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番外 十三 教会と聖女編
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しおりを挟む無計画に増築したステーションであるイーストシティ駅には、地下廃線も残っており、何度か駅舎の取り壊し計画も持ち上がりつつ、その歴史的建造物価値保全によって現在まで解体を免れている。
この名物駅の非常にわかりにくい通りに、バーの入り口があった。
カメリアルーム・アンド・バー。
周辺の壁に溶け込むようにして開いている階段の入り口を二階へ上がると、鉄扉の奥にある隠れ家的なバーである。
ステンドグラスに彩光を落とした店内はムーディで、奥に黒金庫入りの暖炉をしつらえ、漆喰の壁に駅舎を思わせる歴史的な内装となっている。
カウンター席のハイチェアに、人間離れした毒々しい色気の男性と、完全に硬直して半ば呼吸の止まっているこげ茶の髪の女性が座っていた。
男性は白スーツの着衣で、あげた黒髪が白皙の額に一筋二筋と計算したようにかかっており、目元には笑いじわのようなものもある。年齢不詳に見えて、壮年ではあるらしい。
白スーツ、通称テオドールのお父さんだ。
一方、黒磨きされた木目に顔のうつりそうなカウンターの内側には、若いバーテンダーが立っていた。ワイシャツに蝶ネクタイ、ベストを身につけ、サロンを腰に巻いている。これらは店から支給されたものだ。このバーテンダーは、一日アルバイトのダリオである。現在彼は、お父さんとこげ茶髪の女性――アリアラエルの完全専属バーテンダーと化していた。
なにしろ、一杯飲みに訪れている客という客たちは息をひそめ、誰も新たに注文しようとしない。商売あがったりではなかろうか。
白スーツは呑気に、「そういえばジャック・アンド・コーというのが飲んでみたい」と言っている。
金持ってんのかな、とアルバイトバーテンダーのダリオは謎に思いながら、注文されたカクテルを作り始めた。時給のよい夜間アルバイトで、バーテンダー系の仕事にはそこそこ慣れている。
なお、ジャック・アンド・コーは、連邦を代表する有名ウィスキーブランドの『ジャック・ドニー』を、炭酸飲料の『コーカ』で割ったシンプルな酒である。スモーキーな風味に喉を抜ける爽快で絶妙な味わいから、世界中で親しまれているバーカクテルだ。
ダリオがカクテルを出すと、白スーツは嬉しそうに観察している。
「ずいぶんご機嫌ですね」
「ああ。本来『周期』ではなかったんだが、君たちの件で『花』が会いにきてくれたからね」
周期とはなんだろう。文脈を察するに、定期的に顔を合わせているということだろうか。白スーツの『花』である絵画の男ことランナーの口調が思い出されたが、恐らく白スーツに対する言及において、あまり激しい憎悪を感じなかった。時間経過でそれなりに関係は落ち着いているのかもしれない。
「酒でも飲まないとやっていられないと言って、これを飲んでいた」
それ普通に嫌がられているだけじゃないですかね……とダリオは思ったが、先ほどから青い顔をしているアリアラエルには水を出しておいた。
「その、娘さんの件なんですけど、なんでまた『概念書き換えの腕輪』をエルダーに協力要請して? テオに?」
「うん、言ったじゃないか。お兄ちゃん子なんだろう」
言われたが、腕輪でお兄ちゃんを支配する因果関係がわからな過ぎる。ダリオの微妙な表情を読んだわけでもあるまいが、機嫌のいい白スーツは説明をしてくれた。
「彼女は発生したものの、まだ肉体は生まれていない」
「はぁ」
どういう状態かわかりかねる。テオドールが以前、生まれたばかりだという割に、意識自体はそれよりずっと以前に発生していたから、年下でも問題ないと主張していたあれと同じなのだろうか。つまり、テオドールの妹は、意識だけ動き回っている。
「その理解でいい」
「俺の心を読まないで頂けます?」
既視感のある会話だ。
「いわば君たちで言うと、魂のみの状態というのかな。情報だけ抜け出して、こちらの世界に干渉を試みている。ただ、実体はないので、依りつく先は必要なようでね」
「依りつく先……」
「今は、お兄ちゃんと一緒に行動中の人間に寄生している。概念書き換えで、その人間を『花』と誤認させているようだ」
