18 / 21
18.一年後
しおりを挟む
見上げた先にある桜の枝が、黄緑色の新芽を吹きはじめているのに目を細める。
ぼくが響己さんのおうちに身を寄せるようになって、一年が経った。
彼と出会ったあの日も、こんな春めいていた。
「ぼく今日ちょっと遅くなります」
「わかった。気をつけてね」
「響己さんこそ。いってらっしゃい」
「いってきます」
ふんわり抱き寄せられて、触れるだけのキスをする。
出かける前のいつものこれは、し忘れると体がむずむずするようになってしまったくらい日常だ。
響己さんが出かけたらしばらくあとにぼくも家を出る。それまでにお掃除とお洗濯、水回りのお片付けはとくに念入りに。
それから家を出て、マンションの駐車場に停めてある自転車にまたがる。
響己さんは自転車通勤なんて危ないと反対したけれど、この辺の道は自転車専用レーンが整備されているところが多いし、ヘルメットを被れば大丈夫だからと説得した。今のところ危ない目にはあってはいない。
なにより風を切って走るのが楽しい。運動にもなる。
「おはようございます」
「おはよう御影くん。今日もよろしく」
「よろしくお願いします!」
ぼくは下村店長のカフェではたらきはじめた。
ここでも響己さんが色々言うので、週三回、ランチタイムが終わるまでの4時間だけの勤務。そのあとは長島オーナーと下村店長が主宰するオメガ支援活動の方に合流する。
といってもぼくはまだ下っ端だから、支援者さんからもらった物資を仕分けしたり、名簿を作って整理したりと大したことはできてない。
でも事務作業の能力を活かすことができるのは楽しい。お店の子たちが苦手だからと、代わりに請け負っていた経験がこんなところで役立った。
「御影くん、そろそろ上がっていいよ」
「はーい、おつかれさまでした」
重いダンボール箱を定位置に置いて息をつく。
今日はこれから行くところがある。自転車で目的地へ向かう。
ついた建物は、前後で二つに分かれたような形が特徴的な、三角お屋根のおうちだ。
「先生、こんにちは」
「御影ちゃん、いらっしゃい」
にこにこ笑顔で迎えてくれたのは、以前ぼくを診察してくれたおばあちゃん先生。
あとから聞いた話によると、実際に響己さんの母方の祖母らしい。
響己さんのおばあちゃんに体を診てもらうのは少し恥ずかしかったけど、今ではこの先生に頼りきりなぼくがいる。
「やっぱりまだ来ないかい?」
「はい……」
「うーん、困ったわねぇ。あなたの体には薬は使いたくないし……」
お手製の体温測定グラフを前に、ふたりしてうなる。
ぼくは三ヶ月ほど前から先生にあることを相談している。
「御影ちゃん、発情期がないオメガもいないわけじゃないのよ?」
「でもぼく、響己さんのつがいに、ちゃんとなりたいんです」
「そうよね、それなのよねぇ」
ぼくの発情期はいまだ来ない。
響己さんのおうちに来てから、一度も来ていない。
毎日体温を測っているのに前兆が見られなくて、すがるような思いで探したオメガ専門のお医者さんが、まさかのおばあちゃん先生だったんだ。世間って狭い。
長い間、薬で無理やり発情状態にされていたことの後遺症だというのが先生の考えだ。ぼくもそう思うし、たぶん響己さんもわかっている。
だからこそぼくは薬頼みじゃない、ちゃんとした発情をむかえて、響己さんにうなじを噛んでもらいたい。
でも薬を使わないでそれを自然に待つのはとても難しい。現にぼくはまだ発情期の気配もなく、近頃はつがいの話を出すことも避けるくらい、響己さんに申し訳なくてたまらない。
「前回出した栄養剤をもう一度渡すわね。御影ちゃん、もどかしいだろうけど、焦らずやっていきましょうね」
「はい、よろしくお願いします」
「まぁあなたには響己ちゃんがいるし、あの子も辛抱強いからどうとでもなると思うけれど……そうだ、響己ちゃんに協力してもらうのはどうかしら」
「響己さんに?」
おばあちゃん先生はすごいスピードでカルテ用のパソコンを操作し始めた。おばあちゃん先生はパソコンもスマホもばっちり使いこなせるすごい先生なのだ。
先生が探し出したのは論文で、そこには「アルファの影響で発情期が起こる」という仮説の検証結果が書かれているという。
「アルファからもフェロモンが出ていることは知っているわね? アルファのフェロモンは意識的に放出することができるらしいの。それを段階的に強めていって、埋もれてしまったオメガの発情期のきっかけにする、ということね」
「そんな方法があるんですか……」
「まったく効果がない人もいるし、アルファとの相性、アルファが放出できるフェロモンの量なども関係するというけれど、やってみる価値はあると思わない?」
ぼくは何度もうなずいた。
結局響己さんをわずらわせてしまうけれど、それで発情期が来るなら、きっと響己さんも喜んでくれる。
なにより、ぼくが。
(ひびきさんのつがいに、ちゃんとなれるかも……)
