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第五話 そんなところには入らない!
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動画の再生終了で止まっている無駄に画面がデカいスマホ、敷きっぱなしの防水シーツ、中身を洗浄したために仕舞われてないアナニー用グッズの外箱。
さっきまで誰がナニをしていたのか丸わかりなベッドに下ろされて、俺は顔を赤くすればいいやら青くすればいいやら。
深谷のほうは長く伸びる触手の特性を最大限活かし、俺を抱き上げて運ぶ間にネコ次郎の皿にフードを盛り、脱衣所から新しいバスタオルを一枚持ってきていた。手際が良すぎてなんか嫌だ。
そんな人間離れした、実際に人間じゃない男は今、俺を腕と触手で雁字搦めにして深呼吸などしている。
「はぁ……約85時間ぶりの新さん……」
「気持ち悪い計算すんな」
「いいじゃないですか、こんなに離れてたこと今までにないんですから。それに、新さんが求めてくれるなんて俺もう嬉しくて」
「だ、誰がおまえを求めるかっ! 俺は、おまえに体液の危険性について、」
「それはもうしっかり拝聴しました。で、飲みます?」
深谷の口がぱかりと開き、中から舌そっくりの赤い触手が顔を出した。
長いこと以外は人間のそれと変わらない見た目だが、今は明らかに唾液ではない粘液を滴らせている。
覚えのある、甘く香る無色の液体。ごくりと喉が鳴ってしまったことは、俺の人生で一二を争う失態だった。
「ふふ、相変わらず新さんの体は素直ですね」
「違、今のはっ……んんー!」
すぐさま唇を重ねられ、あの舌が侵入してくる。
顔ごと押されて背中からシーツに不時着した。脱ぎ着しやすい部屋着の利点は今や完全に欠点と化している。
さっき穿いたばかりの下着を手早く脱がされ、反射的に力を抜いてしまった。抵抗しても無駄だとここ数日で学習してしまったのが仇となる。
これまでは軽い接触と精気の提供だけで済んでいたが、今日は明らかに違う。
飢えた獣のようにギラつく瞳と荒い吐息、激しい欲情を示すかのように蠢く触手たち。それに加えて、俺が欲求不満だとヤツは勘違いしたまま突っ走っている。
なにより今日は花金だ。
「ま、待っ……深谷、ぁ、んぅ」
「なんですか? もっと飲みたい?」
「ちが、ぅ……んく……」
一発目のキスで中ジョッキ並に飲まされたのに、ヤツはまだあの甘い液を送り込んできた。
ご丁寧に俺が噎せてしまわないよう、触手で上体をやや起こしてくれる。
媚薬混じりの唾液が口端から漏れて、しっかりと舐め取られていった。
せめて口だけでも拒絶の言葉を吐きたかったのに、情けない喘ぎ声しか出ない。
この体液、効きがヤバすぎる。これだけ効果てきめんで即効性もあれば医薬品に分類されそうだ。認定されないか。
「だから、これ、だめだってぇ」
「もう気持ちよくなっちゃったんですか? ほっぺ真っ赤ですよ」
いい歳した成人男性の肉薄の頬桁をほっぺと称するな。
それ以外にも色々言いたいことはあるのに、複数の触手がすりすりと体を擦り付けてくる刺激だけでどこもかしこも受け入れ態勢に入ってしまう。
つんと立った乳首の向こうには、さっき一回出したにも関わらず元気そうな俺の愚息。まだ柔らかく綻んでいるアナルの様子も、この触手野郎にはお見通しかもしれない。
「新さん自ら後ろの準備しててくれるなんて……感激しますね」
「ちがう、ちがうぅ」
「わ、柔らかい。わかります? 俺の触腕を吸ってるの」
違う、肛門は出すための場所なのだからおまえの触手に吸い付いたりするわけがない。だけど正直自信がない。俺のアナルは、ただ出すだけの存在ではなくなりつつある。
ぬるぬるした粘液を纏った細い触手が情け容赦なく後孔に潜り込んできた。我が物顔で襞を捲り上げながら蠢く。
「あぁ……!」
俺は快楽の涙を流しながら僅かに身を捩ることしかできない。
触れていない間に忘れてくれれば良かったものを、触手たちは的確に腸壁に埋もれた性感帯をつついてくる。
「あ、あ、あっ」
視界がぼやけて、思考が霞む。
脳は丸ごと媚薬に浸けられてしまったみたいに使い物にならない。むしろ積極的にこの陵辱を受け入れようとしてしまう。
俺はただこの疼きを、腹の奥でのたうち回る何かの残滓を消し去りたかっただけだ。火種を無くしたいなら炎にしてしまえばいいなんて、そんな荒療治は望んでいなかった。
こんなことでは、いつか深谷が俺に飽きて精気を吸わなくなったら、俺ばかりこいつを求めて苦しむことになってしまうのではないか。
心を置いてけぼりにして、体ばかりが深谷を求める。
深谷が欲しがっているのは俺の精気だけだ。俺の体は精気の器というだけで、俺にお伺いを立ててくるのはその方が精気を得るのにやりやすいって意味でしかない。
それがどうしてこんなに悲しい?