「あーたぶん、ナサニエル・ヘルシング氏ですね。というか、『花』って……ナサニエルさんを誤認状態? なんですか? 娘さんにとって、彼を『花』と誤認させるメリットがわからないんですが、なんでまた」
「うん、そうだねェ。恐らく取引したんじゃないかな」
白スーツはグラスを持つと、興味津々といった風にジャック・アンド・コーの匂いを確かめている。完全にカブトムシをつついている幼児状態だ。
「取引?」
「『花』に対する我々の習性を利用したかったんじゃないかなァ。まぁ、しかし、君が無事なところを見ると、うまくいとくも限らなそうだが」
「俺が無事なのがなんなんです?」
「うーん、僕なら、自分の『花』にまとわりつく輩がいたら、殺すなァ」
「あ、はい。理解しました。でも、テオは元々そんなに……言い聞かせたら納得はしないですし、つめてきますし、あ、いや、殺されててもおかしくねーな」
ダリオは謎にフォローしようとしてフォローにならなかった。
「といっても、俺のことは全然覚えてなさそうだったんですが、それとも記憶はあるんですか?」
「いや。初期化されてるはずだね」
「初期化? って、俺と会ったばっかりの頃の状態で、ナサニエルさんを認識しているってことです?」
「まあ、近いようでそうでもないかもしれないねェ。もとに戻ってから、どういう状態だったのか本人に聞いてみなさい」
「……もとにもどすにはどうすれば?」
白スーツは、ぐ、とカウンターに身を寄せた。
「協力しよう。ただ、取引してもらおうかな」
笑っている。
三日月に弧を描いているが、ダリオのことはなんとも思っていないのが明らかな目だ。
だが、別にテオドールの父親だからって、仲良くする必要もないし、DV親父だしな、とダリオは無表情に頷いた。
ダリオは白スーツとの取引を了承し、打ち合わせしてから、臨時アルバイトを終えて帰宅した。
下手したら俺死ぬんじゃね? と思ったが、まあ多分なんとかなるだろう。
実のところ、ダリオはどうにも現実感がない。いや、現実だとは理解しているが、どういうわけか、やたら楽観視するような気分が続いている。
館もいつまでいられるかわからないから、引っ越し費用貯めておかないとな、と切り替えている反面、追い出されたら追い出されたでなんとかなるだろ、と思っている。
元々ここまで楽観視は強くなかったのだが、恐らくテオドールのせいだろう。心理的安全ホームを持つというのは、それまでの自分と全然違って来るものなんだなと現在進行形で実感させられていた。
テオドールが初期化されようがどうしようが、ふたりで過ごした事実がなくなるわけではない。そこに根差した強固な心理的安全が、ダリオの楽観視に強く寄与しているのだった。
(大体、目、合ったしなあ)
そこからして、多少はその辺の昆虫よりは、少し認識に引っかかるくらいはあるんじゃないか? と思いたい。
(偶然かもしれんが、別に思うのは勝手だろ)
ダリオは坂を上り切って、館の扉を開けた。
テオドールが管理していないせいか、玄関ホールと廊下以外、自動で明かりがつくこともない。ダリオ自身が点灯して回らないと館の各部屋は真っ暗である。
なんかこう、人感センサーとかじゃなくて、わけのわからん動力で自動点灯してたんだな……としみじみ感じるダリオだ。
外観以上に広い館の中は、騙し絵のようなところがあり、廊下の入り口から、また奥の入り口に同じ廊下が続いて、更に奥の入り口にまた同じ廊下がといった具合に無限に広がっているような光景も多々あった。
なので、ダリオは基本的に、居間、応接室、キッチン、主寝室、自分の部屋など決まったところしか行かないようにしている。
(特に今は、迷子になってもテオドールが探しに来てくれねーしな……)
廊下の動く絵画と目を合わせないよう慎重に進み、居間の明かりを点灯する。は、と嘆息し、肩越しに振り返ったダリオは、そのまま凍り付いた。
当のテオドールがいたからである。
「?!?!?」
ハイブランドスーツを着た人外の美しい青年は、当たり前のようにソファの側に佇んでいた。相変わらず表情というものがなく、ぞっとするほどの美貌もあいまって、その姿はどこか精緻な彫像めいて見える。
ダリオは混乱した。ふつうに怖い。なんで暗闇の中で佇んでいたんだ。というか、いつからそこにいた。
(え、記憶、戻ったのか?)