先走る気持ちをぐっと抑えて、先生にお礼を言ってお代を払って、薬をもらう。これはいわゆるサプリメント程度の効果しかない薬らしい。
それから医院の奥にあるおばあちゃん先生のおうちでちょっとだけお茶した。
大正時代に作られた建物をそのまま病院につかっている前半分と違って、住居部分の後ろ半分は近代的なおうちだ。響己さんの実家ということになるのだろうか、と思うと毎回ちょっとどきどきする。
「響己ちゃんは相変わらずかしら?」
「はい、元気です。でも今はちょっとお仕事忙しいみたいです」
「そうなのね。あの子は若いし、たまに顔だしてくれるからいいのだけど、あの子の親がねぇ……ちっとも連絡寄越さないから」
それからはおばあちゃん先生の愚痴や近況報告や、いつでもあの世にいけるという冗談を笑って否定して緑茶をいただく。
先生の淹れるお茶はお茶屋さんから直接買い付ける茶葉だとかで、とても美味しい。
「じゃあね、御影ちゃん。お大事に」
「ありがとうございました先生」
おばあちゃん先生と別れ、自転車でおうちに帰る。
玄関を開けると電気がついていて、ぼくは駆け出した。
「ただいまっ」
「おかえり御影。わっ」
「響己さん! フェロモン出して!」
「えっ」
ソファでコーヒーを飲んでいた響己さんの膝の上に乗ってそんなことをねだるのは、後から考えたらはしたなくて恥ずかしかったけれど、そのときは必死で気づかなかった。
目を丸くする響己さんにはっとして、そろりそろりと膝からおりる。
横に座り直すと髪をなでられて、順序立てて話すよううながされた。
「なるほど、アルファのフェロモンが……たしかにそういう話は聞くね」
「そうなんですか?」
「うん。アルファというのは他のバースの人たちにとって、ある種劇薬のようなところがある。番契約でオメガを縛ることもそうだし、身近にアルファがいるオメガは初めての発情期を迎えるのが早い傾向があるという。オメガの因子を持つアルファやベータをオメガに変える、なんて話もあるね」
「アルファを、オメガに? そんなことが……」
「最後のは都市伝説と言われているけど、個人的にはない話じゃないと思っているよ」
アルファとオメガの序列は絶対的なものだ。アルファがオメガを噛んで、支配下におく。
それが崩れてしまうとしたら、そのアルファはどう思うのだろう。
「さて、フェロモンだったね。それにしても御影がそんなに発情期を待ち望んでいたとは思わなかったよ」
ぼくの少し伸びた髪でくるくると指を遊ばせる響己さんは、本当に全然気にしていなさそうで。
「だって発情期じゃないと、つがいになれないから……響己さんはぼくのことつがいにするの、もうやめちゃう?」
「まさか」
髪に触れていた手が後頭部をつつみこんで、ぐっと押される。触れ合った唇が開かされてより深くまで届き、呼吸ごと奪われるキスに酔う。
「誰よりも渇望していたよ、御影が発情するのを。ただ、大切にしたいと思っていた。先生が御影になるべく薬を渡したくないと思うのと同じことだよ」
「……うん」
「おいで。本当に発情が引き起こされるなら、寝室のほうがいい」
響己さんはいつだってぼくの手を引いて寝室のドアを開ける。
いつでも逃げられる、拒絶できるゆるい命令を、ぼくはいつだって嬉しく受け入れるんだ。
ぼくが響己さんのおうちに身を寄せるようになって、一年が経った。
彼と出会ったあの日も、こんな春めいていた。
「ぼく今日ちょっと遅くなります」
「わかった。気をつけてね」
「響己さんこそ。いってらっしゃい」
「いってきます」
ふんわり抱き寄せられて、触れるだけのキスをする。
出かける前のいつものこれは、し忘れると体がむずむずするようになってしまったくらい日常だ。
響己さんが出かけたらしばらくあとにぼくも家を出る。それまでにお掃除とお洗濯、水回りのお片付けはとくに念入りに。
それから家を出て、マンションの駐車場に停めてある自転車にまたがる。
響己さんは自転車通勤なんて危ないと反対したけれど、この辺の道は自転車専用レーンが整備されているところが多いし、ヘルメットを被れば大丈夫だからと説得した。今のところ危ない目にはあってはいない。
なにより風を切って走るのが楽しい。運動にもなる。
「おはようございます」
「おはよう御影くん。今日もよろしく」
「よろしくお願いします!」
ぼくは下村店長のカフェではたらきはじめた。
ここでも響己さんが色々言うので、週三回、ランチタイムが終わるまでの4時間だけの勤務。そのあとは長島オーナーと下村店長が主宰するオメガ支援活動の方に合流する。
といってもぼくはまだ下っ端だから、支援者さんからもらった物資を仕分けしたり、名簿を作って整理したりと大したことはできてない。
でも事務作業の能力を活かすことができるのは楽しい。お店の子たちが苦手だからと、代わりに請け負っていた経験がこんなところで役立った。
「御影くん、そろそろ上がっていいよ」
