪の男。片手に持つ筆を乱暴に振り回しながら、ヤジロベエ名乗る男は得意げに笑っている。
「ヤジロベエが友、喜多八。滑稽に染まりし緑の鬼」
細目の短い黒髪の男が、扇子をピシャリと閉めて顔の前に運び、深々とゆっくり礼をする。
まさに日本の演舞の締めみたいだ。
「ふふっ、キチンと名前は覚えられたかい? それじゃあとっとと……地獄へ堕ちてしまえ!」
奈落はかんざしを再び地面へ突き刺す。今度は煙じゃなく、この前同様幼体のバケモノが現れ始めた。
だが、少し違う。バケモノと一緒に、人型のロボットみたいなものが共に現れたのだ。背中には2本のパイプがあり、白い煙が噴出している。色は全て赤で、どれも日本刀を片手に握りしめている。格好で見ると、まるで剣道部の試合で見るような軽足の格好だ。
「驚いたかい? でも、これだけじゃあ終わらないよ!」
奈落が右足でカツンという音が大きく響くほどに思いきり一歩を踏み込むと、その音を聞いたバケモノ達が一斉にそのロボットに入っていく。すると、面の中が赤く点灯した。
「貴様らの命運もここまでさ! アッハハハハハハハ!」
高笑いを残して、奈落率いる4人組は地面へと潜り込んでいった。
「な、なんだこりゃあ⁉︎」
「バケモノが操ってる……のかも」
「ちっ、やるっきゃねぇな!」
テイラが宙返りをすると、地面から白い光が放たれて彼の体へと入り込み、その体からオレンジ色の光を放った。
光が消えると、胸元にスクエニの公式ロゴが入った、燕尾をモチーフにしたかのような服を着こなしていた。
これこそヒーロースーツだ! 生で見るのは初めてで、僕は今とても興奮している。
「アラン、カメラ用意できるか⁉︎」
「あ、うん!」
だけどウカウカしている場合じゃないよね。今はこの街の平和を脅かすバケモノを倒すことに集中しないと。
僕はカメラを描いて実現化し、戦闘体勢を整えた。さぁ、初めての本格的な戦闘、思う存分に暴れさせてもらうよ。
「静かだね」
「そうか? さっきとなんら変わらねぇだろ」
僕はヒーローじゃないから、テイラと一緒になって行動することにしていた。
「でもよ、お前ってスゲェよな」
「え?」
急にすごいと言われて、僕は首を傾げながらテイラを見返した。
「いや、やっぱなんでもねぇ。そうだ、あそこなら街全体見えねぇか?」
「あ、そっか! ちょうど見下ろせるね!」
僕達が空を見上げるあの場所。あそこならこの街のほぼ全域を一気に見下ろせられる。
そうと決まれば、善は急げだ。僕達は競争するかのように、静かな街に足音を響かせながら駆け抜けていく。
そして、その場所へ着くと4人の私服姿の人達がいた。まだ避難していないのかと思い、声をかけてみることにした。
「あ、あの……避難は?」
『ん~? その声、聞き覚えがあるねぇ』
いちばん手前に立っていた女性の声。僕にも聞き覚えがあった。
「まさか、奈落⁉︎」
「おっほほほほほほ!」
高笑いをあげると同時に、奈落はかんざしを頭から外して地面へ投げて突き刺す。そこから現れた黒い煙が4人組を包み込む。
そして煙が晴れると、赤い着物姿の、以前と同じ奈落として姿を変えた。
「ここで会うとは奇遇だねえ。ちょうど良い、自己紹介くらいはしておこうじゃないか。のう、望豊?」
「あぁ。わたしの名は、菊池 望豊。常闇に叫びし銀が鬼」
鋭い目をした、黄緑色の軍服を身に纏った長い銀髪の男が、ふくみのある笑みを浮かべながら僕達に一礼する。
よく見ると左腰には刀が収まっている鞘が携えられていた。
「俺様の名は、ヤジロベエ! 土に埋もれし黄の鬼!」
まるで元気はつらつな少年のような大きな目にボサボサで束ねられている赤髪の男。片手に持つ筆を乱暴に振り回しながら、ヤジロベエ名乗る男は得意げに笑っている。
「ヤジロベエが友、喜多八。滑稽に染まりし緑の鬼」
細目の短い黒髪の男が、扇子をピシャリと閉めて顔の前に運び、深々とゆっくり礼をする。
まさに日本の演舞の締めみたいだ。
「ふふっ、キチンと名前は覚えられたかい? それじゃあとっとと……地獄へ堕ちてしまえ!」
奈落はかんざしを再び地面へ突き刺す。今度は煙じゃなく、この前同様幼体のバケモノが現れ始めた。
だが、少し違う。バケモノと一緒に、人型のロボットみたいなものが共に現れたのだ。背中には2本のパイプがあり、白い煙が噴出している。色は全て赤で、どれも日本刀を片手に握りしめている。格好で見ると、まるで剣道部の試合で見るような軽足の格好だ。
「驚いたかい? でも、これだけじゃあ終わらないよ!」
奈落が右足でカツンという音が大きく響くほどに思いきり一歩を踏み込むと、その音を聞いたバケモノ達が一斉にそのロボットに入っていく。すると、面の中が赤く点灯した。
「貴様らの命運もここまでさ! アッハハハハハハハ!」
高笑いを残して、奈落率いる4人組は地面へと潜り込んでいった。
「な、なんだこりゃあ⁉︎」
「バケモノが操ってる……のかも」
「ちっ、やるっきゃねぇな!」
テイラが宙返りをすると、地面から白い光が放たれて彼の体へと入り込み、その体からオレンジ色の光を放った。
光が消えると、胸元にスクエニの公式ロゴが入った、燕尾をモチーフにしたかのような服を着こなしていた。
これこそヒーロースーツだ! 生で見るのは初めてで、僕は今とても興奮している。
「アラン、カメラ用意できるか⁉︎」
「あ、うん!」
だけどウカウカしている場合じゃないよね。今はこの街の平和を脅かすバケモノを倒すことに集中しないと。
僕はカメラを描いて実現化し、戦闘体勢を整えた。さぁ、初めての本格的な戦闘、思う存分に暴れさせてもらうよ。
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