「や、ゃ……ふかやぁ……」
「うん? どうしましたか、新さん」
「……ん」
絡みついて緩く腕を拘束していた触手をもぎ放し、手を伸ばす。
この人外野郎をどうしても憎めないのは、こういうときヤツは間違えないからだ。行き場を求めてさまよう俺の腕を首に回させて、力強くてウネウネしていない筋張った男の腕が俺の体を抱く。
胸がぴったりとくっついて、ズレていた鼓動のリズムが合わさっていくような錯覚を覚えた。
「どうしたんです。寂しくなっちゃった?」
「ん……」
「かわいい、新さん」
額やこめかみ、つむじに柔らかいものが押し当てられる。深谷の唇だろう。
抱き合いながら横臥して、ゆっくりと背を撫でられるだけで焦燥と絶望に飲み込まれかけた精神が安定していく。
目の前にある首筋に鼻先を埋めると、シャワーも浴びていないにしてはそれほどきつくない男の体臭が、甘い体液の匂いの合間に嗅ぎ取れた。誘われるままに肌に口づけて、歯を立てる。
「痛っ……え、新さん?」
「おればっかり、されるのも、不公平だし」
「え、嘘、キスマ? いや歯型かな……うわ、すげー嬉しいです。あとで鏡で確認しなきゃ」
「み、見なくていい!」
思い返せば俺から進んで深谷に触れようとすることは稀で、ヤツの体に痕跡を残すような行為は初めてだったかもしれない。
妙にテンションを上げて喜ばれると恥ずかしい。ぐいぐい腕を突っ張って体を離そうとしたが、がっちり背中をホールドされているため少しも逃げ出せなかった。
「すみません、浮かれちゃって。でも本当に嬉しいです。お返しに俺もいっぱい痕つけますね」
「いいっ、いらな……ぁ……!」
首筋や肩口、鎖骨の周囲に次々と吸い付かれる。間髪入れず不埒な唇は俺の胸元へと辿り着き、ぷっくりと腫れた粒を口に含まれた。
舌で先端を転がされ、軽く前歯を当てられるとその度にびくびくと腰が跳ねる。
自然と、ナカを占拠している触手束を締め付けてしまい、それがますます快感に直結する。
触手は気まぐれに動かされ、深谷本体の攻め手も緩められることがない。胸全体を揉まれながら乳頭を転がされるとあり得ないほど感じてしまって、でも絶頂に至るほどの快楽ではなくてもどかしい。
無意識に下肢へ手を伸ばすと、すぐに見咎められ腕を捕られてしまった。
「だめ。こっち、俺につかまってて?」
「だって、前、せつない……」
「俺が触ってあげるから、ね?」
周囲を蠢く無数の触手のうち、先がぱっくりと開くものが俺の陰茎に狙いを定めた。
そこはすでにだらだらと先走りを零していて、腹につくほど反り返っている。
動画を見ながら一人で処理したときはあんなに勃ちが悪かったのに、まるで別物……いや別竿だ。
「やっ! それ、気持ちよすぎる、からぁ……っ」
「そんなこと言われたら期待に応えなきゃならないなぁ」
「うぁっ、あー……!」
亀頭をずるりと包まれただけで呆気なく放ってしまった。触手が俺の精液を美味そうに飲み下しているのが動きで分かってしまう。
くてんと力を失ったものは、解放されるどころかさらに深く触手に飲み込まれてしまった。賢者タイムに入る間もなく性感を高められ、さらには大人しくしていた後孔の触手たちが再び動きはじめた。
しこりとなっている前立腺などを重点的に刺激しながら、奥へ奥へと隘路を開拓していく。
恐ろしいほどの速さで、俺自身すら知らない場所が暴かれる。
「あっ、ゃ、やだ、ふかや、奥、おくこわいぃ」
「大丈夫、怖くないよ。前にもしてるし、気持ちよさそうにしてたよ」
「でも、でも……」
「俺は新さんに嘘をつかないし、痛いこともしない。いつもそうでしょ?」
回らない頭で考えて、頷いた。
深谷は嘘をつかないように努力しているように感じる。嘘をつくことになってしまったときは、偽りなく伝えてくれる。触手に掴まれたり押さえ込まれることは多いけど、痛かったことはない。
