実験施設から抜け出した俺が伝説を超えるまでの革命記! 〜Light Fallen Angels〜

朝日 翔龍

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3節 謎を紐解けば

第8話 マネキンの正体

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 楽しいケンカも終え、俺たちは調査に戻った。その前に、今揃っている情報を、図書館の中で出し合うことになった。

「俺の知っている歴史だと、モンスターの凶暴化が解決するのはまだ先なんすよね…」
「でも、これで王政が腐敗してることは知れ渡ったでしょ!」
「そうだな。少なくとも力になれた」
「それに、過去を変えちゃまずいだろ。あくまで俺たちは、ノールを助けるだけだ」

 なんかマジメな雰囲気だ。段々眠くなってきたな。まっ、寝ても問題ねぇし、寝てよ。

「…で、ドンボはどう思う…おいドンボ! おい!」
「父ちゃん寝ちゃったぜ。俺様も寝る!」
「あっ…」

 なんか背中が暖けえな。てか、なんか重いし。これじゃ寝れん、起きて確かめるか。

「よっ…とぉ⁉︎」
「ちょ、ドンボ⁉︎   大丈夫?」

 机に伏せていた身体を起こそうとすると、背中に乗っていた何かの重みのせいで全然起き上がれず、俺は机に顔面を強打した。

「イッテェ! おい誰だ、背中に乗ってるやつ!」
「ムニャ? 父ちゃん、起きたのか?」
「エルゴか! 俺は枕じゃねぇっての!」
「アッハハハ! なんか、本当に家族みたい。良いなぁ…」
「キール…」

 家族となった途端に、キールの顔は沈んでいく。仕方ねぇな、笑わすか。

「キール、俺何も知らねぇから情報ジャンジャン出してほしいぜ」
「あ、うん。えっと…?」
「グゥ…」
「ドンボ~っ!」

 よし、これで良いだろ。そういう顔が俺は大っ嫌いだからな、これで少しは気を紛らわせる。

「ニャハハ! ジョークだ、ジョーク」
「父ちゃん、ジョークって何だ?」
「んあ? ジョークってのは……冗談って意味だ」
「冗談…あ! この前、父ちゃんがキールのお菓子食ってたんだ!」
「げっ、おまっ! それいつ知ったんだ⁉︎」
「へ、ジョークで言っただけだぜ?」

 てことは…。偶然エルゴがついたジョークが、まんまと俺がやった事実だった、と。
 あぁ、やっちまったなこれ。

「ドンボ~! あれ、すっごい高かったやつだったのに! しかも、ママにあげるやつ!」
「あ~…でも食ったのは俺じゃないぜ? ヨグイーにあげたんだ!」
「ってそれ、泥棒じゃん!」

 いや、俺そういう道を歩んできたわけだし。今更言われてもなぁ。

「そういう話は後にしろ。今は会議中だ」
「別に良いんじゃないか? 堅っ苦しいよりマシだ」
「課長がそんなんだから、ドンボも……。まあ、良いのかな」

 そういうこったう。まっ、俺はどんな状況でも俺を貫き通すがな。

「まあ、情報まとめるっすよ。マネキン化の発生源は、どうやらこの世界で月光が当たる場所、らしいっすね」
「何でそこまで分かったの?」
「この間、ドンボが大地から魔力を引き出したっすよね。そこで、ある場所からすごい強大な魔力が引き出されたんすよ」
「それが、月光の当たる場所…ってわけか」
「ぜ、全然分からない…」
「おい、エルゴにも分かるように説明してくれねぇか?」

 一応はエルゴも話し合いに参加してるんだ。それに、戦力にだってなれる。まだエルゴは子供だ、難しい言葉を使われても理解できない以上、その戦力も豚に真珠になっちまう。

「あぁ~…簡単に言うと、月の明かりが当たる場所が…なんて言えば良いんだ?」
「う~ん…異変の元凶って分かるかな?」
「それなら分かるぜ!」
「良かったっす。あ、この本面白いっすよ」
「いや面白くても字が読めなきゃお話になんねぇだろうが」

 エドのやつ、マイペースなのが困るぜ。そういう俺はマイペースどころか自己中だけどな。

「分かってるなら直せ」
「やなこった。そう言うお前も、いい加減人の思考を読むな」
「読みたくて読んでるんじゃない。できれば読みたくないくらいだ」
「はぁ? そんな風には見えねぇぜ?」
「父ちゃん、トイレ行きたい」
「自分で行けんだろ?」

 いきなりすぎだろ。いや、でも子供と考えればそういうものか。見た目は完全に学生くらいなのにな。

「そうじゃなくて…その…この姿だから人間用のトイレ…」
「あ~…ちょっくら行ってくるから、少し離れるぜ」
「あぁ、子育て頑張ってな」
「こ、子供じゃねぇ! ヘン、俺様1人で行けるぜ!」

 そう言って、エルゴは俺の手を振り解いてドサドサと怒りながら便所に向かった。

「なんか、ドンボが子供になったみたい」
「うん、ぼくもそう思った」
「ドンボが親になったらああなるって分かったな」
「うーん…似すぎなんすよね…あそこまで似るとなると…あっ! ドンボの血、まさか飲んだとかじゃないっすか⁉︎」

 あぁ、図書館前での襲撃で、俺の血がエルゴについたような気がするが。それが何かあるのか?