混乱の次に訪れた喜びは、彼の目をみて、あ、戻ってねーなと塩をかけられたナメクジのようにしおしおと消滅した。同時に既視感を覚える。テオドールと最初にコンタクトを取った時も、この青年は不法侵入してきて、ダリオに不信感を植え付けたのである。あの時とダリオの心情は違うが、初期化で記憶を失くして以降、一番にやったのがまた不法侵入とは、そのへん魂にでも刻まれているのだろうか。
(……まあ今回は、テオが用意した館だが……)
こちらを見つめるテオドールがしゃべらないので、刺激しないようにゆっくりと体ごと振り返る。ダリオの方から注意深く声をかけた。
「あー……ええと、何か用か?」
不法侵入認識ある? と聞きたかったが、さすがに自重する。
「ナサニエルさんに、殺してこいとか言われて来たか?」
ダリオの慎重さというのは、まったく役に立たない代物だった。尋ねた内容は、火の玉ストレート剛速球である。
(いやどうせ、殺しに来てたら、どうあがいても殺されるしな……)
これでダリオは殺される気はないのだ。しかし、その気がなくても知らない内に殺されるのはもっと困る。
「君、俺の話聞いてるか? あ、俺はダリオというんだけど、ここに来たってことは知ってるのか?」
通じてんのかこれ? 状態に、テオドールは人形のようで、一言も言葉を発さない。ただ、ダリオを無感動に凝視している。
「ちなみに、殺さないでくれると助かるんだが。まだ死にたくない」
これは本心だ。テオドールに殺されるのは百歩譲って許容できても、あとからテオドールが水饅頭のヒトデ形態になるレベルの心的外傷を負う……のかはわからないが、ショックを受けるのはとても困るし嫌だった。
言いあぐねていると、無表情なテオドールがようやく口を開いた。
「殺しに来たわけではありません」
あ、そうなんだ……とダリオは真実安心した。テオドールのマジレスは恐らく健在だろう。少し肩の力を抜いて、ダリオから質問する。
「そうか。それは助かった。じゃあなんだ?」
テオドールは再び彫像のようになってしまった。これは無視しているのではなく、深く思案しているらしい。
「気になったので」
やっと口にしたのがこの一言だ。
ダリオの方が面食らった。
ナサニエルと同行している際など、こちらには無関心さを発揮されていたので、認識されているのかも危ういとすら思っていた。しかし、「気になった」程度には引っかかっていたらしい。
これ話長引くかな、とダリオはテオドールの父親とした取引の一部について考えた。
つまり、なんでもいいから、ダリオがテオドールを引き留めろという無茶ぶりについてである。冷静に考えると、現状では無理だろう、死ぬんじゃないのと理性は言うのだが、なんとなく楽観視部分がまあなんとかなるだろうと言うので、どうするかなと考えていたらこれだ。
チャンスといえばチャンスなので、話を長引かせてここに少しでも引き留める。何か言おうとする前に、テオドールから質問された。
「父と親しいのですか?」
「ああ、まあ」
別に親しくない。ダリオの濁した回答に、テオドールはおとがいを少し傾け、視線を上げた。
「——この館からは、支配者のけはいがします」
それはお前だとダリオは呑み込んだ。
なるほど、お父さんと接触したのをなんらか察して、確認しに来たのか? とダリオは納得した。しかし、テオドールはこんなに喋らないものだっただろうか。邂逅当初は頼まれてもいないのに、ぺらぺらとよく回る舌で、自己アピールが凄かった。後から考えると、あれでテオドールも関係を構築しようと、張り切っていたぽいよな、という感想になる。そうか、張り切っていたか、としみじみ可愛らしく、胸がキュンとまでするあたり、恋愛補正こえーな我ながらと思うなどあった。あの時は完全に不法侵入だったのである。それも、ダリオが『花』でないと、こんな口数の少なくなるものなのだろうか。そこまで考えて、いや、と違和感を覚える。テオドールが無口になるパターンが思い出された。