それにさっきまで自慰に使っていた程度の場所では、深層で燻る熱に届いていなかったことも事実だ。
俺はこの先を知っている。悦楽の種を植え付けられたことがある。それが芽吹く時を待っている。
「俺ももう、新さんのナカに入りたくて限界。これが欲しかったんだよね?」
深谷が体をずらして、俺はそれを見下ろした。
無数の触手はあるけど、彼の生殖器は一本しかない。確かにこの身に受け入れたことのある、とてつもなくグロテスクでえげつない形状のそれ。
これを突き入れられ、最奥を探られると頭がおかしくなるくらい気持ちいいことを俺は知っている。
でもやっぱりちょっと、デカすぎないか。
「これさぁ……もうちょっとサイズダウンさせられないの」
「えっ。急に正気に戻るのやめてくださいよ」
今までの二回とも、俺はこのデカブツを見た瞬間正気に戻っている気がする。
だって凶器だろこんなもん。形状も相まってディルドというより棍棒だ。でこぼこ作ったり釘打ちとかして殺傷能力を高めてあるやつ。
つんと指先でつついたら、びくりと震えてうねった。キモいを通り越して怖い。
これをケツにぶち込まれるとなったら、いくら媚薬を飲まされていても目をハートマークにさせたまま蕩けてなんていられない。
「触手は普段体に仕舞えてるんだから、長さ調節できるんだろ? これもどうにかできないのかよ」
「新さん、興奮状態のチンコ今すぐ縮めろって言われてできます?」
「いやできないけど、俺は人間だし。おまえは人外だからできるんじゃないかなと思って」
「触手にもできないことはあるかと……」
「なんだ。もうちょっと小さくなるなら挿れさせてやってもいいと思ったのに」
「え!」
深谷の瞳がきらりと輝き、満面の笑みが浮かんだ。
「いいんですか! 新さんからのちゃんとした許可……無理矢理じゃなくて……!」
「無理矢理の自覚あったのかよ。するなよそこは」
「新さんが美味しいのが悪いと思います」
「ついに開き直りやがったな……」
会話の最中にも触手は次々に引いていき、拘束が解けた。
すぐ戻ります、と深谷が部屋を飛び出していく。もしかして水でも被るつもりだろうか。それなら縮むかもしれないが……。
そういえばあのグロいイチモツはあれが勃起している状態なんだろうか。生殖器すら触手然と動かすことができるというのはどういう気分なんだろう。そもそもあの数の触手をどうやって動かしているのか。
体を起こして、粘液でドロドロになっている体を見下ろして溜め息を吐く。
意識は比較的クリアだが、腹の奥を炙るような熱が散る気配はない。酒を飲んだときのように胃がかっかしている感覚が近いだろうか。
栓をするものがなくなった後孔の物足りなさを無視して呼吸を整えていると、深谷が戻ってきた。
「お待たせしました!」
「うわっ」
俺は思わずベッドの上で後ずさったが、それも無理からぬことだと思ってほしい。
「見てください! 他の触手全部出したらちょっと縮んだんです!」
深谷は触手を全開にしていた。
かろうじて人型を保っている深谷本体の肌から大量に、長短大小さまざまな触手が突き出している。
俺の視覚への配慮からか体の前面は問題ないが、まるで肌色の壁を背負っているかのごとく後ろが触手だらけだ。肩や腰、腿の裏側までイソギンチャク状態になっている。
ユダヤ教由来の天使には翼が72枚もあるものがいると知って、背中の面積が足りないんじゃないかと思ったものだが、今の深谷は72本どころじゃないほど触手を出している気がする。千手観音に近い。
現実離れした存在が近づいてくるのを冷静に観察してしまった。
本来なら全裸でも裸足でも逃げ出すべきなんだろうが、嬉しそうな顔をしているのがよく見知った男だからか嫌悪感はあまりない。
「これでどうですか、できそうですか?」
深谷の生殖器は萎えていてもサイズが変わらない形状だという。
