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エピローグ編 夜空の中で
第1話 いるべき場所
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なんとか脅威の口からは脱出できて、俺たちは息を切らしながらもヒシヒシと押し寄せてくる達成感を胸に笑い声を共に弾けさせた。
「……ドンボ、よくやった」
「ニャハハ、死ぬかと思ったけどな。あの人が……教えてくれたおかげだぜ」
「さっきの力、フラットのゲート接続。そういうこと、か」
ノールはフラットに何が起きたかを全て理解して目を細めた。
「……俺は、嫌いだけどな。全て押し付けられたからよ。それじゃあ、村に戻ろうぜ」
「父ちゃん、おんぶしてくれ~」
「ドワっ⁉︎」
あっという間に成人サイズにまで成長したエルゴが俺の背中に飛びつく。もちろん重い。そしてなにより、疲れた足だ、あっけなく膝から崩れ落ちた。
「あれ、父ちゃん?」
「……ほらよ、乗れ」
「ヤッホーい!」
なんだか腹のあたりが痛い。今にも泣き出しそうだ。なんでだろうな、エルゴの重さを知った途端に温かくて重い何かが腹の底から込み上げてきた。
こらえようとしても、大粒の涙が落ちていく。
「……ドンボ、また大人になったみたいだな」
「そうっすね。でも、フラットだったらもっと泣いてそうっすよ?」
「ふふ、たしかに」
フラットのことを知る3人は思い出話に花を咲かせていた。
「あ、その前に……アレ、やんないとね!」
「おっと、そうだったな。ドンボ、エルゴ背負ったままで良いからこっち来い」
スタントとキールはドンボの肩を支える。キールの隣にノールが立ち、ドンボの後ろにエドが立つ。フォールが全員が写るようにカメラを用意していた。
「よーし。やるぞ!」
「私がやる!」
「なら、私も一緒に」
キールがやりたいと言い出すと、ノールも一緒にやると言い出す。
「うん! じゃあ一緒に……セーの――」
「「勝利のVサイン、キメッ!」」
フォールが撮影を終えた途端、ドンボはガクンとひざまずいてしまった。
背負われていたエルゴも心配して駆け寄った。
「あ、ちょっと大丈夫⁈」
「……? 父ちゃん……笑ってるのか?」
俺にも分からない。なぜだか嬉しすぎて、笑いが止まらない。フラットさんが見ていたであろう景色が俺の脳内を駆け巡る。
ああ、フラットさんは今でも俺を厳しく見守っているんだなと、実感できた。まったく、鬱陶しいったらありゃしない。
「ニャハハ、悪い。なんからしくねぇや、もう大丈夫だぜ」
「父ちゃん……笑ってくれよな!」
エルゴは俺に、Vサインを見せながら笑顔でそう励ましてくれた。
「……あぁ、笑うぜ。それが俺だぜ!」
「もう、エルゴまで不良になったらどうしよ」
「そのときは俺と一緒に酒でも飲もうな!」
「まずフォールから黙らせたほうが良いでしょ」
こんな駄弁り合いをしながら、俺たちは村に続く道を歩んでいく。俺がいるべき場所はずっとここだ。見つけた以上、好きなように使わせてもらうぜ。何つったって、俺がいてこその場所なんだからよ。
「……ドンボ、よくやった」
「ニャハハ、死ぬかと思ったけどな。あの人が……教えてくれたおかげだぜ」
「さっきの力、フラットのゲート接続。そういうこと、か」
ノールはフラットに何が起きたかを全て理解して目を細めた。
「……俺は、嫌いだけどな。全て押し付けられたからよ。それじゃあ、村に戻ろうぜ」
「父ちゃん、おんぶしてくれ~」
「ドワっ⁉︎」
あっという間に成人サイズにまで成長したエルゴが俺の背中に飛びつく。もちろん重い。そしてなにより、疲れた足だ、あっけなく膝から崩れ落ちた。
「あれ、父ちゃん?」
「……ほらよ、乗れ」
「ヤッホーい!」
なんだか腹のあたりが痛い。今にも泣き出しそうだ。なんでだろうな、エルゴの重さを知った途端に温かくて重い何かが腹の底から込み上げてきた。
こらえようとしても、大粒の涙が落ちていく。
「……ドンボ、また大人になったみたいだな」
「そうっすね。でも、フラットだったらもっと泣いてそうっすよ?」
「ふふ、たしかに」
フラットのことを知る3人は思い出話に花を咲かせていた。
「あ、その前に……アレ、やんないとね!」
「おっと、そうだったな。ドンボ、エルゴ背負ったままで良いからこっち来い」
スタントとキールはドンボの肩を支える。キールの隣にノールが立ち、ドンボの後ろにエドが立つ。フォールが全員が写るようにカメラを用意していた。
「よーし。やるぞ!」
「私がやる!」
「なら、私も一緒に」
キールがやりたいと言い出すと、ノールも一緒にやると言い出す。
「うん! じゃあ一緒に……セーの――」
「「勝利のVサイン、キメッ!」」
フォールが撮影を終えた途端、ドンボはガクンとひざまずいてしまった。
背負われていたエルゴも心配して駆け寄った。
「あ、ちょっと大丈夫⁈」
「……? 父ちゃん……笑ってるのか?」
俺にも分からない。なぜだか嬉しすぎて、笑いが止まらない。フラットさんが見ていたであろう景色が俺の脳内を駆け巡る。
ああ、フラットさんは今でも俺を厳しく見守っているんだなと、実感できた。まったく、鬱陶しいったらありゃしない。
「ニャハハ、悪い。なんからしくねぇや、もう大丈夫だぜ」
「父ちゃん……笑ってくれよな!」
エルゴは俺に、Vサインを見せながら笑顔でそう励ましてくれた。
「……あぁ、笑うぜ。それが俺だぜ!」
「もう、エルゴまで不良になったらどうしよ」
「そのときは俺と一緒に酒でも飲もうな!」
「まずフォールから黙らせたほうが良いでしょ」
こんな駄弁り合いをしながら、俺たちは村に続く道を歩んでいく。俺がいるべき場所はずっとここだ。見つけた以上、好きなように使わせてもらうぜ。何つったって、俺がいてこその場所なんだからよ。
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