「違ってたらすまないんだが、なんか困ってるのか?」
それは経験蓄積的な感覚だった。テオドールはいつもの無表情より壁が感じられるが、どうにも困っているように見えた。困っていると、テオドールは考え込むあまり無口になる。
テオドールが困っているなら力になりたい。殺されるかもとか、忘れられてるとか、一瞬どうでもよくなって、ダリオはどうしたんだ? と顔を覗き込みたくて仕方なくなった。
人外の青年はしばらく口をつぐんで、ダリオが傾聴する姿勢であるのに、少し冷たいような張りつめた空気が弛緩した。
「……気になって」
同じようなことを言う。完全無視していた割に、意識していたらしいのがわかって、脱力していいのか、可愛いと思っていいのか、ダリオも困ってしまった。惚れた欲目なのか、もう九割可愛い。大体、ダリオはもうテオドールには何をされてもいいと思ってしまっている。恐らく楽観視はそこから来ていて、よくないなとブレーキをかけているのは、テオドールが後からショック受けたら困るというその一点なので、割とダリオも感覚が酷い。
「そうか。あー、その、俺が君らの言う『花』ではないのに、気になるから困っているのか?」
父親と親しいか聞いてくるくらいなので、ダリオの方から『花』について質問した。だが、テオドールは即座に、
「いえ」
と否定した。違うらしい。じゃあ何なのだ。
「困ってるなら、俺でよければ力になるが、どうしたいんだ?」
ダリオの声は、自分でも驚くくらいやさしいものになった。現在はそういう距離感ではないはずなのに、かえって警戒されるのではと内心焦ったが、勝手に声がそうなってしまったのだ。
(あーもうしょうがねーだろ、俺、テオを喜ばせたいし、困ってたらなんでも力になりたい……)
それは、テオドールがダリオを以前のように愛してくれなくても、記憶があろうとなかろうと、彼が彼たる部分に変わりを感じなければ、同じことだった。ダリオにとって、テオドールを愛するということは、この青年が自分にとって都合がよかろうが悪かろうが、すべてひっくるめて彼なのだと受け止め、彼が困ったり概念的にひもじい思いをしたりしないよう行動することだ。相手の幸せを願うことが、ダリオにとって、愛するということだった。
最悪、もうテオドールが自分を愛してくれなくてもいい。本当は嫌だが、この青年が幸福に生きられるなら、別にそれでいい。自分の楽観視の正体を知って、ダリオは苦笑してしまった。だから、テオドールが困っているように見えて、見過ごせなくなってしまったのだ。それは、ダリオ自身が辛いことより、なお解決したい問題だった。
テオドールはダリオを見つめた。やがて、彼の右手が持ち上がり、迷うように空を握る。
目も迷っていた。
しばらく沈黙し、この人外の青年は、どこか恐れるように口にしたのである。
「……触っても、」
よろしいでしょうか、まで言いきれていない。以前のテオドールならきちんと言うのだが、口にしていいのか、関係性からそれが適切なのかわからずといった感じだ。今のふたりだと、距離感が非常に遠いためだろう。
ダリオの方は否やもない。
「どうぞ」
これじゃたぶんわかんねーよな、今のテオだと、と言い直す。
「痛くしないなら。好きなところ全部触っていいぞ」
テオドールは、ダリオの感覚で見ると、文字通り眼を丸くした。
戸惑うような足取りで覚束なく見え、ダリオの方からすたすた近寄って、どうぞ、と両手を広げた。犬に自ら触るのではなく、犬が触れてくるのを待つスタイルである。