その代わり不使用時や性感が高まっていない状態では収納されているので、股間はつるつるだ。
なので生殖器が出ているときの存在感は凄まじい。
それを笑顔で見せつけてくる様は、まるですべての下ネタが宝物のようだった小学生男子みたいで微笑ましい。ブツはグロくて幼さとは無縁だが。
「あぁわかったわかった、見せなくていいから。よく頑張ったな」
「はい! 嬉しいなぁ、やっと新さんと合意でできる」
ニコニコしながらベッドに乗り上げてきた深谷に口を開きかけ、結局何も言わずに閉じた。
怠い腕を持ち上げて汗ばんだ髪をがりがり掻く。
顔見知りの男同士が全裸で二人ベッドに座っている。シュールな光景だが、俺は深谷が席を外した時点で逃げ出すこともできたはずだ。
ヤツは俺を丸め込むことはあっても、力づくで言うことを聞かせて事に及んだことはない。説得を聞いてくれるタイプの異形だ。
それをしなかった時点で、もう自分への言い訳すらできない。
ずっと俺だけが深谷に与える側だったのに、俺も深谷から受け取るものがあるのだと知ってしまった。燻る熱を収める相手として、深谷は悪くない相手だと思いはじめてしまった。その対価に多少精気を吸われるくらいなら良いか、と。
ギブアンドテイクの関係性で俺だけが被害者ヅラすることは、もうできない。
「縮んだからって痛くしたら承知しねぇからな」
「えぇ、もちろん。ゆっくりシましょうね」
「……」
いつもより圧が強い触手たちが絶妙な力加減で俺の体を簀巻きにしていく。数が多すぎて絡め取られるというよりは覆われているといった方が正しい。
触手は俺の体を、本体の深谷は俺の顔をがっちり捕まえてキスすることに夢中だ。
「んっ、んむ……やめろよ、キスならさっきもいっぱいしたろうが」
「何言ってるんですか! さっきとは意味合いが違うでしょ、これは合意の証ですよ。永遠に口づけてたいくらいですよ」
「勘弁してくれ」
ぐるぐる巻きになった体では抵抗もできず、口を閉じようとしても触手を噛んでしまい、結果口の中に粘液が放出されて逆効果。
もうどれだけ飲み干したかわからないほど、甘い匂いの液体が腹に落とされる。
「それ、もういらな……水っ腹になっちまう」
「お腹たぷたぷな新さんもかわいい」
「や、ぅんっ、う……ぁ……」
一度は取り戻した明瞭な思考が再び靄の向こうに消えていく。
替わりにやってきたのは心地よい官能と肉欲の疼きだった。
性感帯を同時に愛撫されて、自由に身動きもできない。背徳的な快楽に今だけは抗わない。
深谷のそそり立つモノは、一回り小さくなった。
人間サイズかと言われれば微妙だし、形状は変わっていないが、より市販のディルドに寄ったデザインになったという印象だ。それはそれで複雑な気持ちになるが、バケモノサイズのアレを挿れられるよりマシだろう。
あのデカいのを何度もぶち込まれたら尻穴が閉じなくなってしまうのではないかと恐れたことは、本人に言う必要はない。
「いいんですよね? 新さん、挿れていい?」
「……うん」
頷いたと同時に唇に噛みつかれ、下の口ではヤツの生殖器が侵入を開始した。
粘液のおかげで痛くはないが圧迫感は健在だ。
さっきまで入れられていた細い触手とも、俺愛用のアナニーグッズとも違う。
細くなっても凶悪な突起は変わらず、健気に広がって生殖器を呑み込んでいる入り口をごりごりと刺激しながら、奥を目指して押し込まれた。
「ん、ん! んぅ……ぁ、ああっ!」
敏感な箇所を押し潰すように這入り込まれ、俺は身悶えたが逃げられない。
快感を受け流すこともできず絶頂に押し上げられ、精を放った。すぐさま触手がそれを啜っていく。
「もう中イキはばっちりできるようになりましたね、新さん。エロくて最高」
「ふ、ぅ……俺は、最悪の気分だ……っ」
「またまたぁ、気持ちよそうにしてるくせに。次は出さずにイってみましょうね」
「……?」
出さずにって、精液のことか?