「はーい、おつかれさまでした」
重いダンボール箱を定位置に置いて息をつく。
今日はこれから行くところがある。自転車で目的地へ向かう。
ついた建物は、前後で二つに分かれたような形が特徴的な、三角お屋根のおうちだ。
「先生、こんにちは」
「御影ちゃん、いらっしゃい」
にこにこ笑顔で迎えてくれたのは、以前ぼくを診察してくれたおばあちゃん先生。
あとから聞いた話によると、実際に響己さんの母方の祖母らしい。
響己さんのおばあちゃんに体を診てもらうのは少し恥ずかしかったけど、今ではこの先生に頼りきりなぼくがいる。
「やっぱりまだ来ないかい?」
「はい……」
「うーん、困ったわねぇ。あなたの体には薬は使いたくないし……」
お手製の体温測定グラフを前に、ふたりしてうなる。
ぼくは三ヶ月ほど前から先生にあることを相談している。
「御影ちゃん、発情期がないオメガもいないわけじゃないのよ?」
「でもぼく、響己さんのつがいに、ちゃんとなりたいんです」
「そうよね、それなのよねぇ」
ぼくの発情期はいまだ来ない。
響己さんのおうちに来てから、一度も来ていない。
毎日体温を測っているのに前兆が見られなくて、すがるような思いで探したオメガ専門のお医者さんが、まさかのおばあちゃん先生だったんだ。世間って狭い。
長い間、薬で無理やり発情状態にされていたことの後遺症だというのが先生の考えだ。ぼくもそう思うし、たぶん響己さんもわかっている。
だからこそぼくは薬頼みじゃない、ちゃんとした発情をむかえて、響己さんにうなじを噛んでもらいたい。
でも薬を使わないでそれを自然に待つのはとても難しい。現にぼくはまだ発情期の気配もなく、近頃はつがいの話を出すことも避けるくらい、響己さんに申し訳なくてたまらない。
「前回出した栄養剤をもう一度渡すわね。御影ちゃん、もどかしいだろうけど、焦らずやっていきましょうね」
「はい、よろしくお願いします」
「まぁあなたには響己ちゃんがいるし、あの子も辛抱強いからどうとでもなると思うけれど……そうだ、響己ちゃんに協力してもらうのはどうかしら」
「響己さんに?」
おばあちゃん先生はすごいスピードでカルテ用のパソコンを操作し始めた。おばあちゃん先生はパソコンもスマホもばっちり使いこなせるすごい先生なのだ。
先生が探し出したのは論文で、そこには「アルファの影響で発情期が起こる」という仮説の検証結果が書かれているという。
「アルファからもフェロモンが出ていることは知っているわね? アルファのフェロモンは意識的に放出することができるらしいの。それを段階的に強めていって、埋もれてしまったオメガの発情期のきっかけにする、ということね」
「そんな方法があるんですか……」
「まったく効果がない人もいるし、アルファとの相性、アルファが放出できるフェロモンの量なども関係するというけれど、やってみる価値はあると思わない?」
ぼくは何度もうなずいた。
結局響己さんをわずらわせてしまうけれど、それで発情期が来るなら、きっと響己さんも喜んでくれる。
なにより、ぼくが。
(ひびきさんのつがいに、ちゃんとなれるかも……)
先走る気持ちをぐっと抑えて、先生にお礼を言ってお代を払って、薬をもらう。これはいわゆるサプリメント程度の効果しかない薬らしい。
それから医院の奥にあるおばあちゃん先生のおうちでちょっとだけお茶した。
大正時代に作られた建物をそのまま病院につかっている前半分と違って、住居部分の後ろ半分は近代的なおうちだ。響己さんの実家ということになるのだろうか、と思うと毎回ちょっとどきどきする。
「響己ちゃんは相変わらずかしら?」
「はい、元気です。でも今はちょっとお仕事忙しいみたいです」
「そうなのね。あの子は若いし、たまに顔だしてくれるからいいのだけど、あの子の親がねぇ……ちっとも連絡寄越さないから」
それからはおばあちゃん先生の愚痴や近況報告や、いつでもあの世にいけるという冗談を笑って否定して緑茶をいただく。
先生の淹れるお茶はお茶屋さんから直接買い付ける茶葉だとかで、とても美味しい。
「じゃあね、御影ちゃん。お大事に」
「ありがとうございました先生」
おばあちゃん先生と別れ、自転車でおうちに帰る。
玄関を開けると電気がついていて、ぼくは駆け出した。
「ただいまっ」
「おかえり御影。わっ」
「響己さん! フェロモン出して!」
「えっ」
ソファでコーヒーを飲んでいた響己さんの膝の上に乗ってそんなことをねだるのは、後から考えたらはしたなくて恥ずかしかったけれど、そのときは必死で気づかなかった。
目を丸くする響己さんにはっとして、そろりそろりと膝からおりる。
横に座り直すと髪をなでられて、順序立てて話すよううながされた。
「なるほど、アルファのフェロモンが……たしかにそういう話は聞くね」
「そうなんですか?」