この青年は無表情に、しかしおずおずとダリオの方に指先を伸ばした。まるで猫が見慣れぬものを前肢でつつくように、ダリオの手の甲に触れる。そして、それこそ熱い炎か何かに触れたよう、指先をすぐに引っ込めた。ダリオは黙ってそれを見ている。今度は慎重にもう一度手の甲に触れ、また火に触れたように離したが、先程よりはちょくちょく触れてきて、大丈夫か試しているようだ。俺は危険物か何かか、とテオドールの慎重ぶりが目新しい。急に動くと驚かすかと思い、ダリオは努めて身動きしなかった。テオドールは段々慣れてきたのか、手の甲だけでなく、腕や肩にも触れてくる。ひとりよがりでもなく、ダリオのようすをたびたび見て、嫌がっていないか確認しては、触る場所を増やしているようだ。次第に腰や顔など、触れてくるところがセンシティブな場所へと拡大してくる。テオドールは何か確認しているようだった。ダリオはじっと動かないのが難しくなってくる。テオドールの触れ方は遠慮がなくなってきて、愛撫というより、本人も不明の何かを必死に探し当てようとしているかに思えた。顔の部位でも、唇に親指が触れてきた時は、さすがに焦った。ダリオが嫌がらないのを確かめてから、人差し指が触れてくる。次は人差し指と中指が上くちびるを、薬指が更に、何度もなぞってきて、指でキスされている。たまらなくなって唇を開くと、またダリオが嫌がっていないか目を見てきて、親指が口の中に入ってきた。舌先を親指の腹が押さえ、指紋をざらざらと擦るようにする。親指が出て行き、ダリオが唾液で舌を湿らせると、今度は人差し指と中指が入ってきた。2本指はダリオの舌先を挟むと、擦り立てては表面をなぞり、はっきり愛撫の様相をていしてくる。明らかにこの青年は興奮しているようだった。ダリオは足が、がくがくとしてきて、さすがにテオドールの肩にすがった。指を引き抜かれた時にはもう、すっかりできあがっていた。
「き、きす……キス、しないの……か……」
涙でぼやける視界に、テオドールが驚くけはいがする。
「キス……?」
そんな手があったかと、真面目に驚く声音だった。思い付かなくて、指でダリオの口の中を蹂躙していたらしい。むしろ、この初期化状態で、キスという概念を理解している方にダリオは驚いたが。
「……口と口をくっつけて、口腔内粘膜を舌で擦り合わせてもいいですか?」
テオドールはダリオより大きいくせに、上目使いでうかがうように尋ねてきた。
ディープキスだな、とダリオは思ったが、もちろん了承した。押しつけられた唇は、もどかしいようにダリオの唇を食んだ。なんどもなんども角度を変えて、ほとんど食べるようにしている。テオドールは、性欲を知ってるのか知らないのかわからないが、ダリオに体を擦り付けてきた。ダリオも背に腕を回す。もう立っていられなかった。食べられている。舌をすすられ、腰を押しつけられ、隙間もないほど引き寄せられて、ぐちゃぐちゃに貪られている。この青年は、顔を傾け、振るようにしながら、繰り返し舌を出し入れし、ダリオの服がしわくちゃになるまで痛いほど抱き締めた。とにかく必死だ。もうダリオも半ばセックスだと思った。ダリオのペニスで擦られると気持ちのいいところが、ほしいほしいときゅうきゅう喰い締めている。
唇を離したテオドールが、蛇のように眼の瞳孔を細めながら、真顔にも恐ろしい迫力で呟いた。
「支配者に調整(メンテナンス)されている……」
明白に嫉妬のような抑えがたい激重情緒を滲ませるそれに、ダリオはぽかんとする。
いや、調整したのはお前だよ、とダリオは思った。
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