そんなの無理に決まってる。男は皆出して終わる生き物のはずだ。
ポカンとする俺に深谷は呆れたような顔をした。
「何言ってるんですか、前に一度できてましたよ、ドライ」
「そんなの知らな……っ、ぁふ、う……」
「ドライなら何回でもイけるらしいですから、癖付けしましょっか。コレで」
目の前にぬっと現れた触手は、今までになく細い先端を持っていた。肌色でなければ麺類のような印象を持ったかもしれない。
それが向かったのは、俺の股間だ。
尻の狭間には極太の棍棒が突き刺さっているが、その手前は不思議と空いていた。涙に滲む視界で、極細触手が目指す先に気づいて俺は叫ぶ。
「待て待て、それ絶対ヤバ、ぁ、あ!」
さっきまで誰がナニをしていたのか丸わかりなベッドに下ろされて、俺は顔を赤くすればいいやら青くすればいいやら。
深谷のほうは長く伸びる触手の特性を最大限活かし、俺を抱き上げて運ぶ間にネコ次郎の皿にフードを盛り、脱衣所から新しいバスタオルを一枚持ってきていた。手際が良すぎてなんか嫌だ。
そんな人間離れした、実際に人間じゃない男は今、俺を腕と触手で雁字搦めにして深呼吸などしている。
「はぁ……約85時間ぶりの新さん……」
「気持ち悪い計算すんな」
「いいじゃないですか、こんなに離れてたこと今までにないんですから。それに、新さんが求めてくれるなんて俺もう嬉しくて」
「だ、誰がおまえを求めるかっ! 俺は、おまえに体液の危険性について、」
「それはもうしっかり拝聴しました。で、飲みます?」
深谷の口がぱかりと開き、中から舌そっくりの赤い触手が顔を出した。
長いこと以外は人間のそれと変わらない見た目だが、今は明らかに唾液ではない粘液を滴らせている。
覚えのある、甘く香る無色の液体。ごくりと喉が鳴ってしまったことは、俺の人生で一二を争う失態だった。
「ふふ、相変わらず新さんの体は素直ですね」
「違、今のはっ……んんー!」
すぐさま唇を重ねられ、あの舌が侵入してくる。
顔ごと押されて背中からシーツに不時着した。脱ぎ着しやすい部屋着の利点は今や完全に欠点と化している。
さっき穿いたばかりの下着を手早く脱がされ、反射的に力を抜いてしまった。抵抗しても無駄だとここ数日で学習してしまったのが仇となる。
これまでは軽い接触と精気の提供だけで済んでいたが、今日は明らかに違う。
飢えた獣のようにギラつく瞳と荒い吐息、激しい欲情を示すかのように蠢く触手たち。それに加えて、俺が欲求不満だとヤツは勘違いしたまま突っ走っている。
なにより今日は花金だ。
「ま、待っ……深谷、ぁ、んぅ」
「なんですか? もっと飲みたい?」
「ちが、ぅ……んく……」
一発目のキスで中ジョッキ並に飲まされたのに、ヤツはまだあの甘い液を送り込んできた。
ご丁寧に俺が噎せてしまわないよう、触手で上体をやや起こしてくれる。
媚薬混じりの唾液が口端から漏れて、しっかりと舐め取られていった。
せめて口だけでも拒絶の言葉を吐きたかったのに、情けない喘ぎ声しか出ない。
この体液、効きがヤバすぎる。これだけ効果てきめんで即効性もあれば医薬品に分類されそうだ。認定されないか。
「だから、これ、だめだってぇ」
「もう気持ちよくなっちゃったんですか? ほっぺ真っ赤ですよ」
いい歳した成人男性の肉薄の頬桁をほっぺと称するな。
それ以外にも色々言いたいことはあるのに、複数の触手がすりすりと体を擦り付けてくる刺激だけでどこもかしこも受け入れ態勢に入ってしまう。
つんと立った乳首の向こうには、さっき一回出したにも関わらず元気そうな俺の愚息。まだ柔らかく綻んでいるアナルの様子も、この触手野郎にはお見通しかもしれない。
「新さん自ら後ろの準備しててくれるなんて……感激しますね」
「ちがう、ちがうぅ」
「わ、柔らかい。わかります? 俺の触腕を吸ってるの」
違う、肛門は出すための場所なのだからおまえの触手に吸い付いたりするわけがない。だけど正直自信がない。俺のアナルは、ただ出すだけの存在ではなくなりつつある。
ぬるぬるした粘液を纏った細い触手が情け容赦なく後孔に潜り込んできた。我が物顔で襞を捲り上げながら蠢く。
「あぁ……!」
俺は快楽の涙を流しながら僅かに身を捩ることしかできない。
触れていない間に忘れてくれれば良かったものを、触手たちは的確に腸壁に埋もれた性感帯をつついてくる。
「あ、あ、あっ」
視界がぼやけて、思考が霞む。
脳は丸ごと媚薬に浸けられてしまったみたいに使い物にならない。むしろ積極的にこの陵辱を受け入れようとしてしまう。
俺はただこの疼きを、腹の奥でのたうち回る何かの残滓を消し去りたかっただけだ。火種を無くしたいなら炎にしてしまえばいいなんて、そんな荒療治は望んでいなかった。
こんなことでは、いつか深谷が俺に飽きて精気を吸わなくなったら、俺ばかりこいつを求めて苦しむことになってしまうのではないか。
心を置いてけぼりにして、体ばかりが深谷を求める。
深谷が欲しがっているのは俺の精気だけだ。俺の体は精気の器というだけで、俺にお伺いを立ててくるのはその方が精気を得るのにやりやすいって意味でしかない。
それがどうしてこんなに悲しい?