「うん。アルファというのは他のバースの人たちにとって、ある種劇薬のようなところがある。番契約でオメガを縛ることもそうだし、身近にアルファがいるオメガは初めての発情期を迎えるのが早い傾向があるという。オメガの因子を持つアルファやベータをオメガに変える、なんて話もあるね」
「アルファを、オメガに? そんなことが……」
「最後のは都市伝説と言われているけど、個人的にはない話じゃないと思っているよ」
アルファとオメガの序列は絶対的なものだ。アルファがオメガを噛んで、支配下におく。
それが崩れてしまうとしたら、そのアルファはどう思うのだろう。
「さて、フェロモンだったね。それにしても御影がそんなに発情期を待ち望んでいたとは思わなかったよ」
ぼくの少し伸びた髪でくるくると指を遊ばせる響己さんは、本当に全然気にしていなさそうで。
「だって発情期じゃないと、つがいになれないから……響己さんはぼくのことつがいにするの、もうやめちゃう?」
「まさか」
髪に触れていた手が後頭部をつつみこんで、ぐっと押される。触れ合った唇が開かされてより深くまで届き、呼吸ごと奪われるキスに酔う。
「誰よりも渇望していたよ、御影が発情するのを。ただ、大切にしたいと思っていた。先生が御影になるべく薬を渡したくないと思うのと同じことだよ」
「……うん」
「おいで。本当に発情が引き起こされるなら、寝室のほうがいい」
響己さんはいつだってぼくの手を引いて寝室のドアを開ける。
いつでも逃げられる、拒絶できるゆるい命令を、ぼくはいつだって嬉しく受け入れるんだ。
17
[気持ちを送る]
感想メッセージもこちらから!
お気に入りに追加
913
あなたにおすすめの小説
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
花婿候補は冴えないαでした
いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。
本番なしなのもたまにはと思って書いてみました!
※pixivに同様の作品を掲載しています
婚約破棄?しませんよ、そんなもの
おしゃべりマドレーヌ
BL
王太子の卒業パーティーで、王太子・フェリクスと婚約をしていた、侯爵家のアンリは突然「婚約を破棄する」と言い渡される。どうやら真実の愛を見つけたらしいが、それにアンリは「しませんよ、そんなもの」と返す。
アンリと婚約破棄をしないほうが良い理由は山ほどある。
けれどアンリは段々と、そんなメリット・デメリットを考えるよりも、フェリクスが幸せになるほうが良いと考えるようになり……
「………………それなら、こうしましょう。私が、第一王妃になって仕事をこなします。彼女には、第二王妃になって頂いて、貴方は彼女と暮らすのです」
それでフェリクスが幸せになるなら、それが良い。
<嚙み痕で愛を語るシリーズというシリーズで書いていきます/これはスピンオフのような話です>
出世したいので愛は要りません
ふじの
BL
オメガのガブリエルはオメガらしい人生を歩む事が不満だった。出世を目論みオメガ初の官僚としてバリバリと働いていたは良いものの、些細な事で体調を崩す様になってしまう。それがきっかけで五年程前に利害の一致から愛の無い結婚をしたアルファである夫、フェリックスとの関係性が徐々に変わっていくのだった。
既成事実さえあれば大丈夫
ふじの
BL
名家出身のオメガであるサミュエルは、第三王子に婚約を一方的に破棄された。名家とはいえ貧乏な家のためにも新しく誰かと番う必要がある。だがサミュエルは行き遅れなので、もはや選んでいる立場ではない。そうだ、既成事実さえあればどこかに嫁げるだろう。そう考えたサミュエルは、ヒート誘発薬を持って夜会に乗り込んだ。そこで出会った美丈夫のアルファ、ハリムと意気投合したが───。
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
αからΩになった俺が幸せを掴むまで
なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。
10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。
義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。
アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。
義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が…
義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。
そんな海里が本当の幸せを掴むまで…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる