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第2部
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なんで電話番号を知っているんだろう、と思ったけど―――、一週間前僕が寝てしまっている間に携帯を見られたのかもしれない。
けど確認できるはずもなくって知らないまま僕は一週間ぶりに先生の車に乗った。
家を出て車に乗るまでの緊張は二日前学校に行ったときの比じゃなかった。
怖くてしょうがなくて、だけど乗らなかったらどうなるのか、と考えるとさらに恐ろしくて。
助手席に座った僕に先生は「シートベルト」とだけ言って車を発進させた。
そして予想通り、当たり前のようにその日も僕は先生に犯された。
一週間前とは違って天気のいい土曜日。
なのに、一週間前とは違うリビングじゃなく先生のベッドで僕は全裸にされていた。
手にはなにもつけられてない。
だけど僕は恐怖にとらわれ過ぎて逆に抵抗らしい抵抗をすることができなかった。
一週間前のことを思い出して身体が震えてるけど。
ぎゅっと目をつぶっていることしかできないけど。
身体が強張って、おかしいくらいに震える身体に先生は躊躇いもなく触れてくる。
触れられるたびに身体を捩って、肌に唇が這うたびに逃れようとするけれどうまくいかない。
先生の手が僕の腕をベッドに縫い止めて、冷めた眼差しが勝手にでる声に耐えきれず目を開けた瞬間目に映る。
―――っん、ぁ、やだっ、や……っあ。
自分の声がひどく遠くで聞こえる。
涙がこぼれて、目元がひりつくくらい熱くて、どうしてか吐き出す息も熱くて死にたくなる。
ヤダヤダ、と叫んでも先生は僕のものを咥え、白濁を吐き出させる。
やめて、と泣いてもドロドロに濡らされた後を、先週までは知らなかった部分を擦りあげられて絶頂に追いやられる。
嫌なのに。
なんで、と自分に絶望する。
ベッドに組み敷かれたときに震えてた僕の身体は時間がたつごとに別の意味で震えて。
下肢から響く水音に涙が止まらない。
顔を背けても唇が塞がれて、熱く絡みついてくる舌に息さえ出来なくて頭の芯が熱に溶かされてく。
何度も気が遠くなって、脱力してしまってると後に感じた熱。
力が入らなかったけど抵抗して、でもあっさりと僕のナカを犯していく先生のもの。
熱くて硬くて太くて、でも十分ほぐされたそこはすんなり受け入れて、僕は深い絶望の中に落ちていく。
―――っぁあっん、も……っあ、や…っ。
自分の声が遠いのに、うるさい。
いやでいやでたまらないのに侵された後孔は硬いもので擦られるたびにびくりびくりと腰を跳ねさせては先生のものを締めつけて、僕の全身に電流を走らせる。
そして結局僕は―――。
「二回目なのに、淫乱だな」
冷たい声が響く中で、何度目かの吐精をして、そして後でもオーガズムに達して―――意識を手放した。
二回目は一回目よりも自分にたいしての絶望が大きかった。
先生に対する恐怖は消えることないけど、それより恐怖を感じながら何度も達した自分が怖かった。
先生の言った“淫乱”と言う言葉が頭から離れなくて、哀しくて次の週も恐怖に怯えて過ごして、三回四回と犯されて。
だけど先生との距離は相変わらずで。
学校ではまったく喋ることもないけど、決まって土曜日に犯される。
そんな生活に少しの変化が訪れたのは春休みに入る直前のことだった。
***
あと二日学校へ行けば春休みにはいるその日は水曜日。
終業式はちょうど金曜日だった。
学校からまっすぐ帰って部屋に引きこもってひたすら勉強だけして、ご飯を食べてお風呂に入って、リビングでジュースを飲んでた。
お父さんがテレビを見ていた。
それはサスペンスで、内容はありきたりなものだった。
喧嘩のすえに人を殺してしまった犯人が、それを目撃した知人に脅される、なんてありがちな内容。
『このことをバラされたくなかったら―――』
脅迫された犯人は相手を殺して……。
つまらなくて、話の途中で部屋に戻った。
最近の僕はもうなにも考えたくなくてお風呂から上がると早めに寝るようにしていて、その日もベッドにもぐりこんで目を閉じた。
「……」
いつもなかなか眠れない。
けど、その日はなんだかいつもと違うもやもやしたすっきりしない気分で寝付けなかった。
なんだろう。
―――先生のことだっていうことはわかる。
だってあの日から僕の思考は全部先生に拘束されてる。
怖くて、辛くてどうすればいいのかわからない日々。
友達といても家族といても、うまく笑うことができない。
僕を壊しているのは先生で。
だから今日も先生のことで眠れないんだけど―――……。
「……かな」
暗い部屋に呟きが落ちる。
自分で呟いたはずなのに、自分がなにを言ったのかすぐに忘れてしまう。
僕はいまなんて言った?