「や、ゃ……ふかやぁ……」
「うん? どうしましたか、新さん」
「……ん」
絡みついて緩く腕を拘束していた触手をもぎ放し、手を伸ばす。
この人外野郎をどうしても憎めないのは、こういうときヤツは間違えないからだ。行き場を求めてさまよう俺の腕を首に回させて、力強くてウネウネしていない筋張った男の腕が俺の体を抱く。
胸がぴったりとくっついて、ズレていた鼓動のリズムが合わさっていくような錯覚を覚えた。
「どうしたんです。寂しくなっちゃった?」
「ん……」
「かわいい、新さん」
額やこめかみ、つむじに柔らかいものが押し当てられる。深谷の唇だろう。
抱き合いながら横臥して、ゆっくりと背を撫でられるだけで焦燥と絶望に飲み込まれかけた精神が安定していく。
目の前にある首筋に鼻先を埋めると、シャワーも浴びていないにしてはそれほどきつくない男の体臭が、甘い体液の匂いの合間に嗅ぎ取れた。誘われるままに肌に口づけて、歯を立てる。
「痛っ……え、新さん?」
「おればっかり、されるのも、不公平だし」
「え、嘘、キスマ? いや歯型かな……うわ、すげー嬉しいです。あとで鏡で確認しなきゃ」
「み、見なくていい!」
思い返せば俺から進んで深谷に触れようとすることは稀で、ヤツの体に痕跡を残すような行為は初めてだったかもしれない。
妙にテンションを上げて喜ばれると恥ずかしい。ぐいぐい腕を突っ張って体を離そうとしたが、がっちり背中をホールドされているため少しも逃げ出せなかった。
「すみません、浮かれちゃって。でも本当に嬉しいです。お返しに俺もいっぱい痕つけますね」
「いいっ、いらな……ぁ……!」
首筋や肩口、鎖骨の周囲に次々と吸い付かれる。間髪入れず不埒な唇は俺の胸元へと辿り着き、ぷっくりと腫れた粒を口に含まれた。
舌で先端を転がされ、軽く前歯を当てられるとその度にびくびくと腰が跳ねる。
自然と、ナカを占拠している触手束を締め付けてしまい、それがますます快感に直結する。
触手は気まぐれに動かされ、深谷本体の攻め手も緩められることがない。胸全体を揉まれながら乳頭を転がされるとあり得ないほど感じてしまって、でも絶頂に至るほどの快楽ではなくてもどかしい。
無意識に下肢へ手を伸ばすと、すぐに見咎められ腕を捕られてしまった。
「だめ。こっち、俺につかまってて?」
「だって、前、せつない……」
「俺が触ってあげるから、ね?」
周囲を蠢く無数の触手のうち、先がぱっくりと開くものが俺の陰茎に狙いを定めた。
そこはすでにだらだらと先走りを零していて、腹につくほど反り返っている。
動画を見ながら一人で処理したときはあんなに勃ちが悪かったのに、まるで別物……いや別竿だ。
「やっ! それ、気持ちよすぎる、からぁ……っ」
「そんなこと言われたら期待に応えなきゃならないなぁ」
「うぁっ、あー……!」
亀頭をずるりと包まれただけで呆気なく放ってしまった。触手が俺の精液を美味そうに飲み下しているのが動きで分かってしまう。
くてんと力を失ったものは、解放されるどころかさらに深く触手に飲み込まれてしまった。賢者タイムに入る間もなく性感を高められ、さらには大人しくしていた後孔の触手たちが再び動きはじめた。
しこりとなっている前立腺などを重点的に刺激しながら、奥へ奥へと隘路を開拓していく。
恐ろしいほどの速さで、俺自身すら知らない場所が暴かれる。
「あっ、ゃ、やだ、ふかや、奥、おくこわいぃ」
「大丈夫、怖くないよ。前にもしてるし、気持ちよさそうにしてたよ」
「でも、でも……」
「俺は新さんに嘘をつかないし、痛いこともしない。いつもそうでしょ?」
回らない頭で考えて、頷いた。
深谷は嘘をつかないように努力しているように感じる。嘘をつくことになってしまったときは、偽りなく伝えてくれる。触手に掴まれたり押さえ込まれることは多いけど、痛かったことはない。
それにさっきまで自慰に使っていた程度の場所では、深層で燻る熱に届いていなかったことも事実だ。
俺はこの先を知っている。悦楽の種を植え付けられたことがある。それが芽吹く時を待っている。
「俺ももう、新さんのナカに入りたくて限界。これが欲しかったんだよね?」