「それなら納得っすよ。俺たちの言語使えることも、あの性格も全部っす」
「血を飲むと、人格が似るの?」
「まあそんな感じっす。いや、でもドンボを見習っただけっていう可能性もありえるっすけど」
「だから、そういう話は今するなと言ってるんだが」
「あぁ、ごめん。で、何の話だっけ?」

 そりゃ忘れるよな。今のは流石に俺のせいじゃないぜ。トイレに行きたいとか言い出したエルゴの責任だ。

「とりあえず、もう話を進める。あのマネキンは、ただの魔力が影響しているわけではない」
「そうっすね。俺たちの調査の予測だと、微力ながらにもパラレルエネルギーが検知されたことから、脅威が影響してると睨んでるっす」
「パラレルエネルギー?」

 パラレルストーンなら知っているが、パラレルエネルギーって何だ? 聞いた覚えもないぜ。
 それに、口ずさんでも思い出せねぇってことは、俺を形作る存在共も知らねぇ単語ってわけだな。

「パラレルエネルギーっていうのは、脅威を討伐するときに溢れ出るエネルギーだ。分かるだろ? 脅威は討伐と同時に粒子状のものを出す。あれがそうだ」
「あぁ、あれか。で、それがどうしたんだ?」
「満月のときになると、マネキン化が起こるという情報が正しいなら、月に秘密があるはずなんすよ」
「えぇっ⁉︎   もしかして、月に行くの⁉︎」

 いやいや、そんなの無理に決まってるだろ。いくらなんでも、それはなしで頼むぜ。

「まず、月に行く手段がないぜ。それは考えてなかったが…」
「そ、そうだよね。でも、じゃあどうするの?」
「マネキン化は、おそらく脅威を討伐しまくっているから起きてるんすよ」
「てなると…まさか、その原因ってノールってやつが戦い続けてるせいか⁉︎」
「そうなる。そして、満月になるとマネキン化が起こる理由は、おそらく誰かがパラレルエネルギーをセーブしているが、満月の日になると力がなくなってしまうから。これだけだ」

 ニャルほどな。流石は元隊長、頭が回るねぇ。俺だったら片っ端から怪しいやつをぶん殴ってるところだぜ。

「え、でもそうなると月光の当たる場所が怪しいっていうのは?」
「あぁ。それはマネキン化が起こりやすい場所だ。偶然にも、大昔に封印されたモンスターもそういう場所で眠っているらしいが」
「そういうことっす。だから、マネキン化を解くには、まずパラレルエネルギーをセーブしている人を見つけるっすよ」

 たしかに、そうすれば有力な情報は掴めるが、それから戻るとなると、回りくどいじゃねぇか。

『父ちゃ~ん…』
「ん…んん⁉︎」

 エルゴの声がしたと思って振り返ると、びしょ濡れになって猛ダッシュしてくるエルゴが視界に映った。
 あまりの衝撃に、俺は思わずエルゴを抱き止めた。だが、その水はなんの変哲もない、ただの水だった。

「どうしたらこうなるんだよ?」
「水道握ったら、潰しちゃって…」
「おいおい、まさか水道破裂されたのか⁉︎」
「すごい力だな…」
「まだ子供だ。自分の力をどう抑えれば良いのかが分かっていないんだな」

 だからって、水道を壊しちまうのはまずいな。だからって、力をどう抑えるかって、どう教えりゃ良いんだ? 俺とは大違いな怪力相手だ。こりゃ手が掛かりそうだ。

「やることは決まったわけだし、水道の修理しないとまずいでしょ。スタント、行くよ」
「あぁ、直せるレベルなら良いが」
「弁償代がかかるようなら、ドンボの給料から天引きしておくから気にしなくて良いぜ」
「ハァ⁉︎   俺が気にするっての!」
「悪い父ちゃん…」

 …ったく。そんな顔されちゃ、俺の言いてぇこと、何も言えねぇじゃんかよ。
 そうこう話しているうちに、キールとスタントは便所に向かっちまったし。

「エルゴ、気にすんな。失敗したもんは仕方ねぇだろ? これから気をつけりゃそれで良いぜ」
「分かった! 俺様、気をつけるぜ!」
「なんか、親っていうものに板がついたか?」
「あったぼうよ! 俺の息子だぜ、エルゴは」

 姿形がどれだけ違おうとも、俺とエルゴは家族だ。それは誰にも否定させやしねぇ。

「それじゃ、行こうぜエルゴ…ってあれ? エルゴのやつどこ行った?」
「さっき猛ダッシュで外に出てったが?」
「フォール、そういうのは早く言えっての! エルゴ追いかけるから任せたぜ!」
「あぁ。気をつけてな」

 俺はエルゴを追って飛び出した。俺自身、なぜここまで張り切っているのか分からない。
 元々は親っていうものがどういう存在なのか知りたかっただけなのに、今じゃなろうとしている。それぐらい、エルゴのことを大切に思っているのか、俺。
 実際、そうなのかもな。エルゴと出会った瞬間から、俺はエルゴの親だった。あの目を見たときから、全てが始まっていたんだ。もっと俺は変われる。優しさとか愛情とかを捨てていた俺だったけど、変われるんだ。
 そう信じて、俺はエルゴの「父ちゃん」でいよう。面白い生き方ってやつを、俺が絶対伝えてやるぜ。
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