もやもやがひどくなって、そして脳裏にちらりと過るのはさっきリビングで見たサスペンスドラマ。
犯人は脅されて―――。
僕の状況とは全然違うけど、人に言えない秘密をネタに"脅されて"いたんだ。
「……先生は……」
なにも、言わない。
さっきからずっとひかっかっていたもの。違和感。
そう、だ。
先生は僕に……なにも、言っていなかった。
犯されるたびに卑猥な言葉や冷たい言葉を投げかけられるけど。
でも―――先生は僕を脅したことはない。
初めて犯された翌週も呼び出され、怖くて"何をされるかわからない"から、黙って従った。
けど、"脅迫"されたわけじゃない。
確かに先生の存在自体が怖かったけど――二度目三度目と僕を呼び出したときに強制する言葉を言ってきたわけじゃない。
"今から迎えに来る"
それが、脅迫?
もし、嫌だ、と言ったらどうなるんだろう。
怒る?
脅される?
なんとなく、そのどれもないような気がした。
でもどうしてそんな気がするのかわからなくて。
わからないまま考え続けているうちにいつのまにか眠ってしまってた。
けど確認できるはずもなくって知らないまま僕は一週間ぶりに先生の車に乗った。
家を出て車に乗るまでの緊張は二日前学校に行ったときの比じゃなかった。
怖くてしょうがなくて、だけど乗らなかったらどうなるのか、と考えるとさらに恐ろしくて。
助手席に座った僕に先生は「シートベルト」とだけ言って車を発進させた。
そして予想通り、当たり前のようにその日も僕は先生に犯された。
一週間前とは違って天気のいい土曜日。
なのに、一週間前とは違うリビングじゃなく先生のベッドで僕は全裸にされていた。
手にはなにもつけられてない。
だけど僕は恐怖にとらわれ過ぎて逆に抵抗らしい抵抗をすることができなかった。
一週間前のことを思い出して身体が震えてるけど。
ぎゅっと目をつぶっていることしかできないけど。
身体が強張って、おかしいくらいに震える身体に先生は躊躇いもなく触れてくる。
触れられるたびに身体を捩って、肌に唇が這うたびに逃れようとするけれどうまくいかない。
先生の手が僕の腕をベッドに縫い止めて、冷めた眼差しが勝手にでる声に耐えきれず目を開けた瞬間目に映る。
―――っん、ぁ、やだっ、や……っあ。
自分の声がひどく遠くで聞こえる。
涙がこぼれて、目元がひりつくくらい熱くて、どうしてか吐き出す息も熱くて死にたくなる。
ヤダヤダ、と叫んでも先生は僕のものを咥え、白濁を吐き出させる。
やめて、と泣いてもドロドロに濡らされた後を、先週までは知らなかった部分を擦りあげられて絶頂に追いやられる。
嫌なのに。
なんで、と自分に絶望する。
ベッドに組み敷かれたときに震えてた僕の身体は時間がたつごとに別の意味で震えて。
下肢から響く水音に涙が止まらない。
顔を背けても唇が塞がれて、熱く絡みついてくる舌に息さえ出来なくて頭の芯が熱に溶かされてく。
何度も気が遠くなって、脱力してしまってると後に感じた熱。
力が入らなかったけど抵抗して、でもあっさりと僕のナカを犯していく先生のもの。
熱くて硬くて太くて、でも十分ほぐされたそこはすんなり受け入れて、僕は深い絶望の中に落ちていく。
―――っぁあっん、も……っあ、や…っ。
自分の声が遠いのに、うるさい。