深谷が体をずらして、俺はそれを見下ろした。
無数の触手はあるけど、彼の生殖器は一本しかない。確かにこの身に受け入れたことのある、とてつもなくグロテスクでえげつない形状のそれ。
これを突き入れられ、最奥を探られると頭がおかしくなるくらい気持ちいいことを俺は知っている。
でもやっぱりちょっと、デカすぎないか。
「これさぁ……もうちょっとサイズダウンさせられないの」
「えっ。急に正気に戻るのやめてくださいよ」
今までの二回とも、俺はこのデカブツを見た瞬間正気に戻っている気がする。
だって凶器だろこんなもん。形状も相まってディルドというより棍棒だ。でこぼこ作ったり釘打ちとかして殺傷能力を高めてあるやつ。
つんと指先でつついたら、びくりと震えてうねった。キモいを通り越して怖い。
これをケツにぶち込まれるとなったら、いくら媚薬を飲まされていても目をハートマークにさせたまま蕩けてなんていられない。
「触手は普段体に仕舞えてるんだから、長さ調節できるんだろ? これもどうにかできないのかよ」
「新さん、興奮状態のチンコ今すぐ縮めろって言われてできます?」
「いやできないけど、俺は人間だし。おまえは人外だからできるんじゃないかなと思って」
「触手にもできないことはあるかと……」
「なんだ。もうちょっと小さくなるなら挿れさせてやってもいいと思ったのに」
「え!」
深谷の瞳がきらりと輝き、満面の笑みが浮かんだ。
「いいんですか! 新さんからのちゃんとした許可……無理矢理じゃなくて……!」
「無理矢理の自覚あったのかよ。するなよそこは」
「新さんが美味しいのが悪いと思います」
「ついに開き直りやがったな……」
会話の最中にも触手は次々に引いていき、拘束が解けた。
すぐ戻ります、と深谷が部屋を飛び出していく。もしかして水でも被るつもりだろうか。それなら縮むかもしれないが……。
そういえばあのグロいイチモツはあれが勃起している状態なんだろうか。生殖器すら触手然と動かすことができるというのはどういう気分なんだろう。そもそもあの数の触手をどうやって動かしているのか。
体を起こして、粘液でドロドロになっている体を見下ろして溜め息を吐く。
意識は比較的クリアだが、腹の奥を炙るような熱が散る気配はない。酒を飲んだときのように胃がかっかしている感覚が近いだろうか。
栓をするものがなくなった後孔の物足りなさを無視して呼吸を整えていると、深谷が戻ってきた。
「お待たせしました!」
「うわっ」
俺は思わずベッドの上で後ずさったが、それも無理からぬことだと思ってほしい。
「見てください! 他の触手全部出したらちょっと縮んだんです!」
深谷は触手を全開にしていた。
かろうじて人型を保っている深谷本体の肌から大量に、長短大小さまざまな触手が突き出している。
俺の視覚への配慮からか体の前面は問題ないが、まるで肌色の壁を背負っているかのごとく後ろが触手だらけだ。肩や腰、腿の裏側までイソギンチャク状態になっている。
ユダヤ教由来の天使には翼が72枚もあるものがいると知って、背中の面積が足りないんじゃないかと思ったものだが、今の深谷は72本どころじゃないほど触手を出している気がする。千手観音に近い。
現実離れした存在が近づいてくるのを冷静に観察してしまった。
本来なら全裸でも裸足でも逃げ出すべきなんだろうが、嬉しそうな顔をしているのがよく見知った男だからか嫌悪感はあまりない。
「これでどうですか、できそうですか?」
深谷の生殖器は萎えていてもサイズが変わらない形状だという。
その代わり不使用時や性感が高まっていない状態では収納されているので、股間はつるつるだ。
なので生殖器が出ているときの存在感は凄まじい。
それを笑顔で見せつけてくる様は、まるですべての下ネタが宝物のようだった小学生男子みたいで微笑ましい。ブツはグロくて幼さとは無縁だが。
「あぁわかったわかった、見せなくていいから。よく頑張ったな」
「はい! 嬉しいなぁ、やっと新さんと合意でできる」
ニコニコしながらベッドに乗り上げてきた深谷に口を開きかけ、結局何も言わずに閉じた。
怠い腕を持ち上げて汗ばんだ髪をがりがり掻く。
顔見知りの男同士が全裸で二人ベッドに座っている。シュールな光景だが、俺は深谷が席を外した時点で逃げ出すこともできたはずだ。
ヤツは俺を丸め込むことはあっても、力づくで言うことを聞かせて事に及んだことはない。説得を聞いてくれるタイプの異形だ。
それをしなかった時点で、もう自分への言い訳すらできない。
ずっと俺だけが深谷に与える側だったのに、俺も深谷から受け取るものがあるのだと知ってしまった。燻る熱を収める相手として、深谷は悪くない相手だと思いはじめてしまった。その対価に多少精気を吸われるくらいなら良いか、と。
ギブアンドテイクの関係性で俺だけが被害者ヅラすることは、もうできない。
「縮んだからって痛くしたら承知しねぇからな」
「えぇ、もちろん。ゆっくりシましょうね」
「……」
いつもより圧が強い触手たちが絶妙な力加減で俺の体を簀巻きにしていく。数が多すぎて絡め取られるというよりは覆われているといった方が正しい。
触手は俺の体を、本体の深谷は俺の顔をがっちり捕まえてキスすることに夢中だ。
「んっ、んむ……やめろよ、キスならさっきもいっぱいしたろうが」
「何言ってるんですか! さっきとは意味合いが違うでしょ、これは合意の証ですよ。永遠に口づけてたいくらいですよ」
「勘弁してくれ」
ぐるぐる巻きになった体では抵抗もできず、口を閉じようとしても触手を噛んでしまい、結果口の中に粘液が放出されて逆効果。
もうどれだけ飲み干したかわからないほど、甘い匂いの液体が腹に落とされる。
「それ、もういらな……水っ腹になっちまう」
「お腹たぷたぷな新さんもかわいい」
「や、ぅんっ、う……ぁ……」
一度は取り戻した明瞭な思考が再び靄の向こうに消えていく。
替わりにやってきたのは心地よい官能と肉欲の疼きだった。
性感帯を同時に愛撫されて、自由に身動きもできない。背徳的な快楽に今だけは抗わない。
深谷のそそり立つモノは、一回り小さくなった。
人間サイズかと言われれば微妙だし、形状は変わっていないが、より市販のディルドに寄ったデザインになったという印象だ。それはそれで複雑な気持ちになるが、バケモノサイズのアレを挿れられるよりマシだろう。
あのデカいのを何度もぶち込まれたら尻穴が閉じなくなってしまうのではないかと恐れたことは、本人に言う必要はない。
「いいんですよね? 新さん、挿れていい?」
「……うん」
頷いたと同時に唇に噛みつかれ、下の口ではヤツの生殖器が侵入を開始した。
粘液のおかげで痛くはないが圧迫感は健在だ。
さっきまで入れられていた細い触手とも、俺愛用のアナニーグッズとも違う。
細くなっても凶悪な突起は変わらず、健気に広がって生殖器を呑み込んでいる入り口をごりごりと刺激しながら、奥を目指して押し込まれた。
「ん、ん! んぅ……ぁ、ああっ!」
敏感な箇所を押し潰すように這入り込まれ、俺は身悶えたが逃げられない。
快感を受け流すこともできず絶頂に押し上げられ、精を放った。すぐさま触手がそれを啜っていく。
「もう中イキはばっちりできるようになりましたね、新さん。エロくて最高」
「ふ、ぅ……俺は、最悪の気分だ……っ」
「またまたぁ、気持ちよそうにしてるくせに。次は出さずにイってみましょうね」
「……?」
出さずにって、精液のことか?
そんなの無理に決まってる。男は皆出して終わる生き物のはずだ。
ポカンとする俺に深谷は呆れたような顔をした。
「何言ってるんですか、前に一度できてましたよ、ドライ」
「そんなの知らな……っ、ぁふ、う……」
「ドライなら何回でもイけるらしいですから、癖付けしましょっか。コレで」
目の前にぬっと現れた触手は、今までになく細い先端を持っていた。肌色でなければ麺類のような印象を持ったかもしれない。
それが向かったのは、俺の股間だ。
尻の狭間には極太の棍棒が突き刺さっているが、その手前は不思議と空いていた。涙に滲む視界で、極細触手が目指す先に気づいて俺は叫ぶ。
「待て待て、それ絶対ヤバ、ぁ、あ!」
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