いやでいやでたまらないのに侵された後孔は硬いもので擦られるたびにびくりびくりと腰を跳ねさせては先生のものを締めつけて、僕の全身に電流を走らせる。
そして結局僕は―――。
「二回目なのに、淫乱だな」
冷たい声が響く中で、何度目かの吐精をして、そして後でもオーガズムに達して―――意識を手放した。
二回目は一回目よりも自分にたいしての絶望が大きかった。
先生に対する恐怖は消えることないけど、それより恐怖を感じながら何度も達した自分が怖かった。
先生の言った“淫乱”と言う言葉が頭から離れなくて、哀しくて次の週も恐怖に怯えて過ごして、三回四回と犯されて。
だけど先生との距離は相変わらずで。
学校ではまったく喋ることもないけど、決まって土曜日に犯される。
そんな生活に少しの変化が訪れたのは春休みに入る直前のことだった。
***
あと二日学校へ行けば春休みにはいるその日は水曜日。
終業式はちょうど金曜日だった。
学校からまっすぐ帰って部屋に引きこもってひたすら勉強だけして、ご飯を食べてお風呂に入って、リビングでジュースを飲んでた。
お父さんがテレビを見ていた。
それはサスペンスで、内容はありきたりなものだった。
喧嘩のすえに人を殺してしまった犯人が、それを目撃した知人に脅される、なんてありがちな内容。
『このことをバラされたくなかったら―――』
脅迫された犯人は相手を殺して……。
つまらなくて、話の途中で部屋に戻った。
最近の僕はもうなにも考えたくなくてお風呂から上がると早めに寝るようにしていて、その日もベッドにもぐりこんで目を閉じた。
「……」
いつもなかなか眠れない。
けど、その日はなんだかいつもと違うもやもやしたすっきりしない気分で寝付けなかった。
なんだろう。
―――先生のことだっていうことはわかる。
だってあの日から僕の思考は全部先生に拘束されてる。
怖くて、辛くてどうすればいいのかわからない日々。
友達といても家族といても、うまく笑うことができない。
僕を壊しているのは先生で。
だから今日も先生のことで眠れないんだけど―――……。
「……かな」
暗い部屋に呟きが落ちる。
自分で呟いたはずなのに、自分がなにを言ったのかすぐに忘れてしまう。
僕はいまなんて言った?
もやもやがひどくなって、そして脳裏にちらりと過るのはさっきリビングで見たサスペンスドラマ。
犯人は脅されて―――。
僕の状況とは全然違うけど、人に言えない秘密をネタに"脅されて"いたんだ。
「……先生は……」
なにも、言わない。
さっきからずっとひかっかっていたもの。違和感。
そう、だ。
先生は僕に……なにも、言っていなかった。
犯されるたびに卑猥な言葉や冷たい言葉を投げかけられるけど。
でも―――先生は僕を脅したことはない。
初めて犯された翌週も呼び出され、怖くて"何をされるかわからない"から、黙って従った。
けど、"脅迫"されたわけじゃない。
確かに先生の存在自体が怖かったけど――二度目三度目と僕を呼び出したときに強制する言葉を言ってきたわけじゃない。
"今から迎えに来る"
それが、脅迫?
もし、嫌だ、と言ったらどうなるんだろう。
怒る?
脅される?
なんとなく、そのどれもないような気がした。
でもどうしてそんな気がするのかわからなくて。
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